番次郎の盤上万歳!!: 熱い想いを胸に秘め〜私の東京BGC体験エッセイ〜

2017年8月13日日曜日

熱い想いを胸に秘め〜私の東京BGC体験エッセイ〜

※この記事は、先日行われました東京ボードゲームコレクション(以下「東京BGC」)に関する記事となっております。
しかし、本文中に、写真は一枚も、ブースの細部内容も網羅しきれておりません。
あくまで、私、番次郎が現場で感じました、体験エッセイとなっております。
その点を御了解いただいた上で、お楽しみください。

(※8月16日 本文加筆)


前日夜になっても、私はまだ頭を抱えていた。
東京BCGで何を購入するか、事前の計画はあらかた決めてあり、目ぼしいものにチェックするといった入念な準備も終えた、はずである、が。
何から先に行けばいいのか、まるで見当がつかない。
いわゆる「開幕一番手に何を狙うか」という問題だ。
取るに足らないことだと、笑うならば笑うがいいだろう。

できうることなら、先んじて手に入れたいもの、現地ならではの物を優先して購入しておきたい。
それらは前回のゲームマーケット春において、コミケの常連である私の妻から散々叩き込まれた事項だ。
私は昨年も東京BGCに参加の経験がある。
その際は、開幕とともに列をなしたJUGAME STUDIOブースのワインレーティングと真打が瞬時に売り切れた印象が強く残っている。
今回も「SAKURA HUNT」と「PERFECT HOTEL」という二枚看板を堂々と掲げ、参戦が予定されている。
幸いにも、今回はブース側が予約体制を敷いてくれたので、私は迷うことなくその恩恵に預かることにした。

他にも、オインクゲームズの「ダンジョンオブマンダムⅧアートブック」、しゅぴ〜る遊園地の「しゅぴっち総選挙」、東京ゲームメイカーズの「オイルモンスター」、堀場工房の「ゲーマー妻の憂鬱」、ワンドローの「マルポ航路」等々、考え出すと際限がなくなるのが現状だ。

一度ツイッターを見始めると、周りの参加者が皆、私の狙わんとするものをすべからく買い占めようとしているのではないか、という強迫観念に襲われる。
しかしながら、直前まで製作者サイドから上がってくる情報も邪険に扱うわけにはいかない。
情報戦場に取り残される不安にかられ、ふっと消えるスマホの画面を、そっとホームボタンを押してはTLをチェックし、しばらくしてまた確認、といった所作を、私は寝床で延々と繰り返していた。
案の定、眠りに落ちるまで長い時間を要した。

この日の東京は、三連休最終日、お盆の入りに加え、コミックマーケット最終日、深川八幡祭りといった各種イベントが満載のため、東京界隈はちょっとした人の混雑が予想されるという。
前回の名古屋遠征もあることだし、たまには合間を縫ってのんびり、と洒落込みかったが、時間の経過とともに混雑が予想されるとあっては、なるべく早いうちから会場に入っておかなければならない。
私は再度大月始発に乗り込み、一路浅草へと向かった。

行きしなに覗いたツイッターでは、朝4時という時間になっても袋詰めの作業に追われる製作者様がTLを賑わせている。
その中の一人が、かのボードゲームアイドル、しゅぴ〜る遊園地の「珠洲ノらめる」さんだ。

「角丸おわったぁぁぁ、ほんと角丸時間かかる。あとはビニールに詰めて、完成」

ツイートは朝5時5分、フォロワーでもない立場の人間が口出しするのもどうかと思ったのだが、お節介な性格が災いし、私は思わず「休まれてはいかがでしょう」と返信した。

「ごはんとドーピングで切り抜けようと思います」

返信は即座に返ってきた。
彼女の健気な姿に、私は思わず目頭を熱くした。
今回の私の開幕一番手は、このブースに行くことを固く誓った。

会場に入った時刻はきっかり午前8時を厳守。その時点で前方には6人ほど並んでいただろうか。
前回と違い、今回は赤色の誘導棒を持ったスタッフの方が数名態勢で待機列を誘導してくださった。
並ぶ方は皆、黙々と開始時間を待つ印象。
室内だからだろうか。手持ちのゲームなどをしながら騒いで待つ、といった行動は見受けられず。
待機列で、名古屋の時もお世話になった関西の中村さんとお会いする。
遠方から色々とおつかいを頼まれているらしく、青く大きなスーツケースがギラギラと輝いていた。

午後10時。拍手とともに開場。
私は早速目的のゲームを買い漁りに回る。

購入先のブースの感想をいくつか記載しておきたい。

開幕一番で購入したしゅぴ〜る遊園地の方々は疲労の顔一つ見せず、終始笑顔を見せていた。
間近でアイドルと対峙する機会など皆無である私は、彼女らの屈託のない笑顔の前に終始俯いたままという醜態を晒してしまった。

堀場工房では「ゲーマー妻の憂鬱」を無事に購入。
ゲームマーケット春から待ち望んでいた作品だけに手に取った時は思わず笑みが溢れた。
我慢しきれず電車の中で少しだけ拝見したが、自由気ままな夫と、それに翻弄される妻と娘に我が身を投影してしまい、笑いの中に背筋の冷える思いがした。
あとでそれとなく妻に謝っておくことにしよう。
私は恐れ多くも著者であるたちばないさぎ先生にサインまでいただく暴挙に出る。これは一生の宝と致します。

東京ゲームメイカーズはオイルモンスターが開始早々完売御礼。
横に設置してあったアナログゲームガチャも面白く、回してみたところ、意外とガチゲーに分類されるゲームが当たったようだ。
カプセル方式だと、持ち運びも便利、販売方式も楽、等々、様々なメリットが多い印象を受ける。
この先のトレンドとして上がっていく予感を感じさせた。

