番次郎の盤上万歳!!: ゲームマーケット2017 体験エッセイ

2017年8月1日火曜日

ゲームマーケット2017 体験エッセイ


(注釈)
 この物語は実話を元に構成しております。
 あくまで私個人としての楽しみ方、何を学んだか、次回に向けてのアドバイスといった備忘録の意味合いを込めて記述したものであり、ゲームマーケットの楽しみ方を強制する企図は一切ございません。
 また、私の楽しみ方は買い物を主体としておりますので、細部開催の概要や催し物等を網羅しているわけではなく、紙面の都合上、それらに関する記述を割愛致しております。ご了承ください。
 細部概要を参照される方につきましては、Table Game in the World内記事(URT:http://www.tgiw.info/2017/05/gm2017s-report.html)及びゲームマーケット公式ブログ等を参照されますとより詳細を知ることができることと思慮します。



プロローグ「本気になれず泣く」

「おはようございます!」
 今回出展される某デザイナー様からそんなツイートが流れてきた時間、私はすでに始発電車に向けての準備に取り掛かっていたところだった。
「そういえばすでに夜は明けてましたっけ…」
 個人を対象としたものではなく、あくまでゲームマーケット全参加者に向けての他愛ないツイートだったのだろう。私の引用ツイートに対し面食らった様子で
「ヒェッ…大丈夫ですか?」
 前日の私は気持ちが高ぶっていたこともあり全く眠れなかった。普段あれだけ体を酷使する仕事に従事しておきながら、楽しみにしていた行事の朝に限ってこうも目が冴えるとは。小学生の頃の自分を笑えない。
 朝の4時。からりとした空気が温度計のマイナス5度という表示を一瞬だけ忘れさせてくれる。吸湿発熱のインナーを一枚着込み、薄手のジャケットを上から羽織る。薄くて身軽な装備、これもコミックマーケット常連である嫁からのアドバイスだ。
「どうせ中で待つのだから、簡単に脱ぎ着できる格好で来なさい」
 ゲームマーケット秋は「秋」と銘打たれてはいるものの、開催日は12月8日の冬。ちょうど冷え込みが本格化する時期である。この日に「薄手にしろ」とアドバイスする人間なんて本当に現場慣れしている人間くらいだろう。何せ開催場所である国際展示場(以下「東京ビッグサイト」)は有明海に臨む海沿いに隣接しており、すなわち朝方は海風が陸に向かって吹き込み、風と朝方の冷え込みの両方から相当厳しい冷え込みが予想されるはずだと、私のような素人は考えるからだ。実際、現地に到着したところ、さながら南極にでも出発するのではないかといった厳重な防寒対策で並ばれていた方も数名散見された。
 出発地となる大月からの始発電車は当時5時25分が最速。そこからどう頑張っても国際展示場駅に到着する時間は7時35分ごろ。7時過ぎの新宿駅構内は休日とはいえ少しずつ混雑の様相を呈し、焦る気持ちも相まってホームの皆がライバルに映る。
 改札横のローソンで嫁と打ち合ったのち、会場入口へと向かう。こちらの気持ちとは裏腹に、のんびりと歩き始める嫁。
「いい?運営の通りでいいのよ。徹夜なんて迷惑なんだから」
 私が嫁と二人、待機列で並び始めた時間は8時5分。カタログに「8時以降の整列をお願いします」と記載がなされていたためだ。この時間で4列縦隊の一列目後方、約250~300番目に位置することができた。
 この日、私の目的はノスゲムブースの「マトリンゴ」ウッドバーニングという手法で手作りされた、20個ほどの限定生産品である。前回出店の際も開始3分で完売したとされる人気商品である。並ばなければまず手に入らない、前々からそう予感していたのだ。他の方の大半は恐らく今回秋の目玉である「ノイホラーエディション」ではなかっただろうか。こちらも完全限定を謳い、取り置きを予定されていた50個は予約開始3分でネットワーク回線がパンク、担当者が返信作業に追われていた姿が記憶に新しい。
 程なく待機列は室内に案内される。嫁の目論見通りだ。室内は冷え込む屋外と違いある程度の熱がある。室内の空調設備の他に、機材の熱、、照明の熱、人の熱など。やはり嫁のアドバイス通り、薄着で正解だった。
 私のゲームマーケット参加は前回春に続き2度目。後で聞いた話では、最前列に各所でその名を轟かせている中古ゲームショップ「シャッツィ」のキャロル&わと夫妻が待機していらっしゃったようだ。やはり哲人は気合の入り方が違うのである。
 待機中にも様々な嫁のレクチャーを受ける。それはこの後も余すことなく記述するが、一例を挙げると、単独で参加することは控え、誰かしら友人を誘い、複数名での待機を考慮に入れるべきだ、と。理由はいくつかある。
1、効率的に時間を潰すことができる。
2、トイレ等席を離れる際に目印となる。
3、緊張を和らげることができる。
など。もちろん当時の私はこのような即売会に疎かったこともあり、それらアドバイスの重要性が如何程だったのか見当もつかなかった。
 10時開場。流れるような人の波に押され、私はカタログを片手にブースをしばし彷徨った。前方を陣取ることができた為、入場開始からポンとコンクリートでむき出しの空間に放り出された形となり、遠方で「ここ、ここ!」と手を振る嫁の姿を確認するまでしばらく時間を要した。幸い、主目的だったマトリンゴは無事に手に入り、残る時間は予約していたゲームを、カタログを追いつつ片っ端から手に入れていく作業に移った。
 下準備の重要性を痛感したのはここからだ。
 予約をしても合言葉や予約した際の名前が思い出せない、小銭が足りなくなる、並ぶ列を乱してしまう、買った物の重量に負ける、etc、etc、
 開始30分足らずで精根尽きてしまった私はあたかもトートバッグを抱えるゾンビと化し、ひたすら元気に「次はここ!早く早く!」と次のブースを急かす嫁についていくのが精一杯だった。這々の体で一通り買い物を終え、時間は11時5分。頼まれた買い物を含む最終チェックを行ったのち、私たち二人は早めに会場を後に
した。嫁は久しぶりの即売会イベントに参加できたようで、終始浮かれ気分だった。
 駅のホームで温かいカフェオレを買い、喉の奥を振り絞りながら嫁に尋ねた。
「イベントっていつもこんな感じなの?」
 一瞬ニヤリと笑みを浮かべた嫁は、ささやくような口調でこう答えた。
「こんなんでへこたれるようじゃ、甘いわよ」
 私は嫁の底知れぬ力に軽く目眩を覚えながら、カラカラの喉を潤すように苦いマウントレーニアを飲み干した。
第1章 ゲームマーケット秋の傾向と状況

