2017年8月28日月曜日

僕の、私の、クイズ作成のこだわりについて

先日、私の方で地道〜〜〜に作成しておりました「ボードゲームクイズBOT(@bgquiz_bot)」の登録問題数が、800問に到達しました。
この「800」とは、現段階で登録できる投稿数の最大値です。
同軸の時間帯にマラソンを走っていた女性芸人がいたらしいけれど、私の頭の中ではそんな彼女以上の声援を受けながらエンドレスでサライが流れていたわけなのです。嗚呼。


今回は私の「問題作成のこだわり」について、誰も聞いてくれないので、縷々書き綴っていきたいと思いまぁす。٩( 'ω' )و

要は「仕事の流儀」の劣化版みたいな感じです。あ、曲が変わっちゃった。


今回問題作成をするにあたり、色々な本を読みあさりました。
知識を深める、もあるのですが、問題のコツを読み取ることが第一義です。
ネット上に散らばっている「ボードゲームクイズ」を全部調べ、解きまくり、ひとつ気が付いたこと、それは

「一般的なクイズ番組の問題とかけ離れている」

ツイッターだから、ネットだから、仕方のない部分もあるのですが、出題に際し、どうも一般的なクイズ作家さんの作成する部分とは違う。
追って説明しますが、それを払拭しない限り、ボードゲームとクイズの折衷はない。

だから、細部にこだわりたい、そう考えました。

1 丁寧な問題作成

 一般的な問題ですと「これ知ってる?」⇨「知らないの?」といった出題者の一方通行に流れてしまいます。
度が過ぎてしまうと、それがやがて自慢話となり、つまらなくなり、離れていってしまいかねません。
 コアなユーザーを対象にし、ライトなユーザーをないがしろにした結果、すべてのユーザーが離れてしまった事象というのは、何もクイズに限った話ではないですね。
 まずは問題文を一から研究致しました。問題作成の要領を、ありとあらゆる本を読み込み、問題を解き、クイズ作家独自の文法やクイズ番組独自の問題文を研究致しました。

クイズに関する本。(※この他に山のような資料が…)


2 簡単な問題の方が難しい

  様々な問題を研究、作成していく中で一番難産だった問題が「簡単な問題」でした。
「アマゾ…」
「ポロロッカ!」
といったやり取りが、どうも問題制作を行う過程において頭をよぎってしまいます。
そうなると問題は難しい方へと傾注しがちです。
問題は「解いてもらう人がいてなんぼ」の世界だと気がつくまで、かなりの時間を要しました。
解いてもらう方を増やすために、まず「初心者に向けての問題とは」という切り口での問題作成に入りました。

しかし、ボードゲーム歴1年の初心者を自称しているとはいえ、それなりの知識が身についてしまった私です。
私の物差しで簡単そうに思えても「難しい!」「解けない!」といった手厳しい意見を何度ももらいます。
問題作成はかなり難航を極めました。

単に問題範囲を「人生ゲーム」や「ウノ」とすれば初心者向けになるだろう、といった短絡的な考えでは火傷を被ることとなり、例えば


問題>人生ゲームの紙幣、最高額は10万ドル紙幣ですが、最低額はいくら?
答>1000ドル紙幣

この問題、私はかなり上級者向けの問題ではないかと思っています。

一方、こちらは耳慣れない作品を用いてはおりますが、併せて平易なこと、もの、例えを使用することにより、かなり敷居を下げることに成功したのではないかと自負しております。

問題>ケララでは自分の駒、どうぶつしょうぎでは斜めに一歩ずつ進むことのできる駒に相当する、動物園でも人気の力持ちの動物といえば何?
答>ぞう


皆さまもクイズを作られた際、一旦「あ、難しすぎたかな?」と見返してみてはいかがでしょう。

3 「難しい問題」=「つまらない問題」にしたくない

 「高難度の問題」を出題しすぎますと、ユーザーが離れていく点、中学生に大学初等レベルの講義を受けさせても名講義でなければなかなか聞いてはもらえない、それくらい慎重に事を運ぶ必要があります。
 回答者が皆テレビのバラエティ慣れしている芸能人ではないのですから。
 ならば出題も工夫する必要がある。どうすれば先に挙げた図式を崩すことができるのか。
 例えば、こういった問題

問題>YMCKのアルバム「FAMILY SWING」初回特典に封入された、オインクゲームズ制作「海底探険」のリメイクとされるボードゲームのタイトルは?

答>FAMILY TREASURE

 「そういえば、あれ、なんだっけ?」「いつも『なんとなく』って感じだったけれど」
ふと、そう立ち止まっていただけますとこちらもガッツポーズです。

もう一問

問題>EJIN研究所制作「ハコオンナ」ではハコオンナ側の初期配置の一つ、キャット&チョコレート幽霊屋敷編ではプレーヤーを人形にして遊ぼうと手を伸ばす場所といえば、この場所はどこ?

答>子供部屋

こちらも難問。ですが「思い出せない」だけで「全く知らない」わけではない、「頭の片隅にあるはずなのに、引っ張り出せない」という、あの感覚を味わっていただけるかと思います。
これこそが「高難易度問題」の真髄なのです。

4 クイズ王が強い問題、にはしたくない。

  総じて、ガリガリとネットや関係書籍ばかりを読み漁っただけの知識(まさに私ですね)の人間よりも、実際に駒を手に取り、サイコロを振り、ボードゲームに慣れ親しんだ方の解けるような問題を作りたい。
 作ろうと思えば「モダンアートの作者名」や「枯山水の登場人物」に関する問題だってたくさんできる。でも、それよりもっと面白く楽しい問題ができるはずだ。

例えば、こんな問題です。

問題>ボードゲーム用語で、トップになると全員から集中砲火を浴びることから、じりじりとトップになるのを待つ状態のことを、ある日用品に例えて何という?

答>洗面器(ゲーム)

知識ばかりではなく、遊んでいる人の方がイメージしやすい問題とは、こういった問題ではないかな、という自分なりの答えです。


とまあ作家業でもない素人が偉そうに語ってしまいましたが、私自身、上記事項をすべからく実行している、というわけでもなく、あくまで努力目標としているわけですが(だから例外もたくさんあるのです。ごめんなさい)ここまでこだわり抜き厳選された問題だと知って欲しく、記事に致しました。

ガッテンしていただけたでしょうか。


最後に宣伝。

今回の問題を取りまとめ、加筆、修正を加えました同人誌を、現在鋭意作成中です。
ゲームマーケット秋にて発売を考えています。

難問奇問を用意して、みなさんのお越しをお待ちしております。




2017年8月19日土曜日

有名ボドゲブロガー様がカップ焼きそばの作り方を書いたら

世間の流行にビンジョーしてアクセス数を稼ごう企画٩( 'ω' )و

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」に便乗して、こんな企画をご用意いたしました。
題して

「もしボードゲーム界の有名ブロガーの方々がカップ焼きそばの作り方を書いたら」

その1 あっきぃらびっとさんの場合(ブログ「ある元心理カウンセラーのボードゲーム日記」URL>http://blog.livedoor.jp/akirapsychology/)

先日スーパーに行って買い物をした時、ツレが持ってきたのが…


U.F.O.

美味そう!てか、絶対に美味い!😍
というわけで、今回は日清焼きそばUFOをプレイでーす🍜

まずは蓋の部分を丁寧にはがします。



こんな感じ。

お湯を入れる前にソースの袋を取り出す。
そして、ゆっくりとお湯を注ぐ。

3分間待ったのちに、湯切りシールを剥がして、先ほど入れたお湯を切る。
ソースの袋は、フタの上で温めるのがポイント。
お湯を切るときに気をつけないと、湯切り口から麺がニュルッと出てしまい、大変なことに😂

これでセッティングが完了。


あとは付属の「やみつき濃厚エクストラソース」を加えて、これでもか、とかき混ぜる。

ツレは戸棚から紅ショウガを持ってきたらしい。

ならば私もマヨネーズで対抗だ!



最後にふりかけをかける。
とっても大事❣️



できたー!完成〜😍


検索してみたらAmazonにも売ってるみたいでーす。
(執筆時点)

以上”あっきぃらびっとがお送りしました〜❤️”



その2 ふうかさんの場合(ブログ「ふうかのボードゲーム日記」URL>http://fu-ka.livedoor.biz)




U.F.O.(日清食品)
(Umai Ftoi Ookii 2016)

お湯を入れて作る即席タイプのカップ焼きそばです。
トド吉と二人でプレイ。

フタの上のふりかけを取り、さらにフタを半分だけ剥がし、そこからソースだけを取り出します。
アツいお湯を内側の線まで注ぎ、フタをして3分待ちます。
湯切り口を作っておき、カップを静かに傾けてお湯を捨てます。
この時、捨てたお湯はもう使えません。
ソースをかけてよく混ぜ、ふりかけをかけたら出来上がりとなります。

UFOって、未確認飛行物体の、あのユーフォーかと思ったんですが、
調べてみると「うまい、太い、大きい」の略だったんですねw

そしてお約束の「湯切りでボン!」
音にビックリしたトド吉が飛んでくる。
「え?!え?!何の音?」
慣れていないと、本当にビックリ。
今回もやってしまいました。

久しぶりに食べたけど、部屋の中に焼きそばの匂いが充満して大変でした。
消臭剤買わなきゃ。
でも、また食べたくなる、そんな食べ物でした。


その3 小野さんの場合(ブログ「Table Game in the World」URL>http://www.tgiw.info)
 U.F.O.



ソースビーム!揚げ玉ボンバー!

日清食品が販売している即席焼きそばの元祖とも呼べる人気作。基本的な作り方は昔と変わらず、ソースの袋を取り出し、お湯を注いで3分、お湯を切ってソースと混ぜる、という一連の手順。以前はかやくの袋が別添えだったり、ソースが粉末だったり、湯切り口がもっと特殊だったりとマイナーチェンジを繰り返していたが、2017年現在、今の形で落ち着いている。

そもそも、焼きそばなのに、焼いてはいない。「煮て」いる点が重要だ。
乾燥した麺を戻す作業に目を奪われ、焼きそばの「焼き」の部分につい目を背けがちになってしまう。
しかし、出来上がりのそれは、まさに「屋台の焼きそば」そのもの。ふりかけをかけ、冷蔵庫からマヨネーズやかつお節を付け足せば、まさに「擬似焼きそば」そのものと言えるだろう。

幼い頃はご馳走の一つとされ、UFOがあればご飯が何杯でも食べられた。青春時代、このUFO一つでは飽き足らず、ビッグサイズを二つないし3つも食べたいと願う時代もあっただろうか。
そんな青春時代の面影を今も懐かしのロゴマークとともに残す、そんな食べ応えのある食品である。




その4 嶺美さんの場合(ブログ「嶺美のボドゲノート」URL>http://bodoge-note.com)

今回ご紹介するのは日清食品さんのU.F.O.です。



内容をざっくりと

・蓋を開けてソースを取り出す
・お湯を注いで3分間待った後、お湯を捨てる
・ソースを入れてよく混ぜ、ふりかけをかけたら完成

一番の特徴はお湯を捨てる、ということ。これにより、焼きそば特有のあの感じがちゃんと表現されていると思います。


もうちょっと詳しく

まず、蓋を丁寧にはがします。この時、半分だけ剥がすこと。全部剥がしてしまうと後ほどの湯切りで困ることになります。
次に、ソースの袋を取り出し、お湯を注ぎます。お湯の量は少し多めに用意したつもりでしたが、それでも少し足りないかな、と思うくらいでした。
3分間待った後、湯切り口を開いて、お湯を捨てます。ヤケドするほど熱くなっているので注意しなければなりませんね。
ソースをかけます。ソースの袋はマジックカットになっていてどこからでも切れるようになっています。
最後にふりかけをお好みでかけたら出来上がりです。




感想を色々と

正直、屋台の焼きそばのつもりで食べたのですが・・・それとはかなり違いますねー(笑)あと、作った後で「ソース、少し足りないかな?」と感じたくらいの量だったので、濃い味が好きな人はソースを足された方がいいかもしれないって思いました。

簡単だしさくっと作れるので、小腹が空いた時に重宝すると思います。




※作成したカップ焼きそばはスタッフが美味しくいただきました(o^^o)

2017年8月13日日曜日

熱い想いを胸に秘め〜私の東京BGC体験エッセイ〜

※この記事は、先日行われました東京ボードゲームコレクション(以下「東京BGC」)に関する記事となっております。
しかし、本文中に、写真は一枚も、ブースの細部内容も網羅しきれておりません。
あくまで、私、番次郎が現場で感じました、体験エッセイとなっております。
その点を御了解いただいた上で、お楽しみください。

