番次郎の盤上万歳!!: Self Similarity ボードゲーム王選手権 始動ノ章」

2018年8月6日月曜日

Self Similarity ボードゲーム王選手権 始動ノ章」

準備編 http://hibikre.blogspot.com/2018/08/self-similarity.html
当日編 その1 http://hibikre.blogspot.com/2018/08/self-similarity_5.html
当日編 その2 http://hibikre.blogspot.com/2018/08/self-similarity_52.html



最終回

当ブログ初、4回に分けて寄稿した「ボードゲーム王選手権体験記」も、この項で最終稿となります。
よろしければお付き合いください。
(8月6日16:25 一部文章推敲)


おやつのないおやつ休憩後、いよいよ決勝進出者の発表。
順位が下位から発表される。
既にチーム内の序列が「王様と物乞い」程にかけ離れてしまったパートナーの「のざくに」氏と「中の上くらいには、いるよね」と話していたので、運が良ければ8、7位くらいか、と予想していた。
それでも一抹の期待を手にし、10位、呼ばれない!9位、8位…なかなか登場しない我が「ゲームボーイおじさんず」

末端の7位まで発表されたところで、司会のいけだてつや氏の口から、決勝進出の5名+1名の発表は一気にモニターに映し出される旨が告知された。

何とまあ残酷な演出を。

目を閉じ、手を握り、唇をきっと引き締め、さながら「帰れま10」のランキングを待つ芸能人のような面持ちで、私はただただ天に祈りを込めた。

モニターが映し出される。


6位…。
ここで我々ゲームボーイおじさんずのチャレンジは事実上の終焉を迎えた。

「いやー悔しい!是非また来年リベンジを!」
といった感想を胸に、涙の粒でも流せば、それなりに絵面が取れたのかもしれない。

しかし、現実の私はというと、何故か「笑っていた」と思う。
「悔しいなぁ、惜しかったなぁ、早押しボタン、押したかったなぁ、いやはははは!」
高笑いでも不敵な笑みでもなく、何か「仕方ない、今はこの苦境も乗り越えなければならないのだ!」といったとき、自ずと顔に現れる、あの超越感とやるせなさとが入り混じった「いつものやつ」だ。

ところで、今更になるのだが、この前年度覇者「のざくに」氏、とても顔の広い方で、メビウスママにも「先日お会いしたばかりです」とご挨拶したり、決勝ステージ進出者のほとんどの方がどんな方かを熟知されているという。
ボードゲーム歴の浅い私とは大違い、それどころか、そんな方のパートナーを買って出るという厚かましさに、我ながら今になって震えが走る。

そんなのざくに氏の助言を元に、決勝進出者を簡単に紹介したい。

現役&退役JCチーム:予選1位通過。先の「キャプテンリノ 」ではトップとなる11階の高層マンションを建設し周囲の注目を浴びていた。JCは「ジェリージェリーカフェ」の略称。
チームフロチャ:東京都中野のゲームBar「フローチャート」のメンバーによるユニット。我々と同テーブルで、終始「前日に(出場を)決めた」「勘でいけた」と話しながら、上位入賞を果たす、いわゆる「「全然勉強してないよー」と言いつつテストで高得点を叩き出すクラスの優等生」的なイメージ。
モジャモジャ:勝負に関し常に真剣で、リノに関しても二人で猛特訓を重ねたと話す、メンマ氏らネット界隈でもその名を轟かす有名な方で構成されたグループ。実際お話すると、ツイッター上と同様、とても紳士的な方で安心しました。
R&Y:Rael氏率いるグループ。ボードゲーム業界を始め幅広く顔を持つことでも有名。ボードゲームの所蔵数が常人を超えることでも知られる、計り知れない知識と探究心を併せ持ち、おそらく早押し形式でなければ間違いなく優勝候補に上がっていたであろう組
ボードゲームおっぱい:有名人気ポッドキャスト「ボードゲームおっぱい」MCマダム・ザザ氏とバブル大佐こと渡辺範明氏の二人によるユニット。ドイツゲームと製作者目線に関する知識はチーム内でトップクラス。

気持ちを切り替え、決勝の舞台を鑑賞する。

決勝は4問先取の早押しクイズ。お手つき・誤答は問題の解答権を失うのみ。
ボタンはいわゆる「ヘソ型」の本格派だ。

この「決勝早押しクイズ」に関しても、事前の話し合いの際「のざくに氏」と「どういった問題形式となるのか、ずっと話し合いが行われていた。
公式HPによると

「早押し形式です。 「ボードゲーム王」ならではの、「なんでそんなことまで知ってるの?!」と思わずヒいてしまうようなマニアックなお題と回答のせめぎ合いで、会場は大きく盛り上がることでしょう!」

この言葉を題意通りに汲み取って良いものか、本当に難しい問題ばかり出題された場合、運良く決勝に「勝ち上がってしまった」組が、決勝の舞台で「さらし者」となる可能性だってある。
ならば、出題形式を大きく変える可能性も否定できない。
例えば「アナグラム問題」(「社畜たんの戦いか?」→カタンの開拓者たち)
または「次のゲームの作者は誰でしょう?解答権は、目の前のブロックス3Dをいち早く組み上げた人から権利を得られます」、なども、クイズ王ではなく「ボードゲーム王を決める」という趣旨ならば、決してあり得ない話ではなかった。