 さて、私の狙っていたマトリンゴであるが、ツイートを見る限り40分ほどの時間を開けて完売報告が上がっていた。実際はもっと早かったのだろうが、販売側は直前まで売れるかどうかを心配なさっていたようだ。素人目からしても杞憂に映る、といえば失礼になるのだろうが、すなわち、どれだけ自信のある商品を製作されたとしても、当日にならなければ売れるかどうかなんて神様でもわからない、そういった販売店側の心理というものをひしひしと感じた。
 もう一つの注目作「ノイホラーエディション」も長蛇の列ができてはいたようだが、それに比例してキャンセル待ちもいくつか出ていたらしく、時間を空けて時折ブースを覗けばすんなり購入できた、という報告も上がっていた。
 影の注目作はカナイ製作所。ラブレターなどの作品で知られるカナイセイジ氏の新作「ウニコルヌフの騎士達」が販売された上に、当日のブースにはご本人様が実際に受け渡しされていたのだ。
 むしろこの秋はゲーム以外の物販に注目が集まり、こかげ工房の皮ダイス、Cygnusブースのダイスタワーサンクチュアリといったゲーム関連のアメニティグッズが軒並み好調な売れ行きを見せていた。
 総じて、これらに目を向けるのは、ゲームに興味を持ち始めた私のような人間というよりむしろ、それなりにゲームに造詣の深い方ではなかっただろうか。そんなゲームマーケット秋の私的雑感である。

コミケとは違うのだよコミケとは!

 後悔ばかりが先立つ、いわば惨敗で終わってしまった今回のゲームマーケット秋。リベンジといった強がりではなく、年明けごろからだんだんと「いや、もしもこの俺が本気になってこの祭典に挑んだら、どれだけ変わることができるのだろう」といった淡い期待が脳内に渦巻くようになる。
 もっと出資しているはずの予算は、ボーナスシーズンであったことも幸いし、大幅な黒字収支を残している。
 ゲームマーケットは開催期間の都合上、秋と春の開催期間中にボーナス支給日が設定されることが多い。
 すなわち社会人は、一度だけ補充される「冬のボーナス」の補充を、2度に分けて有効活用しなければならない。正確には「有効活用しなければならなかった」我が嫁は、コミケこそ経験しているが、ゲームマーケットは私と同じく2度目の参加である為、開催期間まで考慮に入れてはいなかった。補足すると、コミケの場合、盆と正月の2回開催という特性から、年末は冬のボーナスで、お盆は夏のボーナスで、それぞれ購入金額を考慮すればいいからだという。
 無論、夏は夏で、東京ボードゲームコレクションといった比較的小規模なイベントも開催が予定されてはいるのだが、大きく食指が伸びるかどうかといった先の予定までこの場で判別することは控えたい。
 
今年のコミックマーケットの動向から春の傾向を予測する

 今年のコミケ冬にも面白いコスプレが登場した。「枯山水」のコスプレである。枯山水の箱絵を模したキャラクターが、まさに登場しているという一風変わったコスプレが、一部で話題となった。
 これが一体どういうことかを考えて欲しい。
 コミックマーケットにもボードゲームの出品がポツポツ登場した、ということだ。現にエジン研究所販売のハコオンナは前年度夏のコミックマーケットで販売され、その後、一般販売された。他にも、トーホクウィステリアの粒幸久氏やさといも牧場のにょにょんぱ太郎氏など、コミックマーケットを主体として活動されている方は大勢いらっしゃる。現在は書籍が主体ではあるが、今後はボードゲームを出品するようになる可能性も否定できない。そうなると、重度ボードゲーマーとしては、レアなボードゲームを購入するにあたり、ゲームマーケットの他にコミックマーケットに並ぶ必要性も生じる。
 嫁はいう。「生半可な気持ちで臨んだら、死ぬよ」
細部は省略するが、欲しいものがポンと手に入るような、生易しい世界ではないことは確からしい。
第2章 3~4月
 
 ゲームマーケット神戸から注目

 もしも情報収集をきっちり行ってゲームマーケット春に臨む気概があるならば、ゲームマーケット春の情報が上がっていないという理由でこの時期をのんびり構える、というのはあまりに早合点だ。
 よく考えて欲しい。
 自分はゲームマーケットに何をしにいくのか、ということを、だ。
 新作の品定め、だろうか。それならば何もアドバイスすることはない。だがしかし、ボードゲーム全般、面白い作品を求めて参加されるのであれば、その前のゲームマーケット神戸の各種情報も仕入れておく必要がある。
 何故ならば、神戸に参加されたブースは、そのままの流れで春に出展されるケースが多いからである。
 しかも、それら作品は、春の新作の陰に埋もれてしまい、たとえ面白い作品であろうとも、新鮮さという観点で春の作品より後方に下がってしまう。
代表例が「クレルソンと夜明けの展覧会」である。
 ゲームマーケット神戸では委託という形で出品され、その完成度の高さから一躍話題となった作品である。予約は受付開始後30分でSOLD OUT、当日も数はそれほど多く販売されなかったと記憶している。
 他にも「我が社のロゴを描きたまえ」「寿司カッパ」「キティズ」など、注目しておかなければ見落としてしまいがちな作品はごまんと存在する。それらがそのまま店舗にスライドする保証などない。
 また、神戸で販売された面白いゲームは、時間を空けたのち、各種ゲーム会などで必ずタイムラインに上がってくる。先のクレルソン然り、先行発売されたキティズ然り、寿司カッパやミソヒトサジ定食といった作品も、ゲーム会で「面白い」と評判を受け、口づてやネットワーク媒体で広まっていったものだと認識している。