(※8月16日 本文加筆)


前日夜になっても、私はまだ頭を抱えていた。
東京BCGで何を購入するか、事前の計画はあらかた決めてあり、目ぼしいものにチェックするといった入念な準備も終えた、はずである、が。
何から先に行けばいいのか、まるで見当がつかない。
いわゆる「開幕一番手に何を狙うか」という問題だ。
取るに足らないことだと、笑うならば笑うがいいだろう。

できうることなら、先んじて手に入れたいもの、現地ならではの物を優先して購入しておきたい。
それらは前回のゲームマーケット春において、コミケの常連である私の妻から散々叩き込まれた事項だ。
私は昨年も東京BGCに参加の経験がある。
その際は、開幕とともに列をなしたJUGAME STUDIOブースのワインレーティングと真打が瞬時に売り切れた印象が強く残っている。
今回も「SAKURA HUNT」と「PERFECT HOTEL」という二枚看板を堂々と掲げ、参戦が予定されている。
幸いにも、今回はブース側が予約体制を敷いてくれたので、私は迷うことなくその恩恵に預かることにした。

他にも、オインクゲームズの「ダンジョンオブマンダムⅧアートブック」、しゅぴ〜る遊園地の「しゅぴっち総選挙」、東京ゲームメイカーズの「オイルモンスター」、堀場工房の「ゲーマー妻の憂鬱」、ワンドローの「マルポ航路」等々、考え出すと際限がなくなるのが現状だ。

一度ツイッターを見始めると、周りの参加者が皆、私の狙わんとするものをすべからく買い占めようとしているのではないか、という強迫観念に襲われる。
しかしながら、直前まで製作者サイドから上がってくる情報も邪険に扱うわけにはいかない。
情報戦場に取り残される不安にかられ、ふっと消えるスマホの画面を、そっとホームボタンを押してはTLをチェックし、しばらくしてまた確認、といった所作を、私は寝床で延々と繰り返していた。
案の定、眠りに落ちるまで長い時間を要した。

この日の東京は、三連休最終日、お盆の入りに加え、コミックマーケット最終日、深川八幡祭りといった各種イベントが満載のため、東京界隈はちょっとした人の混雑が予想されるという。
前回の名古屋遠征もあることだし、たまには合間を縫ってのんびり、と洒落込みかったが、時間の経過とともに混雑が予想されるとあっては、なるべく早いうちから会場に入っておかなければならない。
私は再度大月始発に乗り込み、一路浅草へと向かった。

行きしなに覗いたツイッターでは、朝4時という時間になっても袋詰めの作業に追われる製作者様がTLを賑わせている。
その中の一人が、かのボードゲームアイドル、しゅぴ〜る遊園地の「珠洲ノらめる」さんだ。

「角丸おわったぁぁぁ、ほんと角丸時間かかる。あとはビニールに詰めて、完成」

ツイートは朝5時5分、フォロワーでもない立場の人間が口出しするのもどうかと思ったのだが、お節介な性格が災いし、私は思わず「休まれてはいかがでしょう」と返信した。

「ごはんとドーピングで切り抜けようと思います」

返信は即座に返ってきた。
彼女の健気な姿に、私は思わず目頭を熱くした。
今回の私の開幕一番手は、このブースに行くことを固く誓った。

会場に入った時刻はきっかり午前8時を厳守。その時点で前方には6人ほど並んでいただろうか。
前回と違い、今回は赤色の誘導棒を持ったスタッフの方が数名態勢で待機列を誘導してくださった。
並ぶ方は皆、黙々と開始時間を待つ印象。
室内だからだろうか。手持ちのゲームなどをしながら騒いで待つ、といった行動は見受けられず。
待機列で、名古屋の時もお世話になった関西の中村さんとお会いする。
遠方から色々とおつかいを頼まれているらしく、青く大きなスーツケースがギラギラと輝いていた。

午後10時。拍手とともに開場。
私は早速目的のゲームを買い漁りに回る。

購入先のブースの感想をいくつか記載しておきたい。

開幕一番で購入したしゅぴ〜る遊園地の方々は疲労の顔一つ見せず、終始笑顔を見せていた。
間近でアイドルと対峙する機会など皆無である私は、彼女らの屈託のない笑顔の前に終始俯いたままという醜態を晒してしまった。

堀場工房では「ゲーマー妻の憂鬱」を無事に購入。
ゲームマーケット春から待ち望んでいた作品だけに手に取った時は思わず笑みが溢れた。
我慢しきれず電車の中で少しだけ拝見したが、自由気ままな夫と、それに翻弄される妻と娘に我が身を投影してしまい、笑いの中に背筋の冷える思いがした。
あとでそれとなく妻に謝っておくことにしよう。
私は恐れ多くも著者であるたちばないさぎ先生にサインまでいただく暴挙に出る。これは一生の宝と致します。

東京ゲームメイカーズはオイルモンスターが開始早々完売御礼。
横に設置してあったアナログゲームガチャも面白く、回してみたところ、意外とガチゲーに分類されるゲームが当たったようだ。
カプセル方式だと、持ち運びも便利、販売方式も楽、等々、様々なメリットが多い印象を受ける。
この先のトレンドとして上がっていく予感を感じさせた。

JUGAME STUDIOは販売台も試遊台も終始人が絶えないように見受けられた。
事前に「試遊の際、箱を模したキャラメルをプレゼント」と告知したこともあり、試遊に長い列を連ねていたのもこのブースだった。
何より、ファイルを用いたプレゼン方式のインストは、はたから見ても非常にわかりやすく、私自身も何かしらの参考にしたいと考えた。

プレゼンといえば、SpinachブースのMateMagiは、インストにiPadを使用する姿が印象的だった。
流れるような説明と、待機中にさっ、さっと動く画面。これなら短時間でも説明が容易であるし、説明後に(しようと思えば)SNSへのアップも可能だ。私は思わず膝を打った。
尚、この「動画で説明」という方法は、名古屋FGFの際も「とり助 河田金」ブースが行っており、同様に強く印象に残っている。

滅多に試遊はせず、購入したゲームは家に帰ってゆっくりと遊びたい私ではあるが、たまたま「カラメルカラム」ブースの製作者の方にお会いできたので、せっかく購入した「THE漫才コンビ」について説明をいただく。
2人用とあるが、これは観客サイドがある方が、絶対に盛り上がるといった印象を受けた。
行儀が悪いことを承知の上で表現するに、二人の軽快な掛け合いの感覚は「ペチャリブレ」を彷彿とさせる。
何より製作者様が、ゲームで遊ぶ場を「ステージ」、ゲーム中を「ステージ上の時間」とし、ゲーム終了後の「こう返して欲しかった」「俺ならこれを出すね」と言ったやりとりを楽屋裏と捉えるなど、非常に計算された尽くされたゲームであることを伺う。
コミカルなキャラクターに秘められた熱い想い。早くその思いに応えたい。
あとは付き合ってくれる友人を探さなくては。

フリーキーデザインのブースも老若男女問わず賑わいを見せていた。
デザイン会社の方が作るゲーム、と看板に掲げてあるように、カードのデザインがシンプルかつ芸術的なイラストで、イラストだけでどんなカード、どうするカードなのかが直感でわかる、と、さすが餅は餅屋。
アートなゲームがゲーム会にあるとそれだけでゲーム会が華やかになる。それは他のゲームにも言えることだろうか。

ハコノソトブースへ。
「スタートプレイヤーの決め方カード」という一風変わったカードを先回のゲームマーケット春から販売されており、今回も木製ダイストレイなどを格安で販売、海外からいらっしゃった方などの目にも止まっていた。
デザインの話で追記するが、このゲーム(正確には「作品」だろうか)も、言語依存や文化の壁があるとはいえ、ピクトグラムのデザインを使用することにより、(ピクテルがそうだったように)ユニセクシュアルな文化を基調とする海外に快く受け入れられる気がしてならない。
BGGって、こういった作品は登録できただろうか。

事前の情報が少なく当日の会場で知った作品が「キノヒ」ブースの「組み盆栽」
カードを使用し、複数名で一つの盆栽を組み立てるゲーム。
直接プレイしてはいないが、数名で一つの盆栽をワイワイ取り囲み、組み上げる姿が微笑ましく、そして紙質や作品の出来具合に作者の強いこだわりを感じるゲームだった。

会場脇では舞台の方が活況を見せている。
以前から演劇練習のツイートが話題となっていたPika★kika人狼の舞台公演が行われており、観覧無料の告知に懸命だった。
購買層で混み合う中でも人狼勢との掛け合いはマイクを通じ時折流れてくるので「お前だろ!」といったドスの利いた声や女性の金切り声などに、小心者の私は心臓のすくむ思いがした。
しばらくすると今度はしゅぴ〜る遊園地のライブだ。
こちらも舞台を縦横無尽に使用、時折、舞台を飛び降りたりするなどの躍動感ある歌とダンス。
注目するべきは、MCで使用した「観客とのボードゲーム大会」
事前に筆記具持参の告知がなされたとはいえ「AVENUE」の予測は立たなかった。


一通り足を運び、名残惜しかったが、所用のため、帰宅する時間となった。


回る先のブースの方は皆、汗が光っていた。
先のらめるさんもそうだが、他にも、直前まで印刷作業に追われ泣く泣く出品を見送るブース、直前まで箱詰め作業に追われていたブース、遠距離移動から即座に販売体制に入ったブース、名古屋FGFに続き出展・販売されたブース、前日、前々日とコミケに参加された後で本日も参加と連投をなさったブース等々、
それらの事情を知ると、本当は金銭の限りを尽くしてゲームを購入したい衝動にかられる。
このトートバッグに詰め込まれたゲームの一つ一つに、あらゆる製作者様の思いが込められているのだ。
眠い目をこすりながら、脳がふんわりと溶け出し、それでもサイコロを振り、カードを切り、ミープルを進め、VPの1点差に一喜一憂する、
そんなゲームを作りたい、遊んでもらいたい、
そんな想いに応えるが如く、多くの荷物を抱えた人が行き交う。
会場はそんな熱気に包まれていた。

帰りの電車の中で、ツイッターを覗く。
後の祭り、という言葉があるが、ツイート上では閉幕後も興奮冷めやらぬ盛況ぶりを見せていた。
今やボードゲームは親元である製作者の手を離れ、次は遊び手がそのハンドルを握る手番となったのだ。
開けて、遊んで、勧めて、勧めた方がまた別の方へ…
楽しさの連鎖が、人から人へと伝播し、それらはいずれ幾何級数的に増大をなし得ることだろう。
そんな妄想が頭に浮かぶだけでも幸せだ。

はやる気持ちを抑えながら、私は肩に食い込むトートバッグとともに、家路を急いだ。
みんなボードゲームが好きなのだ。
この業界が、好きなのだ。




2017年8月10日木曜日

創作落語「御題目」

見よう見まねで創作落語を作ってみました。
なにぶん素人ですので、矛盾する点など多数あるかと思いますが、暖かい目でご覧いただけますと幸いです。
(8月10日1900更新)



今の社会は「ポチる」なんて言葉を使うくらい、部屋とパソコンがあれば何でも手に入る、そんな便利な時代なんでございますが、じゃあ昔は不便だったかって、そんなことは無い訳でございまして、江戸庶民の生活だって、家の中におりましたら
「豆腐ー豆腐ー」
「カボチャーカボチャー」
なんてな威勢のいい声が常に入ってくる訳でございます。
「取り替えべぇー取り替えべぇー!」
「ふるいーふるいー!」
「えーボードゲーム、ボードゲーム、カタンにゴキポにガイスター、カルカソンヌにラブレター!」
「?ちょいと、何だねあんたぼーどげーむってのは。ここは場末の長屋だよまったく」
「へぇ、すんませんご隠居。実はあっし、南蛮渡来のボドゲ、ボードゲームを売りに来た商人なんでございやす」
「ほお、ぼーどげーむかね。実はあたしゃね、ここの長屋に古くから住み着いているものでね、どれどれ、そのぼーどげーむとやらを、見せとくんな」
「へえ、こちらです」