JUGAME STUDIOは販売台も試遊台も終始人が絶えないように見受けられた。
事前に「試遊の際、箱を模したキャラメルをプレゼント」と告知したこともあり、試遊に長い列を連ねていたのもこのブースだった。
何より、ファイルを用いたプレゼン方式のインストは、はたから見ても非常にわかりやすく、私自身も何かしらの参考にしたいと考えた。

プレゼンといえば、SpinachブースのMateMagiは、インストにiPadを使用する姿が印象的だった。
流れるような説明と、待機中にさっ、さっと動く画面。これなら短時間でも説明が容易であるし、説明後に(しようと思えば)SNSへのアップも可能だ。私は思わず膝を打った。
尚、この「動画で説明」という方法は、名古屋FGFの際も「とり助 河田金」ブースが行っており、同様に強く印象に残っている。

滅多に試遊はせず、購入したゲームは家に帰ってゆっくりと遊びたい私ではあるが、たまたま「カラメルカラム」ブースの製作者の方にお会いできたので、せっかく購入した「THE漫才コンビ」について説明をいただく。
2人用とあるが、これは観客サイドがある方が、絶対に盛り上がるといった印象を受けた。
行儀が悪いことを承知の上で表現するに、二人の軽快な掛け合いの感覚は「ペチャリブレ」を彷彿とさせる。
何より製作者様が、ゲームで遊ぶ場を「ステージ」、ゲーム中を「ステージ上の時間」とし、ゲーム終了後の「こう返して欲しかった」「俺ならこれを出すね」と言ったやりとりを楽屋裏と捉えるなど、非常に計算された尽くされたゲームであることを伺う。
コミカルなキャラクターに秘められた熱い想い。早くその思いに応えたい。
あとは付き合ってくれる友人を探さなくては。

フリーキーデザインのブースも老若男女問わず賑わいを見せていた。
デザイン会社の方が作るゲーム、と看板に掲げてあるように、カードのデザインがシンプルかつ芸術的なイラストで、イラストだけでどんなカード、どうするカードなのかが直感でわかる、と、さすが餅は餅屋。
アートなゲームがゲーム会にあるとそれだけでゲーム会が華やかになる。それは他のゲームにも言えることだろうか。

ハコノソトブースへ。
「スタートプレイヤーの決め方カード」という一風変わったカードを先回のゲームマーケット春から販売されており、今回も木製ダイストレイなどを格安で販売、海外からいらっしゃった方などの目にも止まっていた。
デザインの話で追記するが、このゲーム(正確には「作品」だろうか)も、言語依存や文化の壁があるとはいえ、ピクトグラムのデザインを使用することにより、(ピクテルがそうだったように)ユニセクシュアルな文化を基調とする海外に快く受け入れられる気がしてならない。
BGGって、こういった作品は登録できただろうか。

事前の情報が少なく当日の会場で知った作品が「キノヒ」ブースの「組み盆栽」
カードを使用し、複数名で一つの盆栽を組み立てるゲーム。
直接プレイしてはいないが、数名で一つの盆栽をワイワイ取り囲み、組み上げる姿が微笑ましく、そして紙質や作品の出来具合に作者の強いこだわりを感じるゲームだった。

会場脇では舞台の方が活況を見せている。
以前から演劇練習のツイートが話題となっていたPika★kika人狼の舞台公演が行われており、観覧無料の告知に懸命だった。
購買層で混み合う中でも人狼勢との掛け合いはマイクを通じ時折流れてくるので「お前だろ!」といったドスの利いた声や女性の金切り声などに、小心者の私は心臓のすくむ思いがした。
しばらくすると今度はしゅぴ〜る遊園地のライブだ。
こちらも舞台を縦横無尽に使用、時折、舞台を飛び降りたりするなどの躍動感ある歌とダンス。
注目するべきは、MCで使用した「観客とのボードゲーム大会」
事前に筆記具持参の告知がなされたとはいえ「AVENUE」の予測は立たなかった。


一通り足を運び、名残惜しかったが、所用のため、帰宅する時間となった。


回る先のブースの方は皆、汗が光っていた。
先のらめるさんもそうだが、他にも、直前まで印刷作業に追われ泣く泣く出品を見送るブース、直前まで箱詰め作業に追われていたブース、遠距離移動から即座に販売体制に入ったブース、名古屋FGFに続き出展・販売されたブース、前日、前々日とコミケに参加された後で本日も参加と連投をなさったブース等々、
それらの事情を知ると、本当は金銭の限りを尽くしてゲームを購入したい衝動にかられる。
このトートバッグに詰め込まれたゲームの一つ一つに、あらゆる製作者様の思いが込められているのだ。
眠い目をこすりながら、脳がふんわりと溶け出し、それでもサイコロを振り、カードを切り、ミープルを進め、VPの1点差に一喜一憂する、
そんなゲームを作りたい、遊んでもらいたい、
そんな想いに応えるが如く、多くの荷物を抱えた人が行き交う。
会場はそんな熱気に包まれていた。

帰りの電車の中で、ツイッターを覗く。
後の祭り、という言葉があるが、ツイート上では閉幕後も興奮冷めやらぬ盛況ぶりを見せていた。
今やボードゲームは親元である製作者の手を離れ、次は遊び手がそのハンドルを握る手番となったのだ。
開けて、遊んで、勧めて、勧めた方がまた別の方へ…
楽しさの連鎖が、人から人へと伝播し、それらはいずれ幾何級数的に増大をなし得ることだろう。
そんな妄想が頭に浮かぶだけでも幸せだ。

はやる気持ちを抑えながら、私は肩に食い込むトートバッグとともに、家路を急いだ。
みんなボードゲームが好きなのだ。
この業界が、好きなのだ。




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