ツイッターは使用上の注意をよく読んで

 リアルタイムの情報を手に入れる他のツールが存在しない以上、ツイッターに勝る情報収集ツールは存在しないことを実感した。
 ツイッターで突然告知を知るや否や、即座に拡張版が品切れとなったTOKYO HIGHWAYや8Bit Mock Upなども、ゲームマーケット公式ブログではなくツイッターによる告知で知ることができた。また、その簡便性からか、カナイ製作所のカナイセイジ氏は当日になって当日販売のゲーム「文絵のために」の情報をツイッター上で公開したほどである。
 今回の目玉であるほぼすべてのボードゲームも、そのほとんどがツイッター上で情報を獲得したのち、有志の間で広まりを見せた直後に受付終了のツイートが回るといった状況だった。先の2作品に加え、インスタントインストのトドメ騎士団、酒魅人(木箱入り限定品)、プロトクラフトのコロウラなどもそうだった。
 予約受付は早いところで4月から開始するブースもあれば(神戸後引き続き、というブースに多く見られる)、5月に入ってから受付を開始するブースもあるのでこればかりは三者三様といったところだ。
 つまり、購入者自身が「欲しいと思ったもの」を頭に入れておき、常に広範囲のアンテナを張っておく必要がある。そのためには、秋~神戸の出展者情報を常に仕入れておき、ツイッターや公式HPなどはこまめにチェックするなどの着意が必要なのだ。
 「これは今回春に販売されるだろう」「カタログを見る限りこれも販売されるかな?」「あ、さっきツイートでこの作品は落ちました、って流れてきたよ」といった情報収集を行う必要がある点、何かしら株トレーダーに似ている気がする。
 次に「欲しいものは常に臨戦態勢を敷いておけ」である。
 私も学習しないもので、せっかく人気作品の予約が販売されたというにもかかわらず、何故か直前になって躊躇してしまい、購入を決めたと思った時には敢え無く受付終了の憂き目にあってしまった。一度や二度ならず、何度も、である。
「迷ってはダメ」という格言は、このゲームマーケットに限らず、コミケ参加者の間でも鉄板の格言だと嫁は話している。当日近くになると誰とも知らず流れてくるこの「迷ってはダメ」なる格言は、例えばアメトーークの「ガンダム芸人」の回で、品川庄司の品川祐さんもアツく語っていた。また、ほぼ日刊イトイ新聞内記事「ブローチを探すイセキアヤコ」にもこのような記述がある。
「スタイリストの伊藤まさこさんが私に一言、
「迷ったら買うべし」と男前なアドバイス。
アンティークやヴィンテージは同じものに再び出会える可能性が低いから、どうにも決めかねるくらい迷うなら、後で後悔しないように、というのが信条だそうだ。」
 しかし、なんでも欲しいものをツイッターで検索しては購入候補に入れる、を繰り返していると、とんでもない数のゲームを購入することとなる。
欲しいゲームがあるということはそれだけボードゲームに精通しているという裏返しでもあるとも言えるだろうが、他人の「これはマストバイ!」「これは絶対にお買い得!」といったツイートに翻弄され、妙な対抗意識のもとで購入候補に挙げてはいないだろうか。予算を決めている、いない、に関わらず、リストの見直しはこまめに行った方が良い。欲しいゲームなんて、日に日に増えていくものである。
 また、先の失敗談の一つ「予約受付」について、自分の反省を基軸として対策を練った結果
●プリントアウトする
●送信ボタンを押す前のプリントスクリーン
 もちろんここで手間取っていると、時間差勝負のボードゲームの場合では即座に売り切れてしまうことも危惧される。一連の手順をスムーズにできるよう、練習しろ、とまでは言わないが頭に入れてから望む必要がある。
 またこの春は「なりすましに気をつけよう」といったツイートもタイムライン上で注意喚起が回ってきた。自分の代わりとなって商品を受け取り、本物である自分が受領に行った際にはすでに替え玉が購入した後だった、となっては泣くに泣けない。
 各ブースが行なっていた自衛策として、予約番号を聞く(各ブース)、生年月日を聞く(ようがくじ不二の会)、本名登録を推奨する(モグワイ)、合言葉の登録(オカズブランド)などだ。
 また、自身のツイッター上でぐちぐちと愚痴を吐くだけならば、別にアカウントを作成したほうがいいということも知った。あけすけにボードゲームの文句や批判を繰り返した後だと、やはりそのブースや他所の商品まで買いづらくなってしまう。人間、やはり性根の部分は悪者に染まりきれないのだろう。

 クラウドファンディングについて

 さらに、今回特筆するべきは「クラウドファンディング」である。
 欲しいゲームをクラウドファンディングを通じ先行的に手に入れるという手法も数多く存在した。私の知る限りでも、ニンニンニンジャ、きまぐれねこさま、三角ごいた、ゾン噛マパーティ、マジョリティパーティ、などがそう。これについては後述したい。
(なお、前回「マモノノ」において同様の手法で出資を募ったケンビルだが、ここだけ少し毛色が違う。設定金額をあえて低めに設定し、目標を達成しようがしまいがゲーム自体は作成し、その後に行われるゲームマーケットにも販売する、と。すなわちクラウドファンディングを「宣伝媒体」の一環として活用する手法だ。こういう方法もあるのか、と感心した次第である) 

第3章 5月

徳をみがけ、神に祈れ!