若旦那が取り出したボードゲームはカタンにカルカソンヌ、宝石の煌めきにガイスターといった舶来のボードゲームばかり。

「ほお、何だか珍しいものばかりだこりゃ。老いぼれのあたしの目にはどれも同じに見えるがね」
「へぇお目が高い。実はこちら、遠くドイツと呼ばれる国で作られた、まあ、こういっちゃなんですが、すごろくみたいなもんなんでぇ」
「これがすごろくかい?すごろくったら、さいころなんぞを振って、出た目の数だけ進む、あの遊びのことを言うってんだろ?この「ほうせきなんちゃら」ってぇのに、さいころのさの字もねぇじゃねえか、この嘘つきめ!」
「ご隠居、実は嘘をつくための「人狼」なんてゲームも」
「いいんだよくだらない合いの手は。とにかくね、こんな貧乏長屋で、こんな見目麗しいぼーどげーむなんてものが売れるはずがないじゃないか、え?、他所行きな他所」
「へぇ、すんませんご隠居。実はあっし、場所を追われておりまして、食うに食われぬ毎日でござぁ」
「なんでぇ急に態度を変えて来やがったな、どれ、ちょっとばかし話を聞こうじゃないか」
「この日本って国、まだボードゲームの理解が進まないんでさぁ。ゲームは子供のもの、値が張るもの、なんてなことを誰かが吹聴しやがりましてですね、こちとら商売あがったりでござんさぁ」
「ほぉ、そんな事情とは知らなんだね、よし、ここで逢うのも何かのご縁、袖振り合うも他生の縁、一期一会にりんごが百円だ、ここはいっちょ肌を脱いでやるとするめいか」
「かたじけねぇですご隠居」
「で、あんたは今日、何を売りに来たんでい?」
「実はあっし、新作のボードゲームを売りに来たんでございやす」

若旦那はそういって包みの中から、見たことのない白い紙を取り出します。

「その白い紙と、はしごみたいな紋所は一体何何でえ」
「実はこれ、あっしが今しがた作ったばかりの新作ボードゲームでございやす。今度の日曜に浅草で行われるイベントのために、ここまであっためておいた新作なんでございやす」
「ほお、新作ね」
「あっしの人生の集大成とも呼べる作品が完成しましてですね、プレイ感覚はカタン、ボードのこだわりはエルフェンランド、交渉あり、拡大再生産あり、正体隠匿あり、と、いろいろこだわったんでございやす」
「なんだいなんだい次から次に。ありありありっておまいさんはキリギリスか何かかい?おまんま頂戴しようったってそうはいかないよ。おととい来てくんな」
「ま、ま、とにかく、あっしの自信作でございやす」
「自信作かね。で、名をなんと言うんだい」
「それが、決まってないんです」
「決まってない?そこまで偉そうに御託並べといて、名前を決めちゃいねぇって、本末転倒もいいとこでぃ」
「いやぁ、いろいろ考えあぐねてしまいまして、何か妙案はねぇですかいご隠居?」
「ふむふむ、じゃあこうするってのはどうだ、いま世間では長い題名の作品が幅を利かせてるって聞いたことはあるかい旦那」
「ふへぇ、なにぶん不勉強なもんで」
「今正に、世は御題目を長くするってぇのが隆盛を誇っているんだ。「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝ソード・オラトリア」なんてな名前が普通に世に蔓延っているんだよ」
「へへぇ、寿限無みたいな名前ですねご隠居」
「そこで、だ。妙案だがね、お前さんもここは一つ、御題目をどえらく長〜〜くして、流行に便乗するってのはどうでぇ」
「さすがはご隠居」
「でも、単に長くするだけってぇんじゃ芸のない話。そこでだがね、やり方の手順がわかるよう入れてしまおうってぇ算段だ」
「やり方を、ですかい?」
「最初はこうで、次はこうで、ってぇのを、最初からお題目に組み込んどくんだよ。そうすりゃお前さん、御題目も長くなり、御題目を読むだけで、何のことかがわかって一石二鳥ってぇ寸法だ」
「手順を組み込む、そういや「刺身にタンポポを乗せるだけの簡単なお仕事です」って作品もありやしたかね」
「そうかいそうかい、それじゃ早速、御題目の作成とやらに移っとくれ。いい御題目ができた暁には、あたしの名前もそれとなく紹介しとくれよ」

そんなこんなで、初めて作った若旦那のボードゲーム、御題目にやり方の手順を組み込むことにしたんでございますが、何せこの若旦那、根っからの職人気質、石部金吉金兜、ご隠居の言葉通り、やり方の手順を一字一句余すことなく組み込んだわけでございます。

「できやしたぜご隠居、題しまして「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり、世界各地の都市を巡りながら自分の村を発展させ、村の繁栄と自分の装備を充実させつつ悪の組織に立ち向かうことが目的で、まず金貨3枚と手札を3枚ずつ配ります。ボードに書かれてある指示に従いながら手札を公開し、相手と交渉を繰り広げつつ金貨を装具カードや村発展カードに変換し、最後に悪の枢機卿を倒したプレーヤーが勝利します」の完成です」
「随分とまた長い御題目ができたもんだね」
「いっけねぇ!スタートプレーヤーの決めかたを入れ損ねちまった」
「ちっせぇことはいいんだよ。それより早速だがね、いっちょ売りに行ってみてはどうかね」
「へいっ!」
若旦那は威勢よく飛び出します。
「えーボードゲームにカードゲーム、世間で話題の「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり、世界各地の都市を巡りながら自分の村を発展させ、村の繁栄と自分の装備を充実させつつ悪の組織に立ち向かうことが目的で、まず金貨3枚と手札を3枚ずつ配ります。ボードに書かれてある指示に従いながら手札を公開し、相手と交渉を繰り広げつつ金貨を装具カードや村発展カードに変換し、最後に悪の枢機卿を倒したプレーヤーが勝利します」も楽しいよー!」
「おじちゃんおじちゃん、それ何?」
「おう坊主、らっしゃい。よくぞ聞いてくれました。このゲームの御題目はな、「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり、世界各地の都市を巡りながら自分の村を発展させ、村の繁栄と自分の装備を充実させつつ悪の組織に立ち向かうことが目的で、まず金貨3枚と手札を3枚ずつ配ります。ボードに書かれてある指示に従いながら手札を公開し、相手と交渉を繰り広げつつ金貨を装具カードや村発展カードに変換し、最後に悪の枢機卿を倒したプレーヤーが勝利します」ってんだ」
「ごめん、おら、そのちゅう、なんとかってわかんねぇ」
「いいかい坊主、もういっぺんゆっくり喋るからよくその耳かっぽじって聞いてくんな。このゲームの御題目はな、一度聞いただけで、ゲームのやり方までわかってしまうって寸法なんだ。「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり、世界各地の都市を巡りながら自分の村を発展させ、村の繁栄と自分の装備を充実させつつ悪の組織に立ち向かうことが目的で、まず金貨3枚と手札を3枚ずつ配ります。ボードに書かれてある指示に従いながら手札を公開し、相手と交渉を繰り広げつつ金貨を装具カードや村発展カードに変換し、最後に悪の枢機卿を倒したプレーヤーが勝利します」わかったか?あ、このガキ居眠りしちまいやがる。
あ、おいそこの女子よ。どうでぇこのゲーム、面白そうだろ。」
「おもしろそう」
「そうだろそうだろ。いいかいよく聞け。その名も、「このゲームは中世ヨーロッパを舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり…」
「いいから早くやろうよ」
「黙ってよく聞け!まだ御題目の途中だ。ええい最初からだ。「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で」
「もういいから早くー」
「まだ何にも言い終わっちゃいねぇってんだ!あーあーいいからあっち行け!お、そこの若いの、いいか御題目をよく聞け。このゲームはな。一見すると普通のすごろくに見えるが、実は御題目が「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり」
「要は、このカードをめくってラスボスを倒したら勝ちなんでしょ?」
「いいから最後まで聞けってんだせっかちな野郎め!ああ、もう最初からだ、「このゲームは中世ヨーロッパが舞台で、プレーヤーは選ばれし勇者となり、世界各地の都市を巡りながら」
「やっぱラスボス倒したら勝ちじゃん」
「ちゃんと聞けって言ってんだろ最近の若いやつらってぇのはコンチクショウ!あーあーこれじゃ商売上がったりだ!ご隠居、このゲームの御題目、一体何が悪かったんでげしょ」
「そりゃおめぇ、子どもらにはまだ早かったんじゃろ。少し毒(独)が強すぎる」

おあとがよろしいようで



2017年8月7日月曜日

そこにボドゲがある限り〜私の名古屋FGF体験エッセイ〜

(注釈:これは私、バンちゃんが今回の名古屋ファミリーゲームフェスティバルで見たこと、感じたことをありのままに綴ったエッセイです。
ですので、一般の方が綴られるような記事とは違い、写真も少なく、文字も多く、雰囲気も私の感想が主体となるため、この記事を持って次回の参考とするようなことにはならないとは思いますが、筆者の一意見として留めていただけたら、と思います。)

8月7日(日曜)AM04:00

周りは白んでいた。
軍事においては、この頃から進軍を開始するのがセオリーなのだという。
直前まで業務に追われていた私は、これだけでも積み込めばいい、というまま別室に放置した荷物の山をいそいそと詰め込み、始発電車が動き出す駅のホームに向かって車を走らせていた。
8月だというのに嫌に空気が涼しく、薄手のシャツを選んだことを後悔もしたが、すでに走り出した片道旅行の中で、私の心は「カードさえあればどうにでもなるさ」の気概だけが残っていた。
途中のコンビニに立ち寄り、コーヒーと塩のおにぎり、そしてわずかな小銭を募金箱に入れて願をかける。
いつの頃からこれら一連の行動は、私の中で大切なイベント前での恒例行事となっていった。

朝7時20分、新横浜発のぞみ203号は、指定席であったものの、すでに満席の状態だった。休日に加え、夏休みという特性が加わったのだろうか。親子連れや学生同士の客層が目に入る。
1時間強の移動中、休みたい気持ちを抑えて、今回の「宝の地図」をまとめる作業に入った。






ごい牌(能登ごいた保存会長野支部)、コプラス(数奇ゲームズ)、アニマルズ(ゲームNOWA)、慶長五年関ヶ原(TUCゲームズ)、カラーマフィア、マモルンジャー、(758ゲーム会等合同)、中古ツイクスト(日本ツイクスト協会)、モンスターバカラ(をしだや)ゲーム製作キット(BGM盤上遊戯)、等々、現段階で狙っているだけを列挙しても数え切れない。
「用紙に予備はないから慎重にな」といったもう一人の忠告など耳を傾けることなく、私は心の思うがままに赤のボールペンを走らせていった。
なお、当日の予算のことは検討材料に入れていなかったため、このことが結果として後を引くことになる。

朝8時35分
名古屋駅到着、腹ごしらえにホームのきしめんを口にする。
きしめんのお店のオススメを聞いた時に「駅ホームがいい」と教えてくれたのは、他ならぬ太陽皇子ではなかっただろうか。
かき揚げ卵きしめん、580円。
朝から油物もどうかと思ったが、出汁が効いており、スルスルと箸が進む。

腹ごしらえを済ませ、一路、名古屋国際会議場へ。
気温は時間とともに上昇を続け、いよいよその本領を発揮し始める。
駅から500mほど離れた場所にある会場へは誘導案内があるために迷うことはなかったものの、広い会場内で誘導がなくなってしまったためにウロウロしてしまい、10分ほど無駄な時間を浪費してしまった。



AM9時35分
公式HPには「(並ぶ際は)9時30分〜10時を目安に」と記載があったので、この時間なら並び始めても大丈夫だろうか。
入口付近に到着した時には、周辺のソファーで談笑する方、スマホを睨む方など7、8名ほどの方がまばらに点在していた。
並んでいる様子もなかったので、搬送の邪魔にならないよう、隅の方で待機する。
周囲の方も、人一倍大きなキャリーケースにビジネスバッグ姿の私を「業者の方」と見紛うのではないかと一抹の不安を覚えた。

到着の報告を上記の写真とともにツイートすると、早速反応がつく。
すると時間も経たないうちに、数人の列が作成されていく。

同じく愛知県在住の「マジックマ」さんと軽くお話をする。
狙いはごい牌だと話す。数量限定の本商品は数日前に突然ツイッター上で販売することを発表された商品ではあったが、すでに目を光らせている層が躍起になっているらしい。
昨年も参加されているようで、その様子などもいくつか仕入れる。
暑いとはいうものの昨年の雨に比べれば恵まれているともいえ、しかも参加者の絶対数の少なさからか空調の効きの良さも幸いし、現段階では体感としての酷暑の印象は持たなかった。

