番次郎の盤上万歳!!: 氷壁にピッケルを打ちながら(僕のゲームマーケット奮戦記 その1)

2017年12月19日火曜日

氷壁にピッケルを打ちながら(僕のゲームマーケット奮戦記 その1)

ゲームマーケットに関する、私の奮戦記です。
ただ、かなり長くなると判断致しましたので、少しずつ、更新したいと思います。
ごゆっくりお楽しみ下さい。



序章


元々、クイズを作ることが好きだった。
それ自体は自己完結で収めておけばいいだけの話。
ツイッターに「できました!ボードゲームのクイズです!」と取り上げても「難しい」「できない」の意見ばかり。
そもそもこの時「クイズとボードゲーム」の相性に、誰もが敬遠していたかもしれない。
2016年冬、私はそれでもクイズを作っていた。

ゲームマーケット春が終わり、手元に数多くの新作ゲームが並ぶ。


小冊子にしたいという思いはこのころから湧いたものだったと思う。
そう、漠然と、なんとなく。

背中を押してくださったのも、ゲームマーケットに長年携わった出展ブースの方だった。
「2次が空いてるよ。出てみたら?」
「クイズなんて、誰もまだ手をつけてないんだし、やってみたら」
クイズの本を頒布したい、それは私自身たっての思いだった。
しかし、今一歩踏み出せないそれら最大の要因は、先述の通り「誰も反応しないこと」に尽きる。
配っても配っても、誰も手に取ってくれない。
ゲーム会で「クイズをしましょう!」と持ちかけても、誰も反応してくれない。
クイズに対するなんらかの壁、認識の乖離、
出版するにあたり、私が挑まなければならない相手は、そんな大きな障壁だと、当時は気づくよしもなかった。

ともあれ、出展そのものは流水のごとく決まっていった。
「応援するよ」
「頑張って」
そんな励ましの言葉をもらいながら、いつしか私は、買う側の立場から一転し、売る側の立場へと変貌を遂げる。
本当にこの業界の方々は暖かだ。


8〜9月

何も考えていない、では余りにもお粗末だ。ことを起す以上、作戦を練るのは軍事としても、ビジネスとしても当たり前の算段であり、何かしらの戦略を組み立てなければ、それらは単なる「フリマの延長上」に過ぎない。
軍事史を紐解くと、主要指揮官の下には、副指揮官を筆頭に、広報担当、情報担当、作戦参謀、補給担当、の四役が控えているのだという。
まずは8〜9月までに行なった活動を、それら4項目を軸にあげていきたと思う。

広報活動

広報活動、何はともあれ、宣伝活動から足場を固めていかなければならない。根拠はないけれど、知ってもらわないことには始まらない、という漠然とした私のイメージだ。
取り掛かりは、目に見える広報活動、まずは「サークルカット」だろう。
このサークルカット、提出を求められる日時が9月半ば。実際にカタログが発行されるのはそれから2ヶ月後となる。
購入者層は当然カタログを読みながら「今回の目玉は何かな〜?」などと考えつつ思慮することだと思う。
しかし、ゲーム制作者にとって、9月の半ばにゲームの概案が出来上がっているケースは、よほどのことでない限りこんなんではないだろうか。
学校の勉強だって、2ヶ月前の履修要綱を前倒しにされると皆が慌ててしまうことだろう。
とはいえ、何も情報が記載されていないまま「新作あります」「お楽しみに!」だけが掲示されたサークルカットでは、広報としても何ら意味をなさない。
ゲームマーケット春を見ていても、やはり待機列で並びながら、蛍光ペンを片手に当日チェックする客層は多く散見された。
現時点で判明している情報を、出し惜しみすることなく、さらにもう一工夫欲しい。

デザインの本を読み漁る。
私のブースはI-006、TRPGなど、書籍のブースが並ぶ列だ。
傾向として、この物販のサークルカットは、かなり画力が高く、アニメ調のイラストが所狭しと並ぶ印象が強い。
書籍としてはクトゥルフ神話、または根強い人気のボードゲーム雑誌には、可愛くて胸の大きな女性が数多く登場する。
それらに対抗するためには
「空白を利用する」
そして
「メッセージを残す」
この二点に留意し、私はサークルカットを数パターン用意した。
「一答にかけろ」
「こたえにおいでよ」
「きみに、解けるかな?」
ボツになったメッセージを拾い集める。ニアピンはあるが、ホールインワンに届かない。
そんな中、クイズを作りながら、ふと、こんな考えが頭をよぎった。
「本を売りたいの?」
いや、違う。
私が売りたいのは、クイズを通じた「コミュニケーションツール」だ。
それは書籍の名を冠した、ある種の「ボードゲーム」と呼ばれる代物であってしかるべきだ。