 残り2週間。ここまできたら一番重要なことは「我が身」であり、人脈である。まずは当日まで、平穏無事に過ごすことのできる日程調整が必要とされる。要は社会人としての自己管理能力が問われるのだ。殊更5月という時期の特性上、小学校なら運動会、家庭訪問など、中学、高校ならば中間試験や部活動の新人戦に向けたトレーニング開始など特段業務多忙となるシーズンである。前々から予定を組んでいたとしても、直前になって参加不可、の憂き目にあう可能性もゼロではない。
 これに加え、5月という天候の急激な変動に、黄砂や強風、当日の気象条件なども加味すると、体調管理に関しても何かしらの自衛策を講じておく必要がある。健康面では常日頃から体を鍛えておく必要があるだろうし、病は気から、というならば、メンタル面での不調に負けない勤務環境、家庭環境を整えておく必要がある。そういえば5月病のシーズンもちょうどこの頃だ。ツイッターならば、ちょくちょくネガティブなツイートをする相手をミュートするなど行えば良い。ミュートは相手に通知が行くことなく相手のツイートをある程度自分のタイムライン上に乗せずに済ませることができる機能であり、上手く使用できれば万能なツールである。
 仮に行けなくなったとしても、そこで腐ることなく、他に手に入れる手段を色々講じることもゲームマーケットの一つの楽しみ方ではないだろうか。
 手に入れにくい方のために事前に通販をなさるブースもある。また、人気の作品は時期を見て委託することもあるだろう。手に入れる手段はいくらでもあるのだ。
 ただし「通販まだですか」とツイートで製作者に直接返信する姿は端から見て少々厚かましい。製作者も暇ではないのだ。そこは辛抱するぐらいの度量を持つべきではないだろうか。

通信販売に不信感を覚えた事件

 またこの頃、ネット上ではちょっとした事件が発生した。
 まず通販大手駿河屋の「サントリーニ不達事件」だ。
 3月ごろから駿河屋でも予約受け付けを開始したサントリーニであったが、直前の3月22日になって入荷数と予約数に差が生じたことを理由に、予約キャンセルのメールを大多数の人間に送信する事態へと発展したのだ。このエッセイを執筆している現在まで入荷の目処は立っていない様子である。
 次に、こちらも大手通販サイトAmazonマーケットプレイスによる架空出品詐欺である。格安の値段に目がくらみ購入ボタンを押すが、振り込んでも目的の商品は送達されず、逆に入力した個人情報やクレジットの情報を抜き取られ、別の詐欺に使用される、という詐欺が横行し、その範囲はボードゲームにも及んでいた。事実、この私も、幸いにして実害こそ被ってはいないものの、現在も万単位の高値が続くドミニオンが3000円台という価格表示を目にした時にはつい何も考えず購入ボタンを押すところであった。
 以上の件から、通信販売の格安販売を謳う商法に幾分の不信感が生じる結果となった。今回のゲームマーケットの対面販売とどう結びつくのかについては不勉強な私より専門的な経済アナリストの意見を待ちたいところではあるが、この件が転じて、少なくとも私自身の中では「通販があるから販売店待ち」と言った断片的な思考から少しだけ横にズラすことには成功したようで、やはり多少値は張ろうとも対面販売の安心感には敵わない、といった結論に至ることとなる。

ゴールデンウィークは使い方を考えて

 今回春の各出店ブースは、その宣伝方法が多種多彩であった。
 その中の一つが「体験会」である。
 イエローサブマリンやゲームカフェなどで行われる新作ゲーム体験会では、ゲームマーケット春の新作をいち早く遊ぶことができるとして、連日大勢の人だかりができた。
 特に今年は、ヨドバシカメラ新宿西口にもスペースが設けられ、頭の片隅に残るゲームは大抵その際に目についたゲームであることが多く、私自身もその時に目に入った「マギアルマ」に一目惚れしてしまい、その日の夜に購入予約を入れた程だ。
 もちろんこういった機会に恵まれているのは関東圏内が主だろう。
 また、ツイッターを眺めていると、平日夜にテストプレイを呼びかける製作者も多くいらっしゃる。あいにく私は機会に恵まれなかったが、参加できるならば足を運ぶのも良いだろう。クレジットに名前も記載される場合もあるようである。
資金繰りも大変だろう。ゲーム会は予算がかからないから便利、などと思っていたら、その後の2次会、3次会等に誘われるなど予定外の出費を支払うこととなる可能性もある。
 ならば料金一律1000円などと決められているゲームカフェなどで飢えをしのいだ方が幾分経済的とも言える。ちなみに八王子のゲームカフェ「ぶれん」や横浜関内のゲームカフェ「ぶんぶん」などがこの料金システムを採用している。また一部のゲームカフェなどでは、新作をいち早く体験できるよう、製作者が新作ゲームを寄贈している場合もあるのでチェックされるといいだろう。
 また、ゴールデンウィークは、当日の金銭管理を行う絶好の機会であることも頭に入れておきたい。
 平日に休暇の取りにくい社会人ならば5月の1、2日といった平日が比較的休暇の取りやすい平日であるだろうと思う。(もちろん各業種により差はあるだろうが)この平日を使い、銀行でなるべく多くの小銭を調達しておくのだ。決して遊びもしないゲーセンの両替機を独り占めしての両替などといった手段を取るなどして参加者の一人ひとりのイメージを害さないでほしい。