次に登場された方は、関西の界隈で精力的に活動されている「山路隆夫」さんが、母親同伴でいらっしゃる。
一瞬たじろいたが、話を聞くうちにその理由も氷解した。
山路さんは大阪の方、幼い頃から母親のボードゲーム教育、今の言葉ならば「ボ育て」を熱心に受けられた方とのこと。
母親のボードゲームに対する造詣も深く、人生ゲームや当時のオークション界隈の話など、話題に事欠かない、イメージ通りの「難波の母」たる存在であった。
自慢は、各ショップやアイドル直筆のサイン帳。各店舗の店員さんに直筆で書いてもらったという色紙を持って周り、ツイッター上でも逐次報告を上げている。
今回のイベントでも、さらなる充実を図ることを目論んでいるようだ。

話し込む最中、今回の名古屋FGFに尽力されたうちの一人と称される太陽皇子氏が会場を出入りした。
興奮のあまり声が上ずってしまう。マジックマさん曰く、やはり地元の間ではヒーロー的存在だという。
会場の設営に奔走されつつも笑顔を絶やさない精神に感服し、私は背中越しに今回の成功を祈念した。

しばらくして会場に現れた方はゲームNOWA代表「かぶけん」こと、かぶきけんいち氏だ。
今回初お目見えとなる「コプラス」は、かぶけん氏が長い年月を経て販売にこぎつけた傑作だという。後で判明したが、この作品を購入するために、遠路はるばる北海道から来訪された方もいらっしゃったとか。
かぶけん氏に気がついた私は不意を突くような形で声援を送る。向こうもそれを知っていたかの如く会話を交わしていただいた。
この方も笑顔を絶やさない素敵な方だ。私の尊敬するクリエイターは笑顔をイコールでつながるイメージがある。

待機時間の2時間という時間はあっという間に流れ、気がつけば待機列は玄関の外まで伸びていた。
親子連れ、カップル、お孫さんを連れたシニア世代など、老若男女様々な方が訪れるイベントなのだろう、開始前に私はそう印象付けた。

AM11時30分 
拍手とともに会場

それぞれのブースに急ぐ者が蜂の子のように分散する。
真夏ではあるが、中は空調がひんやりと残っており、あたかもそこが異世界であるかのような空間を醸し出していた。

私はまず「コプラス」を販売する数奇ゲームズのブースへと急ぐ。
「宇宙ホタル」を集めることが目的の、不思議な雰囲気を持つゲームだ。何よりもそのレトロチックなアートワークと色とりどりのコンポーネントが目を引く。

はやる気持ちを抑え、邪魔にならないよう迅速に購入を済ませ、次はゲームNOWAのブースへ。
先ほど少しお話したかぶけんさん製作のもう一つの作品「アニマルズ」が目的だ。
アニマル、の名の通り、弱肉強食、カニ(一番弱い1のカード)があれば場を流せるなど要所要所でこだわりのある作風。
大富豪のルールに、ライナー・クニツィア作「エスカレーション」を彷彿とさせる軽さとジレンマを加えた作風だ。
TAWARA!も所持しているが、この作品も実は隠れた名作であり、なぜこれほど面白い作品が広まらないのか常々疑問に思っている。
私は自分用と布教用と合わせて2つ購入した。

目的のゲームを無事に購入し、もうガッつくことはないと判断した私は、大きめのキャリーバッグを所持していることもあり、ここからはのんびりと回ることにした。

次は「慶長五年関ヶ原」を販売するTUCゲームズだ。
こちらも知る人ぞ知る名作と呼ばれ、ゲームマーケット春で購入できなかった失敗を今の今まで引きずっていた。
「買って後悔よりも買わない後悔」とは至極尤もらしい。
製作者の椎乃さんとお会いし直接お話を伺う。ツイート上からその人の良さが伺えるが、実際にお会いしてからもそれがにじみ出ており、改めてこのゲームの細部こだわりが本物であることを確信した。

合同ブースの様子だったので、気になっていた「派遣戦隊マモルンジャー」「うちわ「ありがとう、い〜いインストです」」も併せて購入する。イラストは同ブースのアイコンも手がける「はむはむず」のひろり先生だ。
受付にいらっしゃった方はデザインを担当されたいぬあきさんこといぬいあきらさん、前回の名古屋訪問の際にご挨拶できなかったお詫びをこの場を借りてお返しする。
このブースは後ほど「おえまる」というお絵かきゲームを購入するために再度お邪魔するなど数度にわたり足を運び、その度に長話をけしかけてしまったので、ブースの方からすれば非常に迷惑極まりない客だったに違いない。
再度になるが、改めてお詫びしたい。

予約をしていたカラーマフィアを受け取る。すでにテーブルには試遊を行う親子連れの姿も散見され、今夜もアナログゲームナイト編集長の安達さんが一生懸命にインストを行う姿が印象的だった。

次に向かうは「をしだや」ブースへ。
普段お世話になっている「ヲシダ」さんの新作を拝見する。
いつも小さなパッケージに収められている印象が強かったが、今作「モンスターバカラ」はボードを使用する特性上、大きめの箱。ひょっとするともう少し小さくもできたのかもしれないが、その辺り、製作者のこだわりもあるのだろうかと勘ぐる。
何より、大きいボードの方が「バカラ」の雰囲気にそぐう上、これで値段は500円である。お得感この上ない。
バカラ、というがルールは子供でも理解できるルールで、軸となるイラストはドット絵を基調としているものの、いつもの「ヲシダ先生」らしさを残しているあたりが素晴らしい。
簡単にご挨拶をする。イラストから溢れる優しい雰囲気そのままの方で安心した。
またいずれお話しする機会があればと願う。

その隣はあんちっく様のブース。ゲームマーケット春の後、ディレロア、すごろくダンジョンという、どことなく懐かしさを感じさせる名作を安価で販売するブースだ。
正確には販売、委託をも手がける、というのだろうか。
私の目的は「ダイヤの箱」同ブースのロングヒット商品だという。
パズルではあるが、失点を最小限度に抑える辺り、大人テイストの「虹色のヘビ」のような感覚を覚える良作ではないかという印象を持った。ぜひゆっくりと遊んでみたい。

京将棋連合の試遊卓では将棋より日本60名山カードゲームの動きが活発だった模様。
個人的な意見だと、ビーフカレーを食べに来たというお客さんに対し、「こっちも美味しいので是非」とハヤシライスをお勧めされても「えっと、ビーフカレーは?」になってしまうのではないか、とは思う。

A.I.Labブースでは航海の時代と、新作のプロット版「京都結界陣」が販売されていた。
不思議な雰囲気を持つ4人専用陣取りゲーム。丁寧なインストを聞く限りだとパッケージから受ける印象ほど堅く難しいゲームではないと実感した。
何より、この豪華仕様で、プロット版とはいえ500円とはこちらが恐縮するくらいだ。まさに「夏のゲーム」といったところだ。プロット版で埋れさせるには実にもったいない。
応援の意味を込め、もっと色々な方とプレイし、オススメしたい。

能登ごいた保存会長野支部のブースは、案の定ごい牌が即完売だった様子。
試遊卓では丁寧なインストに定評のある方が竹ごいたとボードを駆使し、ごいたの説明を行っていた。
見たところ、子供や大人まで多くの方が興味を注がれていたようで、体験卓に人の絶える姿はなかったのではないかと思う。
先日の能登ごいた大会優勝の監査官氏も見えられており、緑のはっぴでごいたをアピールしていた。
とにかくごいたを勧める方はアグレッシブで精力的な方が多い。断定してはいけないのだろうけれど、今まで私が出会った方の大多数がそういった方だった。遠く漁師の血がその根底に流れているからだろうか、と妄想してしまった。

このブースでは中古ゲームの販売と、お隣の金沢ごいた支部ではカードごいたの販売も併せて行っており、中にはすでに国内では見かけなくなってしまったゲームも破格の値段でちょこんと置かれているなど、ブースの前で長居してはいけないと知りつつも、ついついじっくり品定めしたい、長居したいブースの一つであった。

OKAZUbrandのブースへ。
横浜紳商伝がこの程米国のミープルチョイスアワードを欧州、米国のゲーム以外で初めて獲得し、エンペラーズチョイスがゲームマーケット大賞一次通過をするなど国内で最も波に乗るブースとして注目を浴びている。
新作こそなかったものの、本イベントのために用意されたチラシが配布され、手に取ると、海外で評判となっている各ゲームのパッケージが掲載されており、またイラストを手がけるにゃも先生書き下ろしのイラストも多数掲載されるなど、資料的価値のあるこのチラシを手に入れるだけでも十分このイベントに来る価値はあったのではないかと思えるほどであった。

中古販売ブースや激安ゲームの販売もこのイベントの目玉の一つ。
KleeBlattは大阪から参戦したブース。とにかくいつもお客さんが絶えなかった印象がある。
それもそのはず。「ファウナジュニア1600円」「ヤギのペッポ2000円」中古とはいえその破格の値段に誰もが財布の紐を緩める。商売人らしい口調も相まり、アレヨアレヨとお金が吸い取られていく。
もう一つが海外からのブースJIGGである。国内ではすでに見かけなくなったゲームを破格の値段で販売し、またフリマ慣れしていたからか、時間とともに値段も下がっていった。
ディプロマシーに至っては、日本語訳がないとはいえ、5000円が最終的に2000円に下がっており、私はそれを見た瞬間「あっ!」という眩暈を覚えた後の記憶が途絶え、気がつけばカバンの中にディプロマシーをお迎えしていた程である。

ようがくじ「不二の会」の方も東京から参戦。職業柄か和服姿が一番似合っていた印象がある。
お話を伺うと、何かのためにけん玉を持参するというサービス精神に感服する。
とにかくインストの姿が印象的で、静かに淡々と、しかし要所を懇切丁寧に行う、インストかくあるべし、いつも興奮しながら「あれもこれも」と詰め込み説明を行う自分にとってお灸を据えられた心地がした。禅の境地を学ぶことから始めるべきなのだろうか。

12時を過ぎ、小腹が空いた頃、ミープルクッキーなどを販売する「パン焼き工房らぼ」様に伺う。
他のゲームマーケット等との違いはこのブースではなかっただろうか。天然酵母など素材にこだわったクッキーが販売されており、お値段も良心的。



会場内は飲食が厳禁だったため、購入後一旦外に出るという煩わしさはあったが、ゲームを水や汚れなどから守る関係上致し方あるまい。

桑名囲碁サロンでは看板娘の「いおり」のパネルが出迎える。
缶バッジやクリアファイルまで品数も豊富。もちろん本業の囲碁や将棋、連珠の普及に関しても手抜かりはなく、試しにお相手願った連珠の方は、段位どころか若くして名人位を持つ方で、萎縮してしまった私は感想どころではなくなってしまった。

BGM盤上遊戯様へ。
ゲームそのものではなく、ゲーム製作を手がけるブース。
次回の東京ゲームコレクションの作品や、果てはこの度のエッセンで初披露される作品(JUGAME STUDIO様のSAKURA HUNT)など、国内外での認知度が高まる企業として注目される。
今回お邪魔して、その理由も自ずと理解できた。
その丁寧な仕上がりと、詳細な料金プラン、何より長年の経験に基づく知識豊富な点から、多くの方が信頼を寄せ、所在地は名古屋ではあるが、遠く関東、関西からも依頼を寄せるのだろう。

14時からはオインクブースにてゲームデザイナー座談会。
上杉真人さん、アキヒロイトオさん、佐々木隼さんの3名による創作方やモチベーションの維持、管理、アイデアの出し方など、すごく勉強になることが多く、私は必死になって一字一句メモを走らせた。手帳はすぐにいっぱいになり、傍らでそれを見ていたかぶけんさんに「番記者ですね」とお言葉をもらう。

時刻はいつの間にか16時。ここからは中古販売が解禁される。
列が形成されたのは日本ツイクスト協会の中古ツイクスト。すでに日本ではどこにも見かけなくなったツイクストが5000円という値段で販売されるとあらば、列をなしてでも手に入れたい気持ちも理解できる。
先に話した山路さん親子も首尾よくゲットできた様子で満足顔だった。
私は鶴橋カタン特訓会の中村さんがツイートされたように、確実に再販しそうだと感じたため、ここでの購入はあえて見送ることにした。

