番次郎の盤上万歳!!: 「ボードゲーム喫茶「天岩庵」」に行ってきましたレポ

2017年9月3日日曜日

「ボードゲーム喫茶「天岩庵」」に行ってきましたレポ

「このブログは堅苦しい感想文ばかりで面白くないです。もっと孤独のグルメのような面白いレポート記事を書いてください」

ラジオネーム「恋するウサギ」ちゃんからのリクエストでした。なぜ人を好きになると云々…についてはこども電話相談室の先生にでも聞いてね!

という苦情ありがたい言葉を受け、今回は人気ブロガーであらせられる「うらまこ」さんや「嶺美」さんのような面白レポート記事を書きたいと思います。
目指せ!一流ブロガー!٩( 'ω' )و



天岩戸(あまのいわと)、古事記の中で、天照大神(あまてらすおおみかみ)が隠れたとされる岩屋戸の名前である。
そんな名前が冠された、東京品川にこの程オープンしたばかりのボードゲームカフェ「天岩庵」(てんがんあん)さんに、今回はお邪魔した。



階段を上がると、そこは不思議な空間が広がっていた。
4卓ほどのテーブルは、先ほどまで行われていたアグリコラのグループ、それとは別のゲームを広げるグループ。そこに甚平を羽織り、懇切丁寧にインストを行う店主の姿。
邪魔をしてはいけないと察した私は、奥のテーブルへと移動する。

店内に入るなり妙な違和感に苛まれたが、それが何か、瞬時に察することができた。



「ゲーム棚が小さい」

店舗が運営するブログには「店主が厳選した約170タイトル」とある。
通常の店舗ならその物量で勝負するであろうゲームの数すら、某バウンサーの如く選別されているということだろうか。

このカフェには「ゲーム信託」と呼ばれる独自のシステムが存在する。
ゲームを店内に預けておくことにより、他のお客がプレイをすれば割引券が提供される仕組みとなっている。
店内に入るまで「店主の所持しないゲームタイトルを補完するシステム」と端的に捉えていたが、そう単純なものでもないようだ。その予感は後に的中することとなる。



イメージキャラクターはホワイトボード左「ふくろう(といいはる)」キャラ「ガンちゃん」こと「天乃岩次郎」と、ホワイトボード下部中央、木霊のコマで「ここま」ちゃん。

店内には時計も目立たない、白を基調とした壁にはポスターらしきものもなく、小さなカレンダーが入口に貼ってあるのみ、ホワイトボードに表記されたメニューも「店主の気まぐれ」の言葉が並び、店内BGMも小鳥のさえずりなどの環境音、そこに添えられる看板キャラクターと、気さくで明るい店主

とにかく「ゆるい」、全体的に雰囲気がゆるいのだ。

ゆるい雰囲気を徹底するボードゲームカフェは他にもいくつか存在する。都会の喧騒から離れ、少しでもゆったりとした空間を、といった配慮、それはゲームカフェにとどまらず、飲食全般やリラクゼーションフロアなる媒体として我々に提供されている。

しかしここはまた別格だ。言うなれば「異質」なのだ。

店内が醸し出すゆるさとは対照的に、店主の飽くなきこだわりの伺える場所は各所に点在している。

先に挙げた「ゲーム信託」が、他店の「ゲーム在庫量を看板に掲げる」を逆手に取ったシステムである他にも、私がいくつか気づいた点を挙げていこうと思う。

まず「長考に対する問題への提示」だ。
それはこのカフェの「ワンゲーム同一料金」という料金体制である。基本的には1時間毎500円ではあるが、たとえ時間内にゲームが終了しなかった場合、ゲームが終了するまで追加料金が発生しないという仕組みだ。主に「重ゲーに対する処置」だと店主は話す。
しかるに私はこのシステムを、「個人が長考する際に時間を気にする」という問題に関する、多少なりともアプローチとなるのではないか、と考えた。

次に「インスト割」である。
基本的に店内は料理の盛り付けからインストまで店主が一人で回している。そのため、どうしてもゲームの細部説明や顧客に対する詳細な対応に抜けが生じてしまう。
そこで、インストが必要な場面において報酬を用意し、人員の確保に努めることが目的と見抜いた。
すなわち、これまで有志がほぼ無報酬で行ってきた行為に対し、何らかの報酬を支払うという仕組みである。

そして「各種イベント」である。
この天岩庵もクラウドファンディングが行われ、パトロンには割引などのサービスの他、プレオープンイベント招待など各種イベントが行われた。
また開店早々「有名だけどやったことないゲーム会」など、集客のための企画力に一切の余念がないのだ。

いわば「緩急を自在に操る技巧派ゲームカフェ」なのだ。
この言葉が脳内に浮かび、私はようやく店内の雰囲気を理解することができた。

敢えて力士で例えるならば、さながら小兵力士のような存在と言ったところだろうか。
腕っぷしや重量で勝ち目がないと知るやその技巧性でカバーする、それはあたかも舞の海や旭鷲山のような相撲を彷彿とさせる。



安心と同時に腹も空いたので、名物と称されるカレーを頂くことにした。
今日のカレーはかぼちゃと舞茸のチキンカレー。



家庭的でとてもやさしく、温かみのある味。

米麹の甘酒も頂く。



米の自然な甘みがフルーティな果実と相まって、体にすっと溶け込んでいく。


ゲームで遊ぶ際、我々はその「非日常的空間」を味わい、その中で、ゲームが繰り広げる世界のいち住人となり、いわばゲームの世界と渾然一体となる。
その触媒たる存在が、その導入部となるインストであり、周囲の環境や雰囲気であり、総じてそれらが人間、お客(プレイヤー)との繋がり、仲間ともいえるのではないだろうか。

ゲームカフェとは何か、どういった場であるべきなのか、さらに具体的に、世界の住人たる我々に、どう立ち回るべきであるか。
様々な論議が巻き起こり、中にはアンケートを駆使する者も現れ、その時に応じ数々の意見や批評が上がる。
そんな中において、この「天岩庵」が影で訴えかけるメッセージについて、我々は顧客としてだけではなく、集客としてのあり方としても、大いに学ぶべきところがあるのかもしれない。

私は大きな衝撃と感動に打ちひしがれながら店内を後にした。

「可能性は、まだいくらでも存在する。それが今回、証明されたようなものだ」

遠い帰路の途中も、高鳴り続けた私の鼓動は、結局ひと時も休まることは無かった。


ボードゲーム喫茶 天岩庵
〒140-0004 東京都品川区南品川5丁目3




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