カタログの使い方が当日の明暗を分ける

 まずこのカタログであるが、販売されたならば、即座に購入することをオススメする。
 前々回の春において、カタログの発行部数が足りなかった影響からか、5月当初の段階で売り切れが続出するというちょっとした騒ぎとなった。
購入できる場所は各ゲームショップやゲームカフェ、Amazonなどの通販サイトである。(ただし通販サイトの場合、過去のカタログも普通に販売されているので注意が必要)
 もちろん「カタログなんて、当日並ぶ直前に購入すればいい、単なる入場チケットの代用だ」と捉えていらっしゃる方もいるだろうが、実にもったいない。カタログには本当に様々な情報が掲載されており、単なる出展者の宣伝媒体ではない。順を追って見ていこう。
 嫁曰く、コミケ参加者はカタログのことを「宝の地図」と称するらしい。今回春のカタログには、見開きページに場内の案内マップが掲載されている。ここに経路や参加ブース、当日買うものリスト等を縷々書き加え、自分だけの「攻略マップ」を作成する、といったRPG的な楽しみも含まれるのだという。(下図参照)
 しかし、どうもこのカタログの見開きページ、書き込みづらいのである。
 嫁はそんなこと百も承知とばかりに「公式HPからホールマップを印刷して」と私に注文する。嫁の要求通り、公式HPには図表だけではなくPDF形式でダウンロード可能なホールマップが掲載されている。カタログを使うよりもこちらを印刷して使用する方が俄然使いやすい。何より、当日は何かとマップを見ながら動き回ることになる。カタログはかさばってしまうのだ。その点この図表を印刷しておけばポケットに折りたたんで持ち運ぶことが可能である。なお、印刷の際、微妙にサイズが変  わることがあるので(私のプリンターでは倍率80%で丁度の大きさ)適宜調整されたい。
  ちなみに私の場合、このマップには敢えて進行順の矢印を書き加えず、行きたい場所に昇順で番号を割り振るに留めた。矢印を書き加えると後で買い足したくなった際の修正が効きにくい上、図の見た目もごちゃごちゃすると教わったからだ。  
 次に、カタログを眺めながら、当日に買うものをリストアップする作業に移る。
もちろん人によって「欲しいものは取りこぼしなく全て買う」「予算ありきだから範囲内で欲しいものをチョイスする」「お祭り感覚なのでふらっといって面白そうなものを適当に買う」など買い方については十人十色だ。事実、私が当日の購入リストをツイートしたところ「人それぞれ」「楽しみの押し付け!」といった批判がいくつか集まってしまい、慌ててツイートを削除する事態となった。
 予算のリストアップは、余裕を持って行うべきであり、面倒だと思っても、きちんと小銭単位の計算を行うべきである。途中で小銭が足りなくなり、万札を用いることになる羽目になる可能性もあるからだ。
 全金額のトータルだけではなく、私は使用する紙幣、硬貨の枚数まできっちり計算した。否、正しくは「面倒だから計算するのをやめた、と話したところ、嫁からきつい説教を受けた」が正しい。買い物途中で資金がなくなる(補給が途絶える)ことは戦場に於いて死につながるのだ、と、やはり私はどこか戦地に赴くような気がしてならない。 
 もちろん当日、ブースの前で購入したくなることも念頭に置き、言われるがまま、予算の約1・5倍の資金を調達した。
 ちなみに、ビッグサイトにも一応ATM自体はあるのだが、かなり長蛇の列となるため「有って無いものという認識で臨むもの」がコミケ参加者の鉄則とも呼ばれているらしい。




買うものの優先順位とは

 そんな各種事象にもめげず、私は嫁からスパル…、訂正、熱烈なアドバイスを受けながら、当日買うべきもの、後回しにしてもいいもの、をランキングにして選別する作業を行っていった。時間にして2時間ほどかかっただろうか。
 優先度の高いものから順に
1 当日限定品(今回だと、セネカや僕のひな祭りなど。ゲームよりグッズが多い)2 購入特典がつくもの(例:マギアルマは購入者特典が先着順でついた)
3 ブースが委託を考えていないもの(委託となりそうなもの、とは別。あとで撤回し委託するケースもあるので一概に判断できない点が難しい) 
 よくゲームマーケットの購入順序を短絡的に「一般販売されるものは後回し」と判断される方がいらっしゃるようだ。しかし、去年6月にインサイダーゲームが販売された時のことを思い出して欲しい。同日に名古屋で一般販売された後、あまりの人気に生産が追いつかず、近傍の店舗に並ぶまでかなりの月日(私が店舗で手にしたのは9月頃)を要したではないか。欲しいと思ったら手に入れておく、それはそれで正しい判断ではないかと私は思っている。(今回のケースだとラストフライデーなどがそれに該当するだろうか)
 あれこれ欲しいものを選別しているうちに、当然それに比例して、購入予定金額もえげつない金額となっていった。
 恐る恐る嫁に報告する。
「これだけ欲しいんだけど…」
「何寝ぼけたことを言ってるの?!アタシがコミケに参戦した時なんか、ハガレンの本(注;鋼の錬金術師の同人誌)だけで軽くそれくらいのお金が飛んだんだからね!」
 やはり勇者の感覚は人とは何処かかけ離れた世界に到達しているものらしい。

とはいえ、過信は禁物

 もちろん買うべきものがカタログだけに掲載されているわけではない。むしろカタログだけに刮目しすぎていては、例えば「ゴリ×夢中」や「百圓侍」といった、紙面では面白さが伝わりにくいゲームを見逃してしまうだろう。だから常日頃からの情報収集は重要で、特に先ほどのツイッターによる情報収集活動はちょこちょこと行わなければ、欲しかったゲームだったのに敢え無く予約終了の憂き目に会うこともしばしばなのだ。ツイッターと公式HPをチェックしておけば、たいていの情報は手に入るだろう。しかし過信してはいけない。当日が近づくにつれて、ゲームマーケットのサーバーダウンは醜いものになることをお忘れなく。それは不意急襲的にサーバーダウンが発生するツイッターも同様である。
 
 また、当日が近づくにつれて「今度のゲームマーケットでの注目作を教えてください(^ ^)」といったツイートを至る所で見かけるようになるが、これもあまり宛てにしない方が良い。そもそも、本当に自分が欲しいゲームを他人に教えてまでライバルを増やすなど、そんなお人好しが数多く存在するはずがないではないか。返信するのは一向に構わないが、あくまで「こんにちは」「さようなら」といった挨拶程度の認識にとどめ、さほど真剣に考えることなく、あくまで参考程度に頭の片隅にでも入れておくことをお勧めする。
 
