2018年8月11日土曜日

空気で読み取る好き、嫌いの話

ボードゲームに限った話ではなく、私が何かを好き、嫌いで判別する要素の一つに「空気」という項目がある。

人で例えてみたい。

直接お会いした際に、五感を持って感じ取った、空気的な概念の、風格、表情、発する言葉、声質、体臭、仕草、居心地、等々、それらを含めた総合的な雰囲気で好き嫌いを判別する。
している。
いや、「していた」のだ。
自分でそう自覚してはおらず「無意識のうちに」である。


百聞は一見に如かず、とはよく言ったもので、多くの方が持つ数多くの印象を受けるより、直接学習した自分の体験を主に尊重する性格だ。

私自身がそう「イケメン」「イケオジ」と呼ばれるカテゴリーから大きく外れることから、多少ひがんでいる文面にも見えるかもしれない。
多少言い訳じみた解釈になるが、赤ん坊が生まれて最初に発達する器官は嗅覚と言われる。視覚、聴覚などはそれらより後だとか。
また、今よりさらに年を重ね、先に衰える器官は視覚、次第に聴覚等は衰えるものの、嗅覚は鋭敏さを増す方も多いと聞く。香水などの調合を行う調香師の方に熟年層が多い話も道理といえよう。


先日、さるボードゲームのテストプレイ会にお邪魔した際の出来事。

主催は先般のゲームマーケット春出展や各種レビュー記事など多彩にわたる活動で知られる「まつなが」氏で、すでにこのテストプレイ会は恒例となっている。

参加する直前はまだ世に生まれぬ作品に辛辣な評価を下されることに関し、非常に胃が痛い思いをしたものだが、始まって仕舞えば実にアットホームな雰囲気で進行し、作品全体の好意的な意見や、ルールの根本がわからないからこそ生まれる多種の意見、アドバイスが忌憚無く頂ける、大変貴重な時間となった。

前職で、いわゆる「ブレスト(ブレインストーミング)」といえば、忌憚ない意見と称する「相手を気遣う意見」を求められ、意見交換というを冠しつつ時にはディベートに発展したり、結局上役が資料にあれこれ口を出すだけの公開修正指導の場に成り下がることもあり、見えない壁、見えない障壁、見るべき相手の表情、見るべき周囲の空気、等々考慮した上でそれでも何かしら発言を求められるという、個人的にかなり苦手な場であった。

「満足したら、そこで成長は止まる」
厳しく言及する指導者が大好きなセリフのひとつだ。
しかし、受け止めた言葉を最終的に取捨選択するのはあくまで受け手の話だ。
嫌な言葉の中にたとえダイヤの原石が眠っていようとも、泥の中からそれらを探求しろといって土のう袋ごと相手に放り投げるなど、それは指導者として怠慢に過ぎない。
相手の良い点を見つけ、悪かった点は改善案をともに考え、自分なりの一案を用意する、
それができてこそのアドバイスではないかと常々思う。


閑話休題
ボードゲームをプレイする際も、作品自体の面白さより、気がつけばやはり「空気」を重視していた。

例えば周囲の環境、どれだけ世界各地の賞を総ナメにするほど面白い作品であろうとも、ファミレスや混み合う電車の中でプレイする作品となると、相応の作品が別にあると考えて選別する。
私はカフェやゲーム会などの雰囲気は主催者(店主、店員、あるいは常連客)の人望、人格が形成するものというポリシーがあるので、入った瞬間「失敗した!」と感じる場所には、しばらく時間をおいたのちに足を運ぶよう心に留めている。

一緒に同卓される方やプレイ中の空気となると尚更であり、意識しなくともこちらには不思議と肌身で伝わってくるものである。
こればかりは感覚によるものなので往々にして勘違い、気持ちのすれ違い等も生じることだろうが、「つまらない」「面白くない」といった相手の発する「無言の信号」は何故かこちらにも痛いほど伝わるのである。
それとない仕草だろうか、顔の表情だろうか、発する言葉の端々だろうか、詳しい理由は定かではないが、こと「マイナスの情報」に関しては空気を通じ敏感に察知できてしまう、これは何も私に限った話ではないと認識している。


以前「言語だけのコミュニケーションでは真意は伝わりにくい」旨のブログを書いた。
(第59回「インストは気楽に、気さくに、の話 https://hibikre.blogspot.com/2018/07/blog-post_28.html」)
そこでも少し触れたが、インストを行う際、直接目に触れる言語のみの情報よりも、更に突っ込んだ「身体から発するメッセージ」すなわち

「視覚」相手の表情、盤面全体の流れ、駒やカードの動き
「嗅覚」汗、体温、等によって生じる相手の微妙な空気、空腹等の体調など
「味覚」喉、口内の乾き等
「触覚」大きさを伝える際の牌やカードの感触、
「聴覚」相手の発する声質、周囲の喧騒等

これらを「本人が意識することなく」体が(脳が)空気で伝えてくるのだ。
「空気読め!」と指摘された際は、単に取扱説明書を朗読し続け、こうした「周囲の状況をシャットアウト」したまま読み進める場合が多々発生するからなのか、と、自分の中で猛省する。

この「空気を読む」ことが発展した「何らかの体の信号」は、少し前に話題となったアントニオ・R・ダマシオが提唱する「ソマティックマーカー仮説」(※発汗や心拍数などの身体反応が意思決定の品質に大きな影響を与えるとする仮説、細部割愛)にも関わるかもしれない。今はまだ自分の勉強不足ではあるけれど、この話題に関し、将来的にもっと深い面まで追求していきたいと思う。

最後に、 sasshi&saashi著「創造的な習慣(中)」OKAZUbrandの林尚志氏のインタビューを引用し、締めの言葉としたい。

(テストプレイに関し)
表情は重要ですね。この人は真剣にやっているのか、そうでもないのかを見極めるんです。(中略)そういう意見は聞いてもしょうがないですよね。逆に言うと言葉自体よりも、つまらなそうに遊んでいたかどうか、それがすでに「意見」なわけです。


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