番次郎の盤上万歳!!: ミドリムシの話

2018年5月27日日曜日

ミドリムシの話

ミドリムシの話をしたいと思う

近年では「ユーグレナ」の名称でも親しまれるミドリムシは、栄養豊富な食品として、発展途上国の貧困な子供たちにクッキーなどに加え配布されるなど活用されている。
国内でもその高い栄養素がサプリメントや化粧品などにも利用され、需要の高まる中、ついに人工的な繁殖に成功、安定的な供給ができるようになった。

生物学的に見ると、食物連鎖の最も下に位置し、多く繁殖したところでそれ以上に多くの生物に必要とされる、まさに「縁の下の力持ち」的な存在だ。

万能である一方、あまりにありふれすぎるあまり、皆がそれを「さも当然」として扱う存在
理科の実験でドロ水から容易に採取されるなので、有り難みも薄く、また、そんな微生物を安全に口にできるなどと、当時は知るよしがあるはずもない。
まして、名前に「ムシ」が入っているが故、多くの方に誤解されることもあったのではなかっただろうか。


皆に必要とされる存在とは、皆にそう「ぞんざいに扱われる」ものではないか

今回のゲームマーケット春、私は数多くの失敗を経験した。
あれだけ綿密な業務を調整したにも関わらず、広報活動もろくに行うことができず、文章校正に多大なミスを生じ、当日は発送品の到着ミスなどブースの運営に支障をきたし、その後の委託販売等も大きく遅れを取るなど、作品全般に大きな痛手を被った。
ゲームマーケットのアンケート評価にも、一時期、作品名もブース名も、評価の対象として上がらなかったほどだ(現在は修正済み)
その後の対応の不備も重なり、せっかく先回築き上げた評判を、大きく下げる結果となってしまった。

失敗は本当に痛い。失敗など、したくは無い。
誰しもがそう思う。
失敗に限らず、労力全般を包括して、そう言えるだろう。
これまでの宣伝、これまでの制作時間、テストプレイ、文章構成、等々、全てに費やした時間が、あたかも全て「マイナスカード」を突きつけられるが如く、反転してしまったからだ。
自分の中で頑張りを提示した分だけ、比例するようにリスクは上がっていく。
ゆえに多くの方は「リスクヘッジ」を念頭に置き、時に安寧の道を選んだりもする。

だからこそ、
意を決して虎穴に入ったからこそ、見えてきたものがある。
傷口が少しだけ癒えた今、言えることがある
それは「今まで見えなかったものが見えてきた」ことだ。

それでも作品を応援してくださる方がいらっしゃった
「買います」「待ちます」と声をかけてくださる方がいらっしゃった
「次の作品を期待しています」とおっしゃる方がいらっしゃった

作品を冷たく見放された中、それでも暖かく見守ってくださった方が、その目にハッキリと映ったのだ。

ゲームマーケットから一ヶ月が経過する。
心と体は、未だ不安定のまま揺れ動いている。
きっと今はまだ、ゲーム用語的に「しゃがむターン」なのだろう。
あたかも筋肉の超回復のような、筋細胞が修復する痛みのような、今はその痛みに耐える時なのかもしれない。

かっこいい言葉を並べたけれど、正直な話をすれば、次回の作品に向けての構想など、何も立ってはいない。
傷口もそんなに癒えてはいないし、やはり失敗のリスクを覚えているのは、頭ではなく「身体」のようで、手が、指が、ピクリとも動かない。動こうとしない。
きっとまた作品を生み出した時には、あの日のような大失敗の憂き目に遭うかもしれない、それを身体が「覚えてしまった」のだ。

でも、私は信じる。
いつの日か、歩み出す時が来る。
その時こそ「あの時自分は、正しい選択をしたのだ」と、
そう自分を慰めてあげたい。

いつの日か、皆が作品を求め、その一方で失敗をけなされ、それでもじっと耐えることのできる度量を持ち合わせる、

失敗し、絶望のどん底から、痛みに耐え忍び、再び立ち上がってきた、
そんな僕なら、きっとそれができるはず。


自分が将来向かうべき作品は、そんな「ミドリムシ」たる存在でありたいと願う。




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