私の中でそんな想いが、夏の日の入道雲のように、ムクムクと湧き上がる。

「読むボードゲーム、あります。」
サークルカットの文言は、そんな経緯で割とあっさり決まった。



情報活動

ネットのアンケートクイズは、得てして、高難度のクイズの正解率が高く、それらはクイズ製作者を錯覚させる。
わかる人しか選択肢を押さない、その事実に気がつくまでに、私はしばらく時間を要した。
つまり、全体の母数を知るための指標とはならないのだ。
宛になどならないし、してはいけない。
要するに、世間一般が「フリードマン・フリーゼのイメージカラーは緑色」だと知っているわけではないのだ。
ちなみに、この問題のTwitterアンケートでの正解率は実に80%を超えている。

怖い。
クイズ製作者は常に恐怖と戦っている。
問題に正解されると、あたかも人格を否定されているように思える。思えてしまう。
ゆえに、自ずと挑発的とも思えるような高難度の問題を作成するきらいが生じうるのだ。

問題作成に関しては、ある程度、メンタルの整った状態で作成できる環境があれば最高だ。
ひとまず、現段階では無理だろう。その理由は推して知るべし。



内容の充実

三番目の作戦参謀、これは内容の更なる充実に関する記述をあげていけば良いだろうか。

そもそも、この「ボードゲームクイズ」という存在は、別に真新しい、私が先駆的存在というわけでもない。
ネット界隈には数あまたのボードゲームというジャンルの問題が存在する。
関西老舗のゲームカフェ「デザートスプーン」では「ボドQ」と称するアンケート形式の問題を不定期に実施していた。(現在は停止中)
また茨城近隣を拠点に活動する「すぎ」氏は「コンポーネントクイズ」と称し、カードやコンポーネントの写真を示した上で「わかった」「わからない」といった形式のクイズを披露、今年のゲームマーケット春には書籍も出版されている。

そんな中、私は純粋に「クイズ」しかも「クイズの部分に特化した」作品を作り上げることに、何の需要があるのだろうか。

そんな折、「ボードゲーム王決定戦」の知らせが届く。
聞くと、この予選種目の中に「ボードゲームクイズ」があるというではないか。
願ってもない特需!
私はこの機会を逃すまいとし、零細時間をほぼ全てクイズの作成に取り付けた。朝も晩も、食事中も、寝る前も、片時もボードゲームのクイズ作成に明け暮れた。
「できました!クイズの予選にどうぞ!」
元々、BOTの為にと用意していた400問に、大幅な問題を再構築し、さらに、新たな問題を加えた620問を、ネットワーク上で一般公開した。

1ヶ月後、ダウンロード数を確認したところ、総数、実に1件。その1件も、私が外出先でプリントアウトに使用した際のカウントであった。
見たくはないけれど、これが現実だと痛感した。

では、なぜ私は今回、苦渋を舐めることとなったのか。
広報、情報、そしてこの後の補給活動の連携がなされていないからではないか。
どれだけ兵が強かろうと、幕僚が弱い組織はそのあたりから瓦解するのである。
問題作成、取り分け、手に取ってもらえるような、兵力の増強、魅力度を上げる施策、
こちらに関しては、一旦8月の段階では特出した何かを行なったわけではない。
むしろ、日々、クイズを更新し、毎日の実を太くすることに傾注したことだろう。
その代わり、1日もクイズを枯らすことなく、つらい時も悲しい時も、疲れている時も、必ずクイズには着手した。
やって見たら分かると思う。毎日行うことの大変さは、本当に毎日続けている人でなければわからない。
クイズは続けた。「DL1件」のメッセージを目に焼き付け、ただひたすら、続けた。
いわば「臥薪嘗胆」の心意気だ。いや、ここは「ごまめの歯ぎしり」が適切なのか。



補給活動

補給活動も忘れてはならない大事な行動だ。
給与を含む金銭的な面に加え、日程等スケジュール調整、感冒等体調管理、食事等栄養面の管理など、正常な状態を維持するためにはどうしても頭に入れておく必要がある。
これらを一人でこなさなければならない。
となると、やはりこのボードゲーム制作は、数人で役割を手分けして、できればきちんと役割を分担して行なった方が幾分軽減できる。

しかし、ここまで来てしまったのだ。退路を立たれた以上、後戻りはできないのだ。

とにかく一番大変だったことは、今後にも影響を及ぼすのだが「メンタルの維持・管理」であった。プライベートでも職業上でも、ネット上でもオフラインでも、何かにつけて人間と対峙しなければならない以上、この問題には正面切って向かい合う必要が生じる。
メンタル面でキツイ環境下では圧倒的不利だ。
体力的にどうにかなる、と自負できるならばそれで押し通せば良い。
これもやはり一人の力ではどうにかなる問題ではない。改めて今回の作品が出来上がったことは、ひとえに周囲の方々に拠る所が大きいと感謝するのである。


つづく

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