17時30分。閉館30分前。
実は私がこの名古屋に参上したもう一つの目的、それが「マムマムマーガレット普及」である。
片付けに取りかかろうとするかぶけんさんを無理に引き止め、カバンからノスゲムさん謹製のマムマムマーガレットを広げる。
テーブルには色鮮やかな花々が広がり、多くの人の目を惹く。
先の中村さんとかぶけんさんにインストを行い、二人の熱い戦いを見守る。やはりアブストラクトゲームに手慣れた二人。点差が離れても全く動じることなく、どこで逆転するか、できるかといった盤面を睨んでいる。すでに呼吸が違う。一瞬見せた獣のような目線に、冷や汗すら流れたぐらいだ。
ゲームは接戦となり、僅差で中村さんが勝利を収めたものの、中盤の10点差を跳ね返すなど見応えがあり終始緊張しっぱなしであった。
ゲーム後、かぶけんさんが口にした「いやぁ、もう、幸せですわ」という言葉は、このゲームを手がけたノスゲムさんに譲るべきであろう。本当にありがとうございます。

片付けの迷惑とならないよう、私はその場を後にした。
あとで判明したことだが、会場内には遠方の北海道からCygnusブースのシグナス様もいらっしゃったようで、購入のことで視界が遮られていた私は挨拶どころか存在にすら気がつかず、後になって後悔するパターンだった。次回こそリベンジを果たしたい。

夕方ではあったが、日は沈む様子もなく、街は未だ活気に満ちていた。
私は柄にもなくスキップを踏みながら、ゲーム会の行われる太陽皇子主催のイベント「ギークバー」ヘと向かっていった。

後日、主催者発表によると、今回の参加者は述べ900人。前回より200人増。割合にして約30%の増加と見ていいだろう。
台風5号が上陸した日も翌日。1日ずれていたら大変だったことだろう。私も参加できなかっただろうし、中止も余儀なくされた場合のことを考えると、その気苦労は計り知れない。
だから、今回、こうして無事に終焉できたことそのものに感謝できたら、と私は思う。
本イベントを通じ、初めて名古屋にいらっしゃった方も大勢いらっしゃった。それはお客様だけではなく、出展者としても、である。
地方活性化や業界の活性化といったたいそうなことを結びつける意味合いはなく、好きな人、興味を持たれた方に対し「もっと面白いものがあるよ」と提示できる、ニーズにそぐうようなイベントの在り方ができたら、いや、あってもいいんじゃないか、と。


ホテルで購入したものを広げる。
自慢したいとかではなく、純粋に、備忘録的な意味合いで記録しておきたかったのだ。





片付けを終え、私はビールを飲むことなく、眠りについた。
「また近いうちにお会いしましょう!」
そんな誰かの言葉が、子守唄のように耳に残っていた。





2017年8月1日火曜日

ゲームマーケット2017 体験エッセイ


(注釈)
 この物語は実話を元に構成しております。
 あくまで私個人としての楽しみ方、何を学んだか、次回に向けてのアドバイスといった備忘録の意味合いを込めて記述したものであり、ゲームマーケットの楽しみ方を強制する企図は一切ございません。
 また、私の楽しみ方は買い物を主体としておりますので、細部開催の概要や催し物等を網羅しているわけではなく、紙面の都合上、それらに関する記述を割愛致しております。ご了承ください。
 細部概要を参照される方につきましては、Table Game in the World内記事(URT:http://www.tgiw.info/2017/05/gm2017s-report.html)及びゲームマーケット公式ブログ等を参照されますとより詳細を知ることができることと思慮します。



プロローグ「本気になれず泣く」

「おはようございます!」
 今回出展される某デザイナー様からそんなツイートが流れてきた時間、私はすでに始発電車に向けての準備に取り掛かっていたところだった。
「そういえばすでに夜は明けてましたっけ…」
 個人を対象としたものではなく、あくまでゲームマーケット全参加者に向けての他愛ないツイートだったのだろう。私の引用ツイートに対し面食らった様子で
「ヒェッ…大丈夫ですか?」
 前日の私は気持ちが高ぶっていたこともあり全く眠れなかった。普段あれだけ体を酷使する仕事に従事しておきながら、楽しみにしていた行事の朝に限ってこうも目が冴えるとは。小学生の頃の自分を笑えない。
 朝の4時。からりとした空気が温度計のマイナス5度という表示を一瞬だけ忘れさせてくれる。吸湿発熱のインナーを一枚着込み、薄手のジャケットを上から羽織る。薄くて身軽な装備、これもコミックマーケット常連である嫁からのアドバイスだ。
「どうせ中で待つのだから、簡単に脱ぎ着できる格好で来なさい」
 ゲームマーケット秋は「秋」と銘打たれてはいるものの、開催日は12月8日の冬。ちょうど冷え込みが本格化する時期である。この日に「薄手にしろ」とアドバイスする人間なんて本当に現場慣れしている人間くらいだろう。何せ開催場所である国際展示場(以下「東京ビッグサイト」)は有明海に臨む海沿いに隣接しており、すなわち朝方は海風が陸に向かって吹き込み、風と朝方の冷え込みの両方から相当厳しい冷え込みが予想されるはずだと、私のような素人は考えるからだ。実際、現地に到着したところ、さながら南極にでも出発するのではないかといった厳重な防寒対策で並ばれていた方も数名散見された。
 出発地となる大月からの始発電車は当時5時25分が最速。そこからどう頑張っても国際展示場駅に到着する時間は7時35分ごろ。7時過ぎの新宿駅構内は休日とはいえ少しずつ混雑の様相を呈し、焦る気持ちも相まってホームの皆がライバルに映る。
 改札横のローソンで嫁と打ち合ったのち、会場入口へと向かう。こちらの気持ちとは裏腹に、のんびりと歩き始める嫁。
「いい?運営の通りでいいのよ。徹夜なんて迷惑なんだから」
 私が嫁と二人、待機列で並び始めた時間は8時5分。カタログに「8時以降の整列をお願いします」と記載がなされていたためだ。この時間で4列縦隊の一列目後方、約250~300番目に位置することができた。
 この日、私の目的はノスゲムブースの「マトリンゴ」ウッドバーニングという手法で手作りされた、20個ほどの限定生産品である。前回出店の際も開始3分で完売したとされる人気商品である。並ばなければまず手に入らない、前々からそう予感していたのだ。他の方の大半は恐らく今回秋の目玉である「ノイホラーエディション」ではなかっただろうか。こちらも完全限定を謳い、取り置きを予定されていた50個は予約開始3分でネットワーク回線がパンク、担当者が返信作業に追われていた姿が記憶に新しい。
 程なく待機列は室内に案内される。嫁の目論見通りだ。室内は冷え込む屋外と違いある程度の熱がある。室内の空調設備の他に、機材の熱、、照明の熱、人の熱など。やはり嫁のアドバイス通り、薄着で正解だった。
 私のゲームマーケット参加は前回春に続き2度目。後で聞いた話では、最前列に各所でその名を轟かせている中古ゲームショップ「シャッツィ」のキャロル&わと夫妻が待機していらっしゃったようだ。やはり哲人は気合の入り方が違うのである。
 待機中にも様々な嫁のレクチャーを受ける。それはこの後も余すことなく記述するが、一例を挙げると、単独で参加することは控え、誰かしら友人を誘い、複数名での待機を考慮に入れるべきだ、と。理由はいくつかある。
1、効率的に時間を潰すことができる。
2、トイレ等席を離れる際に目印となる。
3、緊張を和らげることができる。
など。もちろん当時の私はこのような即売会に疎かったこともあり、それらアドバイスの重要性が如何程だったのか見当もつかなかった。
 10時開場。流れるような人の波に押され、私はカタログを片手にブースをしばし彷徨った。前方を陣取ることができた為、入場開始からポンとコンクリートでむき出しの空間に放り出された形となり、遠方で「ここ、ここ!」と手を振る嫁の姿を確認するまでしばらく時間を要した。幸い、主目的だったマトリンゴは無事に手に入り、残る時間は予約していたゲームを、カタログを追いつつ片っ端から手に入れていく作業に移った。
 下準備の重要性を痛感したのはここからだ。
 予約をしても合言葉や予約した際の名前が思い出せない、小銭が足りなくなる、並ぶ列を乱してしまう、買った物の重量に負ける、etc、etc、
 開始30分足らずで精根尽きてしまった私はあたかもトートバッグを抱えるゾンビと化し、ひたすら元気に「次はここ!早く早く!」と次のブースを急かす嫁についていくのが精一杯だった。這々の体で一通り買い物を終え、時間は11時5分。頼まれた買い物を含む最終チェックを行ったのち、私たち二人は早めに会場を後に
した。嫁は久しぶりの即売会イベントに参加できたようで、終始浮かれ気分だった。
 駅のホームで温かいカフェオレを買い、喉の奥を振り絞りながら嫁に尋ねた。
「イベントっていつもこんな感じなの?」
 一瞬ニヤリと笑みを浮かべた嫁は、ささやくような口調でこう答えた。
「こんなんでへこたれるようじゃ、甘いわよ」
 私は嫁の底知れぬ力に軽く目眩を覚えながら、カラカラの喉を潤すように苦いマウントレーニアを飲み干した。
第1章 ゲームマーケット秋の傾向と状況

 さて、私の狙っていたマトリンゴであるが、ツイートを見る限り40分ほどの時間を開けて完売報告が上がっていた。実際はもっと早かったのだろうが、販売側は直前まで売れるかどうかを心配なさっていたようだ。素人目からしても杞憂に映る、といえば失礼になるのだろうが、すなわち、どれだけ自信のある商品を製作されたとしても、当日にならなければ売れるかどうかなんて神様でもわからない、そういった販売店側の心理というものをひしひしと感じた。
 もう一つの注目作「ノイホラーエディション」も長蛇の列ができてはいたようだが、それに比例してキャンセル待ちもいくつか出ていたらしく、時間を空けて時折ブースを覗けばすんなり購入できた、という報告も上がっていた。
 影の注目作はカナイ製作所。ラブレターなどの作品で知られるカナイセイジ氏の新作「ウニコルヌフの騎士達」が販売された上に、当日のブースにはご本人様が実際に受け渡しされていたのだ。
 むしろこの秋はゲーム以外の物販に注目が集まり、こかげ工房の皮ダイス、Cygnusブースのダイスタワーサンクチュアリといったゲーム関連のアメニティグッズが軒並み好調な売れ行きを見せていた。
 総じて、これらに目を向けるのは、ゲームに興味を持ち始めた私のような人間というよりむしろ、それなりにゲームに造詣の深い方ではなかっただろうか。そんなゲームマーケット秋の私的雑感である。

コミケとは違うのだよコミケとは!

 後悔ばかりが先立つ、いわば惨敗で終わってしまった今回のゲームマーケット秋。リベンジといった強がりではなく、年明けごろからだんだんと「いや、もしもこの俺が本気になってこの祭典に挑んだら、どれだけ変わることができるのだろう」といった淡い期待が脳内に渦巻くようになる。
 もっと出資しているはずの予算は、ボーナスシーズンであったことも幸いし、大幅な黒字収支を残している。
 ゲームマーケットは開催期間の都合上、秋と春の開催期間中にボーナス支給日が設定されることが多い。
 すなわち社会人は、一度だけ補充される「冬のボーナス」の補充を、2度に分けて有効活用しなければならない。正確には「有効活用しなければならなかった」我が嫁は、コミケこそ経験しているが、ゲームマーケットは私と同じく2度目の参加である為、開催期間まで考慮に入れてはいなかった。補足すると、コミケの場合、盆と正月の2回開催という特性から、年末は冬のボーナスで、お盆は夏のボーナスで、それぞれ購入金額を考慮すればいいからだという。
 無論、夏は夏で、東京ボードゲームコレクションといった比較的小規模なイベントも開催が予定されてはいるのだが、大きく食指が伸びるかどうかといった先の予定までこの場で判別することは控えたい。
 
今年のコミックマーケットの動向から春の傾向を予測する

 今年のコミケ冬にも面白いコスプレが登場した。「枯山水」のコスプレである。枯山水の箱絵を模したキャラクターが、まさに登場しているという一風変わったコスプレが、一部で話題となった。
 これが一体どういうことかを考えて欲しい。
 コミックマーケットにもボードゲームの出品がポツポツ登場した、ということだ。現にエジン研究所販売のハコオンナは前年度夏のコミックマーケットで販売され、その後、一般販売された。他にも、トーホクウィステリアの粒幸久氏やさといも牧場のにょにょんぱ太郎氏など、コミックマーケットを主体として活動されている方は大勢いらっしゃる。現在は書籍が主体ではあるが、今後はボードゲームを出品するようになる可能性も否定できない。そうなると、重度ボードゲーマーとしては、レアなボードゲームを購入するにあたり、ゲームマーケットの他にコミックマーケットに並ぶ必要性も生じる。
 嫁はいう。「生半可な気持ちで臨んだら、死ぬよ」
細部は省略するが、欲しいものがポンと手に入るような、生易しい世界ではないことは確からしい。
第2章 3~4月
 
