番次郎の盤上万歳!!: 井の中の蛙と大海と ーニケ静岡で学んだ話ー

2018年2月12日月曜日

井の中の蛙と大海と ーニケ静岡で学んだ話ー

(2月12日 PM19:30更新)

私の住む山梨県のお隣、静岡県に、「ニケ会」と呼ばれるゲーム会があるという。
かなり評判の良いゲーム会ということで、前々から行こう行こうと思いつつ、これまで行きあぐねていたのである。
ようやく日程を取り付けることのできた私は、前日からすでに緊張して眠れなかったほどだ。
その一部始終を書き留めておきたいと思う。


早朝に目が覚め、どうしてもその日に済ませなければならない用事を猛烈な勢いで片付けた私は、大きなスーツケース2つ分の荷物を抱え、車で2時間ほどの、グランシップ静岡に向けて出発した。

PM13:30、何とか到着
60人規模の会場は既に大勢の人でにぎわっていた。
子供から大人まで、受付の方曰く、常連から(私のような)初参加の方も大勢いらっしゃるのだという。
緊張の面持ちで辺りを見回すと、名古屋からはポッドキャスト「今夜もアナログゲームナイト」でおなじみの太陽皇子のスタッフも駆けつけていらっしゃる。
同卓では中野のkurumariでお会いしたピピタパンさんやじゅんやさんなどもご一緒だ。
テーブルでは「フリッケンアップ」と呼ばれる作品がすでに始まっており、子供たちも交えてプレイされている。皇子のインスト術は、いつ聞いても丁寧かつ無駄がなく、とてもわかりやすい。

遠方から歓声を送りつつ、私もその場に混ぜてもらった。

ゲーム自体はそれほど難しいものでもなく、白と黒のコマに分かれ、相手の駒を指で弾き倒すことが目的のゲーム。大人に混じり、子供達も混じっての参戦だ。
しかしこれが思うようにいかない。場所を移動するか、遠方から一気に弾くかの判断は非常に難しく、失敗する姿を子供らに嘲笑され、思わずむきになってしまう。
それでも、上手く相手のコマを弾き飛ばせたときにはハイタッチをするほど嬉しくなる。
この辺りのさじ加減が、この作品の最大の魅力と呼べるのだろう。

少し休憩を取った後、次は私の手持ちから「ナンバーナイン」を広げることにした。
私は手持ちのゲームを得手不得手特に気にすることなく持参する性格なので、説明はするものの得意である保証などないわけで、当然、このゲームに関しても、私自身は相変わらずビリを独走していた。

昼過ぎに到着し、気がつけば時刻は4時をまわっていた。
頃合いを見計らい、私のボードゲームクイズを広げることに。
早押し機や、このために作成した新作問題も用意し参加者を募ると、物珍しさからだろうか、周りに少しばかり人だかりが出来た。
準備も整い、和やかな雰囲気から少しピリリとしたムードへと切り替わる。それらを一緒くたにしつつ私のクイズは進行した。
念願叶い、太陽皇子が回答者として参加される機会に恵まれた。ピンポンの正解音、「正解!その通り!」という私の声に、思わず周囲から歓声が上がる。
この盛り上がりだけでも、参加する意義は十分あったといえよう。

夕方6時を回るというのに、人だかりは一向に途絶えることはなかった。
このゲーム会の特徴として、個人が「面白い」と思ったゲームならばなんでも、みんなが面白さを共有することにあった。
こと、各地のゲーム会やゲームカフェといえば「誰それが新作を持ち寄り、新作ゲームをプレイする」といった、ともすれば「ゲーム品評会」に傾注するきらいがある。
しかし、このニケ会では「カタンやろうぜ」や「ナンジャモンジャをしましょう」など、往年の名作ゲームを、普段の通り、みんながワイワイ遊ぶような光景が見受けられた。

もちろん「ブタ牧場」「象のトランペット」「キャッシュ&ガンズ」など海外の名作も数多くプレイされてはいたが、ゲームの希少価値などまるで気にすることなく、参加された方全員が、童心に返り、ワイワイと遊んでいる。
小学生であろうとも、きっちりと戦略を立てながら真剣にカードを切り、大人サイドも、子供だからといって容赦することはしない。
大人と子供の立場はあくまで対等であり、フラットな世界が醸造されている。

しかし、それらは同時に笑顔を育んでいた。終了後は対戦者同士が互いにハイタッチするような、しがらみのない、ラグビーの「ノーサイド」の世界がそこには広がっていた。


これらは、「ボ育て」や「ボードゲームの各種メリット」といった形態で各種メディアがこぞって取り上げている「ボードゲームかくあるべし」といった、目指すべき理想の姿ではないだろうか。

フラットな立場での真剣勝負は、同時に、双方に自然と笑顔を育む。
真剣に相手に向き合うからこそ、相手のことを真に分かり合える、
そのための空間こそが、まさにボードゲームがもたらす恩恵であり、ニケ会に参加された一人一人が、少なからずその恩恵に授かっているのだろう。

桃源郷という言葉があるならばこういった世界のことを指すのではないだろうか。

そんなことがふと頭をよぎった。

時間を惜しみつつ、私は帰りの高速へ車を乗りつけた。


さて、以前も記事にしたのだが、私は有意義な時間のあとになると、必ず気持ちが落ち込んでしまうクセがある。
これにはいつも、ゲームをやり尽くした後の疲労感に伴うものだとのだろうかと自分で慰めてもいたのだが、どうやらそれは少し錯誤が生じていたのかもしれない。

「井の中の蛙大海を知らず」という言葉がある。

何も知らないカエルのような自分にとって、今回の大規模なゲーム会は、まさに「東海の大海原」とも呼べる。
自分の領域、そして新たな可能性を改めて知ることができたこと、さらにこの「ニケ会」が取りなす大きなフィールドを垣間見ることができた時の、軽い絶望。
「まだ足りない、まだ自分には足りないんだ」
自分の小ささを自覚することへの、抵抗と、恥辱。
ブルーな気持ちの根源は、疲弊した体力も相まって、それらが加算されて生じるものだったのだ。

しかして、それらは、しばらく経過した後に、必ずや悲しみから野心へと取り変わっていく。
体内の自浄作用は、時間の薬を交えた上で、自ずと修復するように出来ているものなのだ。
あくまで自分の中の経験則だが、これまでもそうだったし、これからも、きっとそうに違いない。


きっとしばらく時間を要するだろう。
けれど、それは次回に向けての血となり、肉となり、自分の中の新たなエネルギーとなり、生まれ変わっていく。
巡り巡って、自分の中の未知なる領域へ、そしてそれらは、この「ニケ会」が進む新たな一歩の糧へと、回帰していくものではないだろうか。


学ぶことの意味合いが非常に大きかった今回のニケ会で、とても多くの人に出会い、ボードゲームに触れ、そして数多く学ばせてもらい、主催の方をはじめ参加されました方々、大変感謝しております。

ありがとうございました。是非、次回も、参加致します。

<オマケ>
当日披露いたしました動画クイズを公開いたします
よろしければ御笑覧ください



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