 前回の反省を通じ、開幕直後から並ぶブースは何か、自分の中では大体の検討がついている。
 まず「人気のブース」こればかりは事前の予習がカギを握る。狙っているのは純粋にボードゲームファンだけではないという点も記載しておきたいのだが、今回はその点に触れると長くなりそうなので割愛したい。
 次が中古ゲーム販売ブースだ。昨年10月の東京ボードゲームコレクションにて、注目はJUGAME STUDIOの「ワインレーティング」と「真打」だった。特にワインレーティングは開催直後から長蛇の列ができ、私の見ている限りでは予定していた40個が10分で完売、真打も30分で完売だった。
 その横で同様に長蛇の列を形成した物販ブースが中古ボードゲーム販売のブースだ。確かにドイツの隠れた名作ボードゲームが半額以下の値段で手に入るとあれば並びたくもあるだろう。
 手持ちに余裕があれば、欲しいゲームを先に取り上げたクラウドファンディングやゲームマーケット体験会を通じ、先行的に手に入れる方法をお勧めしたい。先んじて記述するが、当日朝6時から前方9列目に並び始めたけれども購入できなかったというノスゲムブースの幻のゲーム「マムマムマーガレット」も、4月に六本木で開かれたアトリエノスモスという個展にて先行販売されたことも付記しておく。

イベント前の「うつ」対策

 5月ごろになると、ゲームマーケットに限らず、イベント前になると憂鬱になることは誰しも経験することだろう。
 これに関し、いろいろ書籍を漁ってみたが、特にこういった心理効果についてどういったものなのかを調べ上げることができなかった点、先にお断りしておきたい。
 ただし、近似した記述を2、3発見したので紹介し、対策としたいと思う。
「スタンフォードの心理学講義「人生がうまく行くシンプルなルール(ケリー・マクゴニカル著)」によると、この症状は「チャレンジ反応」と呼ばれるもので、「今こそあなたを待ち受けるチャレンジ(仕事や問題)に立ち向かう時だ」ということを、体が理解しているサイン」なのだという。この反応が起こることにより「燃え尽き症候群」を防ぐことができ、疲れが感じにくくなるのだという。
 同書籍ではさらに「不安でドキドキしたり、緊張し始めたりした時、そうした症状全てが、あなたを成功へと導くためのエネルギーを体と脳が与えてくれている”サイン”であり、「不安が、私たちを頑張らせてくれる」ことを思い出す」「不安やイライラを感じたら、それをワクワクするという興奮として解釈する(するとより自信に溢れ、準備が整ったように感じやすい)」ことが有効だと述べている。
 また、ほぼ日刊イトイ新聞掲載「今日のダーリン」にもこのような記載がある。
「人に会うのは、風呂に入るのと似ています。
風呂も、入るまではおっくうがってぐずぐずしてても、
湯上がりに後悔したことはない。
人見知りだってなんだって、会うことですよね。」
(出典「ほぼ日手帳2011 4月20日掲載「今日のダーリン」より」)
 この「人に会うこと」の部分を「イベントに参加すること」に置換して読んでみてはどうだろうか。
第4章 ついに当日

前々日は寝ろ、とにかく寝ろ

 前日はよく寝ろ、というアドバイスをよく見かけるが、たっぷり寝るべきはむしろ2日前である。前日はおそらく気持ちの高ぶりからか、往々にして寝たくても寝付けない。このエッセイ序盤の私のような状態だ。
 前日に少しでも体力を維持するために、前々日の宴会等はなるべく控え、たっぷり睡眠をとっておくことを推奨したい。
 また「そこまで睡眠が必要なのか」といった議論も出てくるだろうと思うので、私なりに学んだ睡眠の効果をいくつか紹介する。
 眠りの効能はおよそ3つある。
●風邪の予防(免疫力の向上)
●体力の回復
●メンタル面の衛生効果
 マンガで分かる心療内科(ゆうきゆう著)のゆうきゆう先生は同著書の中で「不眠で死ぬことはない」と断言した上で「目をつぶって横になっているだけでも十分眠っている効能がある」と提言している。
 睡眠の効能については各々の処置対策があるだろうが、私が嫁から聞いた対策をいくつか紹介する。
●風呂はシャワーをさっと浴びるだけ。
●酒は飲まないに越したことはないが、牛乳を飲むくらいならノンアルコールのビールの方が心理的に効く。
●部屋が寒いと眠れない。部屋の換気も重要だがほどほどにし、室内の保温多湿に努める
 イチロー然り、ダルビッシュ然り、有名スポーツ選手はその日の体調や睡眠時間、食べたものに至るまで事細かに管理している。すなわち、体調が悪ければ、バッターボックスで三振することすらできないということを今一度考慮に入れて欲しい。

当日

 電車の中の空間はさながらタイムワープのような空間だ。
 何度も何度もトンネルを抜け、現れる亜空間の風景は所々に電燈が点る。
 街が鼓動を始める。
 それに共鳴するかのように、始発列車は静かに動き出す。 
 気温13度、前日は雨模様の中で外回りの業務だった影響を受け、これでも少し暖かいという印象を受けた。すでに現地では列に並ぶ組がツイッターで報告ツイートを上げていた。
 なお、あまりに早いと、牛丼チェーン各店舗の朝食セット開始時間が大抵朝5時であることを忘れたりするので注意が必要である。
 それでも絶対に朝は食べた方が良い。朝食べなければ、列に並ぶ体力を消耗してしまう。列に並ぶ行為はそれだけで体力を奪う行為なのだ(嫁曰く)。 
 また、スマホのバッテリーをなるべく温存しておきたい。当日の電車の時間を確認したり、電卓や写真撮影、もちろん買ったボードゲームの確認や印刷を忘れた予約品のチェックなどスマートフォンに頼るべき場面は非常に多い。だからと言って安易にバッテリーの予備を持っていくことができるかといえばそうではない。それぐらいバッテリーは重くてかさばる。重い荷物を背負って行き、帰りは捨ててくる、というわけにはいかない。
 スマホといえば、乗り換え案内にも一杯食わされてしまった。
 大月始発の電車の乗り換えを調べるのに、ヤフー乗換案内を使用したところ、ルートが「大月~高尾~東京~新木場~国際展示場」と提示される。このルートだと確かに大月始発5時2分の電車で7時22分には到着できるのだ、が、そのためには、東京駅構内の中央線~京葉線ホーム間をわずか9分で移動しなければならない。距離にしておよそ500メートルほど。無論「上り降り含む」である。
 仮に「ナビタイム」を使用していたならば「大月~高尾~新宿~大崎~国際展示場」と提示され、到着が7時25分ではあるが多少体力の消耗を抑えたルートとなり大幅な体力の余裕ができる。結果、やむなく一本遅らせることとなった。
 