 ゲームマーケット神戸から注目

 もしも情報収集をきっちり行ってゲームマーケット春に臨む気概があるならば、ゲームマーケット春の情報が上がっていないという理由でこの時期をのんびり構える、というのはあまりに早合点だ。
 よく考えて欲しい。
 自分はゲームマーケットに何をしにいくのか、ということを、だ。
 新作の品定め、だろうか。それならば何もアドバイスすることはない。だがしかし、ボードゲーム全般、面白い作品を求めて参加されるのであれば、その前のゲームマーケット神戸の各種情報も仕入れておく必要がある。
 何故ならば、神戸に参加されたブースは、そのままの流れで春に出展されるケースが多いからである。
 しかも、それら作品は、春の新作の陰に埋もれてしまい、たとえ面白い作品であろうとも、新鮮さという観点で春の作品より後方に下がってしまう。
代表例が「クレルソンと夜明けの展覧会」である。
 ゲームマーケット神戸では委託という形で出品され、その完成度の高さから一躍話題となった作品である。予約は受付開始後30分でSOLD OUT、当日も数はそれほど多く販売されなかったと記憶している。
 他にも「我が社のロゴを描きたまえ」「寿司カッパ」「キティズ」など、注目しておかなければ見落としてしまいがちな作品はごまんと存在する。それらがそのまま店舗にスライドする保証などない。
 また、神戸で販売された面白いゲームは、時間を空けたのち、各種ゲーム会などで必ずタイムラインに上がってくる。先のクレルソン然り、先行発売されたキティズ然り、寿司カッパやミソヒトサジ定食といった作品も、ゲーム会で「面白い」と評判を受け、口づてやネットワーク媒体で広まっていったものだと認識している。

ツイッターは使用上の注意をよく読んで

 リアルタイムの情報を手に入れる他のツールが存在しない以上、ツイッターに勝る情報収集ツールは存在しないことを実感した。
 ツイッターで突然告知を知るや否や、即座に拡張版が品切れとなったTOKYO HIGHWAYや8Bit Mock Upなども、ゲームマーケット公式ブログではなくツイッターによる告知で知ることができた。また、その簡便性からか、カナイ製作所のカナイセイジ氏は当日になって当日販売のゲーム「文絵のために」の情報をツイッター上で公開したほどである。
 今回の目玉であるほぼすべてのボードゲームも、そのほとんどがツイッター上で情報を獲得したのち、有志の間で広まりを見せた直後に受付終了のツイートが回るといった状況だった。先の2作品に加え、インスタントインストのトドメ騎士団、酒魅人(木箱入り限定品)、プロトクラフトのコロウラなどもそうだった。
 予約受付は早いところで4月から開始するブースもあれば(神戸後引き続き、というブースに多く見られる)、5月に入ってから受付を開始するブースもあるのでこればかりは三者三様といったところだ。
 つまり、購入者自身が「欲しいと思ったもの」を頭に入れておき、常に広範囲のアンテナを張っておく必要がある。そのためには、秋~神戸の出展者情報を常に仕入れておき、ツイッターや公式HPなどはこまめにチェックするなどの着意が必要なのだ。
 「これは今回春に販売されるだろう」「カタログを見る限りこれも販売されるかな?」「あ、さっきツイートでこの作品は落ちました、って流れてきたよ」といった情報収集を行う必要がある点、何かしら株トレーダーに似ている気がする。
 次に「欲しいものは常に臨戦態勢を敷いておけ」である。
 私も学習しないもので、せっかく人気作品の予約が販売されたというにもかかわらず、何故か直前になって躊躇してしまい、購入を決めたと思った時には敢え無く受付終了の憂き目にあってしまった。一度や二度ならず、何度も、である。
「迷ってはダメ」という格言は、このゲームマーケットに限らず、コミケ参加者の間でも鉄板の格言だと嫁は話している。当日近くになると誰とも知らず流れてくるこの「迷ってはダメ」なる格言は、例えばアメトーークの「ガンダム芸人」の回で、品川庄司の品川祐さんもアツく語っていた。また、ほぼ日刊イトイ新聞内記事「ブローチを探すイセキアヤコ」にもこのような記述がある。
「スタイリストの伊藤まさこさんが私に一言、
「迷ったら買うべし」と男前なアドバイス。
アンティークやヴィンテージは同じものに再び出会える可能性が低いから、どうにも決めかねるくらい迷うなら、後で後悔しないように、というのが信条だそうだ。」
 しかし、なんでも欲しいものをツイッターで検索しては購入候補に入れる、を繰り返していると、とんでもない数のゲームを購入することとなる。
欲しいゲームがあるということはそれだけボードゲームに精通しているという裏返しでもあるとも言えるだろうが、他人の「これはマストバイ!」「これは絶対にお買い得!」といったツイートに翻弄され、妙な対抗意識のもとで購入候補に挙げてはいないだろうか。予算を決めている、いない、に関わらず、リストの見直しはこまめに行った方が良い。欲しいゲームなんて、日に日に増えていくものである。
 また、先の失敗談の一つ「予約受付」について、自分の反省を基軸として対策を練った結果
●プリントアウトする
●送信ボタンを押す前のプリントスクリーン
 もちろんここで手間取っていると、時間差勝負のボードゲームの場合では即座に売り切れてしまうことも危惧される。一連の手順をスムーズにできるよう、練習しろ、とまでは言わないが頭に入れてから望む必要がある。
 またこの春は「なりすましに気をつけよう」といったツイートもタイムライン上で注意喚起が回ってきた。自分の代わりとなって商品を受け取り、本物である自分が受領に行った際にはすでに替え玉が購入した後だった、となっては泣くに泣けない。
 各ブースが行なっていた自衛策として、予約番号を聞く(各ブース)、生年月日を聞く(ようがくじ不二の会)、本名登録を推奨する(モグワイ)、合言葉の登録(オカズブランド)などだ。
 また、自身のツイッター上でぐちぐちと愚痴を吐くだけならば、別にアカウントを作成したほうがいいということも知った。あけすけにボードゲームの文句や批判を繰り返した後だと、やはりそのブースや他所の商品まで買いづらくなってしまう。人間、やはり性根の部分は悪者に染まりきれないのだろう。

 クラウドファンディングについて

 さらに、今回特筆するべきは「クラウドファンディング」である。
 欲しいゲームをクラウドファンディングを通じ先行的に手に入れるという手法も数多く存在した。私の知る限りでも、ニンニンニンジャ、きまぐれねこさま、三角ごいた、ゾン噛マパーティ、マジョリティパーティ、などがそう。これについては後述したい。
(なお、前回「マモノノ」において同様の手法で出資を募ったケンビルだが、ここだけ少し毛色が違う。設定金額をあえて低めに設定し、目標を達成しようがしまいがゲーム自体は作成し、その後に行われるゲームマーケットにも販売する、と。すなわちクラウドファンディングを「宣伝媒体」の一環として活用する手法だ。こういう方法もあるのか、と感心した次第である) 

第3章 5月

徳をみがけ、神に祈れ!

 残り2週間。ここまできたら一番重要なことは「我が身」であり、人脈である。まずは当日まで、平穏無事に過ごすことのできる日程調整が必要とされる。要は社会人としての自己管理能力が問われるのだ。殊更5月という時期の特性上、小学校なら運動会、家庭訪問など、中学、高校ならば中間試験や部活動の新人戦に向けたトレーニング開始など特段業務多忙となるシーズンである。前々から予定を組んでいたとしても、直前になって参加不可、の憂き目にあう可能性もゼロではない。
 これに加え、5月という天候の急激な変動に、黄砂や強風、当日の気象条件なども加味すると、体調管理に関しても何かしらの自衛策を講じておく必要がある。健康面では常日頃から体を鍛えておく必要があるだろうし、病は気から、というならば、メンタル面での不調に負けない勤務環境、家庭環境を整えておく必要がある。そういえば5月病のシーズンもちょうどこの頃だ。ツイッターならば、ちょくちょくネガティブなツイートをする相手をミュートするなど行えば良い。ミュートは相手に通知が行くことなく相手のツイートをある程度自分のタイムライン上に乗せずに済ませることができる機能であり、上手く使用できれば万能なツールである。
 仮に行けなくなったとしても、そこで腐ることなく、他に手に入れる手段を色々講じることもゲームマーケットの一つの楽しみ方ではないだろうか。
 手に入れにくい方のために事前に通販をなさるブースもある。また、人気の作品は時期を見て委託することもあるだろう。手に入れる手段はいくらでもあるのだ。
 ただし「通販まだですか」とツイートで製作者に直接返信する姿は端から見て少々厚かましい。製作者も暇ではないのだ。そこは辛抱するぐらいの度量を持つべきではないだろうか。

通信販売に不信感を覚えた事件

 またこの頃、ネット上ではちょっとした事件が発生した。
 まず通販大手駿河屋の「サントリーニ不達事件」だ。
 3月ごろから駿河屋でも予約受け付けを開始したサントリーニであったが、直前の3月22日になって入荷数と予約数に差が生じたことを理由に、予約キャンセルのメールを大多数の人間に送信する事態へと発展したのだ。このエッセイを執筆している現在まで入荷の目処は立っていない様子である。
 次に、こちらも大手通販サイトAmazonマーケットプレイスによる架空出品詐欺である。格安の値段に目がくらみ購入ボタンを押すが、振り込んでも目的の商品は送達されず、逆に入力した個人情報やクレジットの情報を抜き取られ、別の詐欺に使用される、という詐欺が横行し、その範囲はボードゲームにも及んでいた。事実、この私も、幸いにして実害こそ被ってはいないものの、現在も万単位の高値が続くドミニオンが3000円台という価格表示を目にした時にはつい何も考えず購入ボタンを押すところであった。
 以上の件から、通信販売の格安販売を謳う商法に幾分の不信感が生じる結果となった。今回のゲームマーケットの対面販売とどう結びつくのかについては不勉強な私より専門的な経済アナリストの意見を待ちたいところではあるが、この件が転じて、少なくとも私自身の中では「通販があるから販売店待ち」と言った断片的な思考から少しだけ横にズラすことには成功したようで、やはり多少値は張ろうとも対面販売の安心感には敵わない、といった結論に至ることとなる。

ゴールデンウィークは使い方を考えて

 今回春の各出店ブースは、その宣伝方法が多種多彩であった。
 その中の一つが「体験会」である。
 イエローサブマリンやゲームカフェなどで行われる新作ゲーム体験会では、ゲームマーケット春の新作をいち早く遊ぶことができるとして、連日大勢の人だかりができた。
 特に今年は、ヨドバシカメラ新宿西口にもスペースが設けられ、頭の片隅に残るゲームは大抵その際に目についたゲームであることが多く、私自身もその時に目に入った「マギアルマ」に一目惚れしてしまい、その日の夜に購入予約を入れた程だ。
 もちろんこういった機会に恵まれているのは関東圏内が主だろう。
 また、ツイッターを眺めていると、平日夜にテストプレイを呼びかける製作者も多くいらっしゃる。あいにく私は機会に恵まれなかったが、参加できるならば足を運ぶのも良いだろう。クレジットに名前も記載される場合もあるようである。
資金繰りも大変だろう。ゲーム会は予算がかからないから便利、などと思っていたら、その後の2次会、3次会等に誘われるなど予定外の出費を支払うこととなる可能性もある。
 ならば料金一律1000円などと決められているゲームカフェなどで飢えをしのいだ方が幾分経済的とも言える。ちなみに八王子のゲームカフェ「ぶれん」や横浜関内のゲームカフェ「ぶんぶん」などがこの料金システムを採用している。また一部のゲームカフェなどでは、新作をいち早く体験できるよう、製作者が新作ゲームを寄贈している場合もあるのでチェックされるといいだろう。
 また、ゴールデンウィークは、当日の金銭管理を行う絶好の機会であることも頭に入れておきたい。
 平日に休暇の取りにくい社会人ならば5月の1、2日といった平日が比較的休暇の取りやすい平日であるだろうと思う。(もちろん各業種により差はあるだろうが)この平日を使い、銀行でなるべく多くの小銭を調達しておくのだ。決して遊びもしないゲーセンの両替機を独り占めしての両替などといった手段を取るなどして参加者の一人ひとりのイメージを害さないでほしい。