そんな私の期待が「良い意味で」裏切られ、決勝は超難問早押しクイズが次々に出題される。

「秘書はカレン… 」ピンポン!「ライナー・クニツィア!」
「シュティムド・ゾーを原作…」ピンポン!「アルハンブラ!」

先のツイキャスにて入念な予習対策を行った私だったが、正直、これら「難しすぎて出題されないだろう」という問題は早々に切り捨てたのだ。
コメントを寄せた方からも「難しすぎる」と評判が悪かったから、というのも一つの理由だ。

決勝はどのチームも一進一退の攻防を繰り広げる中、ボードゲームおっぱいチームが3問先取でリーチをかけ、直後、モジャモジャチームが追いかけるように3問目を正解し後を追う。
次の問題、会場全体に緊張のムードが漂う。

問題>ワン老師に集まり教えを説く、という内容の、鹿児島県奄美大島の原ハブ屋で販売されているカードゲームの名前は何?

一瞬の静寂がこだまする。本日出題分の中でも特に高難度ではなかっただろうか。

ピンポン!
ボタンに手をかけたのは、モジャモジャチームだった。
「俺、これ、持ってる」
小声だったが、私はその声を聞き逃さなかった。

「ハブ拳!」

「正解です!」
司会のいけだてつや氏がそう宣言した瞬間、第2代ボードゲーム王が「モジャモジャ」チームに決定した。

会場からは割れんばかりの拍手が巻き上がる。
なにせ、あの超難問を切り抜け、映えある王者の座に勝ち上がったのだ。誰もが「ボードゲーム王」として、その深いボードゲーム愛を認めるはずだ。


全体で記念撮影を行い、翌日の「すごろくや祭」会場準備へと移行するスタッフ。
後押しされるように、我々参加者らは会場を後にした。


前日に、私があおるのは、勝利の美酒か、末期の水か、苦いビールか、などと愚鈍な考えを巡らせていた。
しかし、その後のざくに氏に誘われた打ち上げで、実に半年ぶりとなるビールを口にした時、こうもアルコールに弱くなってしまった自分に驚いた。
アルコールを口にすると、ただでさえ受け入れ難い目の前の現実世界が、一層、夢の世界のように感じるのだ。
目の前には、普段ツイッター上にいらっしゃる方、界隈の著名人、知識人、尊敬する方ばかり、そんな中に、私がいることそのものが何よりも不可思議で、あたかも真っ白い絵の具に誤って朱色の絵の具が混ざってしまったかのような、ぐにゃぐにゃと、ぼんやりと、視界の中で夢とも現実とも無い物語を巡らせていたのだった。


後日。

同会場のすごろくや祭にも参加した私。疲れの抜けきれない体は、久しぶりにアミノ酸の粉末を入れてごまかした。

のざくに氏はこの日も会場で業務を担当。笑顔で来場者にゲームの説明を行なっていた。本当に頭が上がらない。
昨日のことも含め軽くご挨拶をする。
のざくに氏は笑顔でこう話す。

「嫁が「バンちゃんさんが一番楽しんでたようだね」って話してましたよ」

その言葉で、私の肩からほぅと大きな荷物が降りた気がした。

昨日のイベントで「一番楽しんだ人間コンテスト」があったならば、それはまちがいなく、私だったはず。
何ヶ月も、それこそ、1年以上も前から予習を重ね、当日は思いっきり楽しんだ。
クイズが楽しかった。面白かった。
多くの方と出会い、多くの方の知識、ボードゲーム愛を肌身で知り、まだまだ自分には「知識」こそあれど「愛情」に欠けていたのだろう、と。
もっと、もっと遊ばねば。ボードゲームを「勉強する」ではなく、今後は「楽しく遊ぶ」に、シフトチェンジしなくては。
嗚呼、神様、何もできないこんな僕に、ボードゲームを教えてくださり、ありがとうございます。
そう、心から感じた。
本当に、本当に、幸せな1日だった。

「エライヤッチャエライヤッチャ、ヨイヨイヨイヨイ
踊る阿呆に、見る阿呆、同じ阿呆なら、踊らにゃ損損」

そんな夏らしい、阿波踊りの合いの手が、ふと、頭をよぎる。
「アタマ空っぽの方が 夢詰め込める」、なんて歌詞もあっただろうか。

一番楽しめたのが私だったなら、それが最高じゃないか。

そう自覚した瞬間、何だか胸の奥がジンと熱くなった。
慌てて目の前の会場を見渡すと、すごろくや祭は大勢のお客様で賑わっている。
老若男女、大勢の方が、心ゆくまでボードゲームを堪能し、ボードゲームの楽しさを存分に味わっている。

楽しまなきゃ。

私はこわばっていた顔が緩んでいく様を感じながら、多くの方でごった返す体験台へと足を運んでいった。
私は一介のボードゲームクイズ屋だ。
ボードゲームが、ボードゲームのクイズが、大好きだったのだ。




(ここまでご覧下さり有難うございました。)

0 件のコメント:

コメントを投稿