現地の気象は、現地到着組からのツイートによれば雨が降っているらしい。
 慌てて嫁に連絡し、傘を買うべきかどうかを確認した。
どうやら(この程度の雨では)傘を買う必要はない、と。どうしても濡れるのを気にするならば(紙モノが多いならば)、ビニール製のゴミ袋に濡れて欲しくないものを被せ、終わったらゴミ箱に捨てる、という使い方を推奨された。
 7時55分、私たち2人は待機列へ。2列目前方。順序にして250~270番前後。昨年秋から多少増えた程度の位置をキープ。

 8時30分ごろ、待機列は室内に通される。入口から入場口までの誘導は一考を要する。今回は前回秋と趣向を変え、入口のゲートでカタログの確認を行い、未購入者はその場で購入できるという方式だった。しかしその誘導が少々大雑把だったために、待機列が大幅に乱れてしまい、後方に並んでいた人間が列をかき分けて前方になだれ込み、列の再整理を行うこととなってしまったのだ。当然待機者からは「せっかく早朝から並んだのに」「列とは一体…?」といった声も上がっていたが、怒号ひしめくような雰囲気とならなかった点は他のイベントよりも客層にモラルがある、と受け取って良いのかもしれない。嫁も「普通なら暴動が起きてるよね」と話していた。

 ここからは、しばし外で待つことに。非電源ゲームのイベントらしく、待ち時間もボードゲームで遊ぶ姿がちらほら見受けられた。
 改めて、待機組が遊んでいたゲームを眺めてみると
●ごいた(ごい牌)
●トランプ(大富豪)
●インサイダーゲーム
●ワードバスケット
●ノイホラーエディション
 多人数で楽しめ、かつ野外でも対応可能な定番ゲームが多かった印象だ。その辺りはトランプやウノといった汎用性の高いゲームが好まれるのだろう。
 9時過ぎからは好天に恵まれたことも幸いし、多くの待機客が非電源ゲームで楽しむ姿が見られた。とはいえ、大半の方はカタログを読んだりスマホを眺めたりといった単独での作業姿が目立った印象を受ける。また、この待機列にも子供づれや果てはベビーカーを持参しての親子連れも何組か見られた。説教がましいことは言いたくはないが、子供に長時間の列待機は少々酷ではなかっただろうか、と他人事のように思った次第である。

 外での列の待機時間は、およそ1時間半を見越しておけば良いだろう。
 男性は特に当日の体調管理に気を使ったほうが良い。トイレは待機列近傍にあり、比較的小便器は並ぶことなく済ませることができる。嫁の動向を伺う限りでは女性トイレもそのような印象を受けた。ただし男性大便器は別で、かなり長時間を覚悟するべきである。お腹でも壊しているならば最悪である。やはり当日朝は生物など突飛なものは口にするのを控えたほうが良いだろう。18禁の書籍が多めのイベントと違い本当に困っている人が大便器に列を作っていることは確かであるので、その点は譲り合いとゆとりの心を持ちたい。

 10時会場、外で待機していた人間はものの5分で有明モンスターの体内に飲み込まれる。入場も比較的スムーズ。後述するが、他のイベントに比して入場者数は少なめのイベントゆえ、200~300人程度であれば開場と同時に中に入ることも可能ではないかと推察できた。この判断基準を持ってすれば、当日朝に余裕を持った行動ができる気がするのだが。
 私たち夫婦はマップを片手に手分けして買い物に取り掛かる。勇者というより、さながら戦場での伍長と二等兵のような扱いだ。
 マップを手に「まずは右の列、次はここ!」といった嫁の指示・誘導に従い、次々に品物を購入する私。
 購入の際は私に付き添うのではなく、あくまで邪魔をせず、側から眺めて次の息策を考えておく辺りが経験値のなす技といえよう。

 マスコミの注目は事前の電撃プレイステーション誌上でも話題となっていた「トドメ騎士団」「弱者の剣」「サムライソウルフード」といった、グラフィック的に目を引くゲームに集まっていたようだ。
 
 一通り買うものも済ませることができ、気がついた点、反省するべき点も生じたので、反面教師の意味合いを込めて列挙したい。

●頼まれごとはほどほどにすべき
 これは反省材料だ。他人の荷物の重さは自分のものと違い(感覚的なものだろうが)断然違う。細部は省略するが、友達を思うならゲームは厳選しろ、と。値段の計算が大幅に狂う上に、荷物についても負担になる。買い物を依頼する人間がそこまで考慮に入れているとは到底思えない。
 ちなみに嫁曰く「頼まれものは郵送しないで!箱がへこむ可能性があるから」と。昨今の輸送関連のニュースを見て、信頼問題に起因する問題であるからこの点は個人の裁量で判断されたい。

●マスクは万能
 これは特に女性に言えるかもしれない。スッピンを隠せる上に、風邪予防、何より、寒い日の場合、顔面の保温につながる。
 ちなみにこの後、嫁はテレビ東京の取材陣からインタビュー対応に戸惑っていたが「会社に内緒で来ているんです」の一言を付け加えてさらりと交わしていた。その一言が出てくるあたりが「さすが勇者だ」と実感した一コマであった。

●札は崩してくる
 あれだけ運営側、ブース側が散々注意喚起を促しても、開始早々から高額紙幣で買い物を行う客を見かけた。根絶が難しいのであれば、理解のある人間の意識から変えていかなければならない。草の根運動、とでもいうのだろうか。もちろん嫁は呆れていたが、この場でそれを論じても仕方がない。
 なお、ゆうちょ銀行の場合、ゆうちょATMで「*0千円」と入力することにより、貯金残高から千円札×*0枚のお金を下ろすことが可能である。