カタログの使い方が当日の明暗を分ける

 まずこのカタログであるが、販売されたならば、即座に購入することをオススメする。
 前々回の春において、カタログの発行部数が足りなかった影響からか、5月当初の段階で売り切れが続出するというちょっとした騒ぎとなった。
購入できる場所は各ゲームショップやゲームカフェ、Amazonなどの通販サイトである。(ただし通販サイトの場合、過去のカタログも普通に販売されているので注意が必要)
 もちろん「カタログなんて、当日並ぶ直前に購入すればいい、単なる入場チケットの代用だ」と捉えていらっしゃる方もいるだろうが、実にもったいない。カタログには本当に様々な情報が掲載されており、単なる出展者の宣伝媒体ではない。順を追って見ていこう。
 嫁曰く、コミケ参加者はカタログのことを「宝の地図」と称するらしい。今回春のカタログには、見開きページに場内の案内マップが掲載されている。ここに経路や参加ブース、当日買うものリスト等を縷々書き加え、自分だけの「攻略マップ」を作成する、といったRPG的な楽しみも含まれるのだという。(下図参照)
 しかし、どうもこのカタログの見開きページ、書き込みづらいのである。
 嫁はそんなこと百も承知とばかりに「公式HPからホールマップを印刷して」と私に注文する。嫁の要求通り、公式HPには図表だけではなくPDF形式でダウンロード可能なホールマップが掲載されている。カタログを使うよりもこちらを印刷して使用する方が俄然使いやすい。何より、当日は何かとマップを見ながら動き回ることになる。カタログはかさばってしまうのだ。その点この図表を印刷しておけばポケットに折りたたんで持ち運ぶことが可能である。なお、印刷の際、微妙にサイズが変  わることがあるので(私のプリンターでは倍率80%で丁度の大きさ)適宜調整されたい。
  ちなみに私の場合、このマップには敢えて進行順の矢印を書き加えず、行きたい場所に昇順で番号を割り振るに留めた。矢印を書き加えると後で買い足したくなった際の修正が効きにくい上、図の見た目もごちゃごちゃすると教わったからだ。  
 次に、カタログを眺めながら、当日に買うものをリストアップする作業に移る。
もちろん人によって「欲しいものは取りこぼしなく全て買う」「予算ありきだから範囲内で欲しいものをチョイスする」「お祭り感覚なのでふらっといって面白そうなものを適当に買う」など買い方については十人十色だ。事実、私が当日の購入リストをツイートしたところ「人それぞれ」「楽しみの押し付け!」といった批判がいくつか集まってしまい、慌ててツイートを削除する事態となった。
 予算のリストアップは、余裕を持って行うべきであり、面倒だと思っても、きちんと小銭単位の計算を行うべきである。途中で小銭が足りなくなり、万札を用いることになる羽目になる可能性もあるからだ。
 全金額のトータルだけではなく、私は使用する紙幣、硬貨の枚数まできっちり計算した。否、正しくは「面倒だから計算するのをやめた、と話したところ、嫁からきつい説教を受けた」が正しい。買い物途中で資金がなくなる(補給が途絶える)ことは戦場に於いて死につながるのだ、と、やはり私はどこか戦地に赴くような気がしてならない。 
 もちろん当日、ブースの前で購入したくなることも念頭に置き、言われるがまま、予算の約1・5倍の資金を調達した。
 ちなみに、ビッグサイトにも一応ATM自体はあるのだが、かなり長蛇の列となるため「有って無いものという認識で臨むもの」がコミケ参加者の鉄則とも呼ばれているらしい。




買うものの優先順位とは

 そんな各種事象にもめげず、私は嫁からスパル…、訂正、熱烈なアドバイスを受けながら、当日買うべきもの、後回しにしてもいいもの、をランキングにして選別する作業を行っていった。時間にして2時間ほどかかっただろうか。
 優先度の高いものから順に
1 当日限定品(今回だと、セネカや僕のひな祭りなど。ゲームよりグッズが多い)2 購入特典がつくもの(例:マギアルマは購入者特典が先着順でついた)
3 ブースが委託を考えていないもの(委託となりそうなもの、とは別。あとで撤回し委託するケースもあるので一概に判断できない点が難しい) 
 よくゲームマーケットの購入順序を短絡的に「一般販売されるものは後回し」と判断される方がいらっしゃるようだ。しかし、去年6月にインサイダーゲームが販売された時のことを思い出して欲しい。同日に名古屋で一般販売された後、あまりの人気に生産が追いつかず、近傍の店舗に並ぶまでかなりの月日(私が店舗で手にしたのは9月頃)を要したではないか。欲しいと思ったら手に入れておく、それはそれで正しい判断ではないかと私は思っている。(今回のケースだとラストフライデーなどがそれに該当するだろうか)
 あれこれ欲しいものを選別しているうちに、当然それに比例して、購入予定金額もえげつない金額となっていった。
 恐る恐る嫁に報告する。
「これだけ欲しいんだけど…」
「何寝ぼけたことを言ってるの?!アタシがコミケに参戦した時なんか、ハガレンの本(注;鋼の錬金術師の同人誌)だけで軽くそれくらいのお金が飛んだんだからね!」
 やはり勇者の感覚は人とは何処かかけ離れた世界に到達しているものらしい。

とはいえ、過信は禁物

 もちろん買うべきものがカタログだけに掲載されているわけではない。むしろカタログだけに刮目しすぎていては、例えば「ゴリ×夢中」や「百圓侍」といった、紙面では面白さが伝わりにくいゲームを見逃してしまうだろう。だから常日頃からの情報収集は重要で、特に先ほどのツイッターによる情報収集活動はちょこちょこと行わなければ、欲しかったゲームだったのに敢え無く予約終了の憂き目に会うこともしばしばなのだ。ツイッターと公式HPをチェックしておけば、たいていの情報は手に入るだろう。しかし過信してはいけない。当日が近づくにつれて、ゲームマーケットのサーバーダウンは醜いものになることをお忘れなく。それは不意急襲的にサーバーダウンが発生するツイッターも同様である。
 
 また、当日が近づくにつれて「今度のゲームマーケットでの注目作を教えてください(^ ^)」といったツイートを至る所で見かけるようになるが、これもあまり宛てにしない方が良い。そもそも、本当に自分が欲しいゲームを他人に教えてまでライバルを増やすなど、そんなお人好しが数多く存在するはずがないではないか。返信するのは一向に構わないが、あくまで「こんにちは」「さようなら」といった挨拶程度の認識にとどめ、さほど真剣に考えることなく、あくまで参考程度に頭の片隅にでも入れておくことをお勧めする。
 
 前回の反省を通じ、開幕直後から並ぶブースは何か、自分の中では大体の検討がついている。
 まず「人気のブース」こればかりは事前の予習がカギを握る。狙っているのは純粋にボードゲームファンだけではないという点も記載しておきたいのだが、今回はその点に触れると長くなりそうなので割愛したい。
 次が中古ゲーム販売ブースだ。昨年10月の東京ボードゲームコレクションにて、注目はJUGAME STUDIOの「ワインレーティング」と「真打」だった。特にワインレーティングは開催直後から長蛇の列ができ、私の見ている限りでは予定していた40個が10分で完売、真打も30分で完売だった。
 その横で同様に長蛇の列を形成した物販ブースが中古ボードゲーム販売のブースだ。確かにドイツの隠れた名作ボードゲームが半額以下の値段で手に入るとあれば並びたくもあるだろう。
 手持ちに余裕があれば、欲しいゲームを先に取り上げたクラウドファンディングやゲームマーケット体験会を通じ、先行的に手に入れる方法をお勧めしたい。先んじて記述するが、当日朝6時から前方9列目に並び始めたけれども購入できなかったというノスゲムブースの幻のゲーム「マムマムマーガレット」も、4月に六本木で開かれたアトリエノスモスという個展にて先行販売されたことも付記しておく。

イベント前の「うつ」対策

 5月ごろになると、ゲームマーケットに限らず、イベント前になると憂鬱になることは誰しも経験することだろう。
 これに関し、いろいろ書籍を漁ってみたが、特にこういった心理効果についてどういったものなのかを調べ上げることができなかった点、先にお断りしておきたい。
 ただし、近似した記述を2、3発見したので紹介し、対策としたいと思う。
「スタンフォードの心理学講義「人生がうまく行くシンプルなルール(ケリー・マクゴニカル著)」によると、この症状は「チャレンジ反応」と呼ばれるもので、「今こそあなたを待ち受けるチャレンジ(仕事や問題)に立ち向かう時だ」ということを、体が理解しているサイン」なのだという。この反応が起こることにより「燃え尽き症候群」を防ぐことができ、疲れが感じにくくなるのだという。
 同書籍ではさらに「不安でドキドキしたり、緊張し始めたりした時、そうした症状全てが、あなたを成功へと導くためのエネルギーを体と脳が与えてくれている”サイン”であり、「不安が、私たちを頑張らせてくれる」ことを思い出す」「不安やイライラを感じたら、それをワクワクするという興奮として解釈する(するとより自信に溢れ、準備が整ったように感じやすい)」ことが有効だと述べている。
 また、ほぼ日刊イトイ新聞掲載「今日のダーリン」にもこのような記載がある。
「人に会うのは、風呂に入るのと似ています。
風呂も、入るまではおっくうがってぐずぐずしてても、
湯上がりに後悔したことはない。
人見知りだってなんだって、会うことですよね。」
(出典「ほぼ日手帳2011 4月20日掲載「今日のダーリン」より」)
 この「人に会うこと」の部分を「イベントに参加すること」に置換して読んでみてはどうだろうか。
第4章 ついに当日

前々日は寝ろ、とにかく寝ろ

 前日はよく寝ろ、というアドバイスをよく見かけるが、たっぷり寝るべきはむしろ2日前である。前日はおそらく気持ちの高ぶりからか、往々にして寝たくても寝付けない。このエッセイ序盤の私のような状態だ。
 前日に少しでも体力を維持するために、前々日の宴会等はなるべく控え、たっぷり睡眠をとっておくことを推奨したい。
 また「そこまで睡眠が必要なのか」といった議論も出てくるだろうと思うので、私なりに学んだ睡眠の効果をいくつか紹介する。
 眠りの効能はおよそ3つある。
●風邪の予防(免疫力の向上)
●体力の回復
●メンタル面の衛生効果
 マンガで分かる心療内科(ゆうきゆう著)のゆうきゆう先生は同著書の中で「不眠で死ぬことはない」と断言した上で「目をつぶって横になっているだけでも十分眠っている効能がある」と提言している。
 睡眠の効能については各々の処置対策があるだろうが、私が嫁から聞いた対策をいくつか紹介する。
●風呂はシャワーをさっと浴びるだけ。
●酒は飲まないに越したことはないが、牛乳を飲むくらいならノンアルコールのビールの方が心理的に効く。
●部屋が寒いと眠れない。部屋の換気も重要だがほどほどにし、室内の保温多湿に努める
 イチロー然り、ダルビッシュ然り、有名スポーツ選手はその日の体調や睡眠時間、食べたものに至るまで事細かに管理している。すなわち、体調が悪ければ、バッターボックスで三振することすらできないということを今一度考慮に入れて欲しい。

当日

 電車の中の空間はさながらタイムワープのような空間だ。
 何度も何度もトンネルを抜け、現れる亜空間の風景は所々に電燈が点る。
 街が鼓動を始める。
 それに共鳴するかのように、始発列車は静かに動き出す。 
 気温13度、前日は雨模様の中で外回りの業務だった影響を受け、これでも少し暖かいという印象を受けた。すでに現地では列に並ぶ組がツイッターで報告ツイートを上げていた。
 なお、あまりに早いと、牛丼チェーン各店舗の朝食セット開始時間が大抵朝5時であることを忘れたりするので注意が必要である。
 それでも絶対に朝は食べた方が良い。朝食べなければ、列に並ぶ体力を消耗してしまう。列に並ぶ行為はそれだけで体力を奪う行為なのだ(嫁曰く)。 
 また、スマホのバッテリーをなるべく温存しておきたい。当日の電車の時間を確認したり、電卓や写真撮影、もちろん買ったボードゲームの確認や印刷を忘れた予約品のチェックなどスマートフォンに頼るべき場面は非常に多い。だからと言って安易にバッテリーの予備を持っていくことができるかといえばそうではない。それぐらいバッテリーは重くてかさばる。重い荷物を背負って行き、帰りは捨ててくる、というわけにはいかない。
 スマホといえば、乗り換え案内にも一杯食わされてしまった。
 大月始発の電車の乗り換えを調べるのに、ヤフー乗換案内を使用したところ、ルートが「大月~高尾~東京~新木場~国際展示場」と提示される。このルートだと確かに大月始発5時2分の電車で7時22分には到着できるのだ、が、そのためには、東京駅構内の中央線~京葉線ホーム間をわずか9分で移動しなければならない。距離にしておよそ500メートルほど。無論「上り降り含む」である。
 仮に「ナビタイム」を使用していたならば「大月~高尾~新宿~大崎~国際展示場」と提示され、到着が7時25分ではあるが多少体力の消耗を抑えたルートとなり大幅な体力の余裕ができる。結果、やむなく一本遅らせることとなった。
 