●差し入れは持っていった方が良い
 差し入れであるが、小型のクッキー程度で十分だ。値段にして300~500円程度。あまり大きくてかさばる地方の銘菓を持っていくと受け取る側に迷惑がかかってしまう。親切を押し付ける行為は避けた方が良い。
 またネット上に掲載されているコミケの情報をここでも鵜呑みにし、気を利かせたつもりでポカリやスポーツジェルなどを差し入れする方もいらっしゃるだろうが、コミケと違い気候的に穏やかなため、可及的速やかな水分補給は必要ない上に、紙関連の媒体が多いことを考慮すると、水物は控えた方がいいだろう。
 なお、しらたまゲームズでは「チロルチョコ企画」と称し、チロルチョコを差し入れで持参してくださった方にお返しプレゼントをするという企画を行っていた。こういった逆打ちのパターンも「差し入れを考えているけれど、何を送ったら良いかわからない」という理由で考えあぐねていた層にとっては呼び水となったのかもしれない。

●郵送に関して
 郵送するならば、SMLサイズのゆうパックが用意されていることは、カタログ巻末の漫画で皆が承知していることだろう。
 ただ、11時30分に伺った際、すでにSサイズは完売であった。
 たくさん購入したつもりの私でもMサイズの箱で充分の容量だった。ちなみにお値段はSサイズ200円、M250円、L300円+郵送料、である。

●走るな
 広い空間、焦る気持ち、走りたくなる気持ちもわからないではない。だがしかし、周囲は大きなトートバッグやキャリーバッグなどの荷物を抱える人で溢れている。さらに、今回のゲームマーケットでは特に「ベビーカー持参の親子連れ」も多数見られた。走ってそれらと接触し、仮に何らかの大事故となってしまった場合、今後の運営に及ぼす影響は大である。参加者のマナー、モラルは各人で守ってもらいたい。(ちなみにスタッフでもないのにむやみやたらと駆け回っていた某人の姿を眺めていた嫁曰く「コミケでそんな奴がいたら誰とも知らず足を引っ掛けられるから」と愚痴をこぼしていた)

●やはり事前のチェックは必要
 今回特筆すべき特徴として、人気作品や気になった作品はとにかくチェックしておく必要があった、という点だ。先の「カタログの使い方」を参照する理由がまさにこの点に集約される。
 今回、特に開始30分も経過することなく完売する作品は、私がツイートを確認する限りかなり多くの作品に見受けられた。体感として、前回秋とは段違いの多さではなかっただろうか。
 もちろんそれ以降に残った作品が粗悪品と断定しているわけではなく、例えば、KITERETSUブースのテキスタイルや猫と死体と12人の容疑者は昼以降の時間まで販売されていたし、ちかすず氏考案のhammerWorksブース「じゃんけんノーボーダー」という隠れ名作ゲームも昼以降まで販売されていた。

●それでも参加者は「少ない」方だという意見も
 今回春の来場者数は1万3000人と公式HPで発表されている。この数値を多いと見るか少ないと見るかは個人の裁量に委ねるところだ。参考までに、前回のコミックマーケット冬の入場者数は最終日(日曜日)だけで約21万人、東京ゲームショウは最終日だけで約10万8千人である。余談であるが、上記3つのイベントはいずれも右肩上がりに入場者数を伸ばしている。

 買い物を終えた11時40分ごろには、俺は荷物の多さと移動の多さですでにぐったりしていたのだが、一方の勇者嫁は終始不機嫌だった。嫁の頭の中では、この程度の買い物だと1時間ちょっとあれば終了する計算だったという。もっと私が手間取ることなくささっと動けば、と終始ぐちぐち話していた。

 国際展示場を後にした私たちは、その足で新宿に向かい、簡単な食事をとった。 
 妻と別れた私は、齋藤孝先生が著書「読書力」の中で、本を購入した後に喫茶店へと入り、ある程度本を物色しておくようアドバイスしていたことをふと思い出した。
 それに習うかの如く、私は残された体力を振り絞り、とあるゲームカフェ主催の戦利品会に参加したのだが、低下した体力ではインストもままならず、終始グダグダな状態でプレイを続け、周囲 の反感を買ってしまう有様だった。やはりこんな日は無理をせず早めに休むことをオススメしたい。
エピローグ「最後から二番目の真実」

 購入できなかった、撮り逃しがあったとしても、諦めてはいけない。その後のツイッターを確認しておけば、委託販売や通販による販売を行うブースはたくさんある。
 なお、一つ一つツイートを確認するよりも、ゲームマーケット公式HPに各ブースはまとめて取り上げるようなので、チェックしてみると便利だ。

 後日、様々な方のプレイレポートをツイートで眺めるたびに、未だ取説すら読みきれていない自分のゲームに少々悲しい思いをすることもある。
 嫁は言う。「趣味の世界で、好きで売り買いして、好きで満足すればいいものを、どうして高い望みまで追求するわけ?」
 この言葉も元をたどればアランやニーチェの思想に繋がるのだろうか。つくづくこの世界というものを紐解けば、何かしらの哲学に通じるような気がしてならない。
 ゲームマーケットに、何故行くのか。ジョージ・マロリーでなくともそんな疑問にかられることはままある。
 欲しいゲームがあるから、格安でゲームが購入できるから、ボードゲームの祭典だから、人と人との交流のため、などなど、人それぞれ、様々な意見があることだろう。
 それを受けての僕の意見はこうだ。
 僕は、製作者様に感謝の気持ちを伝えたい。
 素晴らしいゲームを届けてくださった製作者の方々に「ありがとう」の言葉を、直接伝えたいのだ。

 最後に、ゲームマーケット公式HPに記載されている、ゲームマーケットの理念を紹介して、締めの言葉としたい。

アナログゲームのイベントであるゲームマーケットは、「みんなでたのしく」過ごす場でありたいと思っています。
「みんなでたのしく」過ごすには、「人を思いやる心」が必要です。
「みんなでたのしく」過ごせ、「人を思いやる心」を自然に育める、そういうイベントでありたいと願っています。 


(Fin)

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