現地の気象は、現地到着組からのツイートによれば雨が降っているらしい。
 慌てて嫁に連絡し、傘を買うべきかどうかを確認した。
どうやら(この程度の雨では)傘を買う必要はない、と。どうしても濡れるのを気にするならば(紙モノが多いならば)、ビニール製のゴミ袋に濡れて欲しくないものを被せ、終わったらゴミ箱に捨てる、という使い方を推奨された。
 7時55分、私たち2人は待機列へ。2列目前方。順序にして250~270番前後。昨年秋から多少増えた程度の位置をキープ。

 8時30分ごろ、待機列は室内に通される。入口から入場口までの誘導は一考を要する。今回は前回秋と趣向を変え、入口のゲートでカタログの確認を行い、未購入者はその場で購入できるという方式だった。しかしその誘導が少々大雑把だったために、待機列が大幅に乱れてしまい、後方に並んでいた人間が列をかき分けて前方になだれ込み、列の再整理を行うこととなってしまったのだ。当然待機者からは「せっかく早朝から並んだのに」「列とは一体…?」といった声も上がっていたが、怒号ひしめくような雰囲気とならなかった点は他のイベントよりも客層にモラルがある、と受け取って良いのかもしれない。嫁も「普通なら暴動が起きてるよね」と話していた。

 ここからは、しばし外で待つことに。非電源ゲームのイベントらしく、待ち時間もボードゲームで遊ぶ姿がちらほら見受けられた。
 改めて、待機組が遊んでいたゲームを眺めてみると
●ごいた(ごい牌)
●トランプ(大富豪)
●インサイダーゲーム
●ワードバスケット
●ノイホラーエディション
 多人数で楽しめ、かつ野外でも対応可能な定番ゲームが多かった印象だ。その辺りはトランプやウノといった汎用性の高いゲームが好まれるのだろう。
 9時過ぎからは好天に恵まれたことも幸いし、多くの待機客が非電源ゲームで楽しむ姿が見られた。とはいえ、大半の方はカタログを読んだりスマホを眺めたりといった単独での作業姿が目立った印象を受ける。また、この待機列にも子供づれや果てはベビーカーを持参しての親子連れも何組か見られた。説教がましいことは言いたくはないが、子供に長時間の列待機は少々酷ではなかっただろうか、と他人事のように思った次第である。

 外での列の待機時間は、およそ1時間半を見越しておけば良いだろう。
 男性は特に当日の体調管理に気を使ったほうが良い。トイレは待機列近傍にあり、比較的小便器は並ぶことなく済ませることができる。嫁の動向を伺う限りでは女性トイレもそのような印象を受けた。ただし男性大便器は別で、かなり長時間を覚悟するべきである。お腹でも壊しているならば最悪である。やはり当日朝は生物など突飛なものは口にするのを控えたほうが良いだろう。18禁の書籍が多めのイベントと違い本当に困っている人が大便器に列を作っていることは確かであるので、その点は譲り合いとゆとりの心を持ちたい。

 10時会場、外で待機していた人間はものの5分で有明モンスターの体内に飲み込まれる。入場も比較的スムーズ。後述するが、他のイベントに比して入場者数は少なめのイベントゆえ、200~300人程度であれば開場と同時に中に入ることも可能ではないかと推察できた。この判断基準を持ってすれば、当日朝に余裕を持った行動ができる気がするのだが。
 私たち夫婦はマップを片手に手分けして買い物に取り掛かる。勇者というより、さながら戦場での伍長と二等兵のような扱いだ。
 マップを手に「まずは右の列、次はここ!」といった嫁の指示・誘導に従い、次々に品物を購入する私。
 購入の際は私に付き添うのではなく、あくまで邪魔をせず、側から眺めて次の息策を考えておく辺りが経験値のなす技といえよう。

 マスコミの注目は事前の電撃プレイステーション誌上でも話題となっていた「トドメ騎士団」「弱者の剣」「サムライソウルフード」といった、グラフィック的に目を引くゲームに集まっていたようだ。
 
 一通り買うものも済ませることができ、気がついた点、反省するべき点も生じたので、反面教師の意味合いを込めて列挙したい。

●頼まれごとはほどほどにすべき
 これは反省材料だ。他人の荷物の重さは自分のものと違い(感覚的なものだろうが)断然違う。細部は省略するが、友達を思うならゲームは厳選しろ、と。値段の計算が大幅に狂う上に、荷物についても負担になる。買い物を依頼する人間がそこまで考慮に入れているとは到底思えない。
 ちなみに嫁曰く「頼まれものは郵送しないで!箱がへこむ可能性があるから」と。昨今の輸送関連のニュースを見て、信頼問題に起因する問題であるからこの点は個人の裁量で判断されたい。

●マスクは万能
 これは特に女性に言えるかもしれない。スッピンを隠せる上に、風邪予防、何より、寒い日の場合、顔面の保温につながる。
 ちなみにこの後、嫁はテレビ東京の取材陣からインタビュー対応に戸惑っていたが「会社に内緒で来ているんです」の一言を付け加えてさらりと交わしていた。その一言が出てくるあたりが「さすが勇者だ」と実感した一コマであった。

●札は崩してくる
 あれだけ運営側、ブース側が散々注意喚起を促しても、開始早々から高額紙幣で買い物を行う客を見かけた。根絶が難しいのであれば、理解のある人間の意識から変えていかなければならない。草の根運動、とでもいうのだろうか。もちろん嫁は呆れていたが、この場でそれを論じても仕方がない。
 なお、ゆうちょ銀行の場合、ゆうちょATMで「*0千円」と入力することにより、貯金残高から千円札×*0枚のお金を下ろすことが可能である。


●差し入れは持っていった方が良い
 差し入れであるが、小型のクッキー程度で十分だ。値段にして300~500円程度。あまり大きくてかさばる地方の銘菓を持っていくと受け取る側に迷惑がかかってしまう。親切を押し付ける行為は避けた方が良い。
 またネット上に掲載されているコミケの情報をここでも鵜呑みにし、気を利かせたつもりでポカリやスポーツジェルなどを差し入れする方もいらっしゃるだろうが、コミケと違い気候的に穏やかなため、可及的速やかな水分補給は必要ない上に、紙関連の媒体が多いことを考慮すると、水物は控えた方がいいだろう。
 なお、しらたまゲームズでは「チロルチョコ企画」と称し、チロルチョコを差し入れで持参してくださった方にお返しプレゼントをするという企画を行っていた。こういった逆打ちのパターンも「差し入れを考えているけれど、何を送ったら良いかわからない」という理由で考えあぐねていた層にとっては呼び水となったのかもしれない。

●郵送に関して
 郵送するならば、SMLサイズのゆうパックが用意されていることは、カタログ巻末の漫画で皆が承知していることだろう。
 ただ、11時30分に伺った際、すでにSサイズは完売であった。
 たくさん購入したつもりの私でもMサイズの箱で充分の容量だった。ちなみにお値段はSサイズ200円、M250円、L300円+郵送料、である。

●走るな
 広い空間、焦る気持ち、走りたくなる気持ちもわからないではない。だがしかし、周囲は大きなトートバッグやキャリーバッグなどの荷物を抱える人で溢れている。さらに、今回のゲームマーケットでは特に「ベビーカー持参の親子連れ」も多数見られた。走ってそれらと接触し、仮に何らかの大事故となってしまった場合、今後の運営に及ぼす影響は大である。参加者のマナー、モラルは各人で守ってもらいたい。(ちなみにスタッフでもないのにむやみやたらと駆け回っていた某人の姿を眺めていた嫁曰く「コミケでそんな奴がいたら誰とも知らず足を引っ掛けられるから」と愚痴をこぼしていた)

●やはり事前のチェックは必要
 今回特筆すべき特徴として、人気作品や気になった作品はとにかくチェックしておく必要があった、という点だ。先の「カタログの使い方」を参照する理由がまさにこの点に集約される。
 今回、特に開始30分も経過することなく完売する作品は、私がツイートを確認する限りかなり多くの作品に見受けられた。体感として、前回秋とは段違いの多さではなかっただろうか。
 もちろんそれ以降に残った作品が粗悪品と断定しているわけではなく、例えば、KITERETSUブースのテキスタイルや猫と死体と12人の容疑者は昼以降の時間まで販売されていたし、ちかすず氏考案のhammerWorksブース「じゃんけんノーボーダー」という隠れ名作ゲームも昼以降まで販売されていた。

●それでも参加者は「少ない」方だという意見も
 今回春の来場者数は1万3000人と公式HPで発表されている。この数値を多いと見るか少ないと見るかは個人の裁量に委ねるところだ。参考までに、前回のコミックマーケット冬の入場者数は最終日(日曜日)だけで約21万人、東京ゲームショウは最終日だけで約10万8千人である。余談であるが、上記3つのイベントはいずれも右肩上がりに入場者数を伸ばしている。

 買い物を終えた11時40分ごろには、俺は荷物の多さと移動の多さですでにぐったりしていたのだが、一方の勇者嫁は終始不機嫌だった。嫁の頭の中では、この程度の買い物だと1時間ちょっとあれば終了する計算だったという。もっと私が手間取ることなくささっと動けば、と終始ぐちぐち話していた。

 国際展示場を後にした私たちは、その足で新宿に向かい、簡単な食事をとった。 
 妻と別れた私は、齋藤孝先生が著書「読書力」の中で、本を購入した後に喫茶店へと入り、ある程度本を物色しておくようアドバイスしていたことをふと思い出した。
 それに習うかの如く、私は残された体力を振り絞り、とあるゲームカフェ主催の戦利品会に参加したのだが、低下した体力ではインストもままならず、終始グダグダな状態でプレイを続け、周囲 の反感を買ってしまう有様だった。やはりこんな日は無理をせず早めに休むことをオススメしたい。
エピローグ「最後から二番目の真実」

 購入できなかった、撮り逃しがあったとしても、諦めてはいけない。その後のツイッターを確認しておけば、委託販売や通販による販売を行うブースはたくさんある。
 なお、一つ一つツイートを確認するよりも、ゲームマーケット公式HPに各ブースはまとめて取り上げるようなので、チェックしてみると便利だ。

 後日、様々な方のプレイレポートをツイートで眺めるたびに、未だ取説すら読みきれていない自分のゲームに少々悲しい思いをすることもある。
 嫁は言う。「趣味の世界で、好きで売り買いして、好きで満足すればいいものを、どうして高い望みまで追求するわけ?」
 この言葉も元をたどればアランやニーチェの思想に繋がるのだろうか。つくづくこの世界というものを紐解けば、何かしらの哲学に通じるような気がしてならない。
 ゲームマーケットに、何故行くのか。ジョージ・マロリーでなくともそんな疑問にかられることはままある。
 欲しいゲームがあるから、格安でゲームが購入できるから、ボードゲームの祭典だから、人と人との交流のため、などなど、人それぞれ、様々な意見があることだろう。
 それを受けての僕の意見はこうだ。
 僕は、製作者様に感謝の気持ちを伝えたい。
 素晴らしいゲームを届けてくださった製作者の方々に「ありがとう」の言葉を、直接伝えたいのだ。

 最後に、ゲームマーケット公式HPに記載されている、ゲームマーケットの理念を紹介して、締めの言葉としたい。

アナログゲームのイベントであるゲームマーケットは、「みんなでたのしく」過ごす場でありたいと思っています。
「みんなでたのしく」過ごすには、「人を思いやる心」が必要です。
「みんなでたのしく」過ごせ、「人を思いやる心」を自然に育める、そういうイベントでありたいと願っています。 


(Fin)

孤独に立ち向かう 神戸・三宮ボドゲフリマ遠征記

先週から続く関東外への遠征に、正直、気持ちよりも身体が先に悲鳴を上げた。 抜けない疲労に、抜ける毛髪、ざらつく肌に、テカる脂汗……。 こと、創作活動とは、自分の中の全てを表現するに留まらず、聞いてもらう相手を想い、尽くす気持ちが整理された上で、何かしら自らの犠牲を伴う行為なの...