2019年8月27日火曜日

出会いは一期一会 ー突発的関西旅行記ー

それは突飛に思いついた旅だった。前準備も何もなく、行ってすぐ帰るという時間計画の他に本当に何も決めてはいない。
事後報告となるが、前準備の至らなさも含め反省する面は多々あるし、そのおかげで「できなかった」「見逃した」ことも非常に多かった。
旅というものは「しおり」があり「準備」があり、きちんとした計画や目的があってこそ真に楽しめるということを実感した。

唯一、定まっていたことがある。
今回の関西遠征は「お礼を伝えに行くこと」
来月21日に開催される「神戸・三宮ボードゲームフリーマーケット」の前に、一度自ら足を運び、関係各所へ御挨拶に伺うことが目的だ。


勢いに任せ、AM7時、駆け込むように新幹線に乗る。





2時間30分ほどで大阪に到着。ここまで本当に勢い一辺倒だったせいか、今ひとつ「大阪に着いた!」という実感がわかない。
関西弁の飛び交う喧騒、うどん屋やジュースバーで賑わう駅ナカ、それらの雰囲気を肌身で感じ取っているうちに、じんわりと「ここが関東ではない別の場所」であることを何となく自覚する。

ともあれ、最初の目的地は兵庫県加古川市に位置する「駒の時間」様だ。



多くの棋士を輩出し、「棋士の街」を看板に掲げる、いわばアナログゲームにもゆかりのある加古川。
こちらでボードゲームプレイスペースを切り盛りするkomaさん、Tokiさんの御二方はいつもと変わらぬ笑顔で私を出迎える。
先日8月17日、ラミィキューブ日本選手権兵庫予選会を兼ねたボードゲームイベント「ひょうごゲームこんべんしょん」が大盛況のうちに幕を閉じるなど、ボードゲームを中心に活動を展開する方々だ。
気さくな人柄で人望も厚く、県内外を問わず多くの愛好者が御二人にお会いしたいと訪れる。



何はともあれ、ボードゲームを広げる。
持参したキャリーケースには、9割がたボードゲームが詰まっていた。

ちょうどお店に、昨年のラミィキューブ全国大会王者の「なな」さんが親子で訪れる。
ななさんはラミィキューブに限らずボードゲームなら何でも興味を持つ女の子で、次から次へと作品を手に取っていた。



ななさん親子を交え「なつめも」をプレイ。

ポッドキャスト「万屋楽団のそれなりな日々」など多数のメディアで取り上げられた、この夏誰もがイチオシする、関西のボードゲームデザイナー宮野華也氏が手がけた作品である。
夏休みの期間内で、各種イベントや宿題をこなし得点を稼ぐゲーム。
イベントの種類やデザイン、候補を取るシステムに挙手制を採用するなど、要所要所で童心に帰ることのできる点が素晴らしく、中量級ながら思わず再プレイをとうずいてしまう中毒性を秘めていた。

加古川に別れを告げ、大阪へと戻る。

以前大阪でもご挨拶できたシオンさん案内の元、夕食は本場大阪の串揚げのお店へ入ることに。
牛肉やオクラなどに加え、こんにゃくやパン、チーズちくわなどの変わり種も豊富に用意されたお店で、時間いっぱいまで揚げ物を堪能した。

食後、心斎橋近くに店舗を構えるボードゲームカフェ「ピエット」様へ。
満席とのお知らせを受け、御挨拶だけ無事に済ませる。
店長のクロさんはこの日も額に汗しながらも笑顔で我々を招き入れ、賑わいをみせる店内をせわしなく動き回っていた。
邪魔にならないよう小冊子を一部寄贈し、次の目的地へと向かった。

谷町四丁目の「ギルド」様へ。
実は先日開催のボードゲームクリエイター交流会等各種イベント以外では足を運んだことがなく、会員証を発行することも今回が初めてとなる。
この日も店長の大阪さんと名物店員のアリサさんはいつもの屈託のない笑顔で、呼ばれたとあらばすぐさま遠方へとルール説明を補足しに飛び回っていた。

ギルド様では私の持参したゲームを一部プレイする。
金沢でも好評を博した「Fish &Ships」
可愛らしいパッケージながら、株ゲームの主軸のみを極限まで抽出した作品。
連続でプレイするたび、とても子ども向けとは思えないほどのアツい駆け引きが堪能できる。

少し遅い時間となったものの、この日の宿に無事たどり着き、疲れた体に最後のムチを入れながらこの日も4コマ漫画を作成した。

翌朝。
流石に年甲斐もなくはしゃぎすぎたからか、全関節にダンベルを吊り下げているかのような、重い、重い身体。
ベッドで横になりながら「ここに行きたい」という妄想は膨らみこそすれど、思惑とは裏腹に一向に身体が追いつかない。
引きずるキャリーケースが、あたかも奴隷の鎖に錯覚する。

エネルギーを補充するべく、阪急梅田駅構内に構えられた「元祖ミックスジュース」のスタンドへと移動する。
牛乳と果物だけのシンプルな味わい。コップのフチギリギリまで注がれた、冷たく飽きのこない飲み物。
「乳アレルギー」「果物アレルギー」そんな言葉は看板に書かれてはいない。
まさに古き良き昭和の風情が漂う、サラリーマン憩いの空間だ。

少し元気を取り戻したところで場所を移動し、本日向かうは一路「和泉府中」へ。
以前からお世話になっている「すがえり」さんのボードゲーム会に急遽参加する。



閑静な住宅地にたたずむデイサービス施設「自由帳」
少し早めに到着し、トランプなどを広げつつ、他の参加者を待つ。

関西に足を運ぶたびにご一緒する山路さん親子とも合流。
先日手に入れたという「となりのトトロ トトロのどんどこゲーム」をプレイする。


ババ抜きの要領で相手のカードや自分のカードをめくり、できる限り多くのどんぐりを集めるこのゲーム。
パッと見はお子さま向けではあったものの、プレイ感覚は中量級ドイツゲームのそれで、相手をかく乱させつつボーナスを得る攻防が終盤まで楽しめる佳作だった。

すがパンの会名物「美味しいパン」も堪能する。
こんがり焼き立ての小麦の香りに添えられたフルーツが芳しく、中のクリームが甘さ控えめで、甘いものが苦手な自分も美味しく食べることができた。

名残惜しくもあったが、別れを告げ、次の場所へ。

ヒカリゲームズ堺様へ。
こちらではネスターゲームズの作品も各種豊富に取り揃えられており、早速店内では「アメーバ」などの作品がプレイされていた。

少し大柄な店長が、お店の傍らで、プレイスペースも兼ねた店内全体を微笑みながら見渡している。

ネスターゲームズ作品の「カバとワニ」、そして偶然目に留まった格安の「通路」を発見し、併せて購入する。

もう少し、といったところで途中激しい夕立に会い、身体がしっぽりと水に濡れてしまう。
這う這うの体で裏中崎の「賽翁」様に到着。
少し前にはボードゲームクリエイターとして活躍中の珠洲ノらめるさんも訪れたという「ボードゲームミニフリマ」が開催中と聞きつけ、御挨拶も兼ねて伺ったのだ。

白熱色の電球で照らされた店内は、これまでと一風異なり、静かな大人の雰囲気が漂う。

濡れた身体で長居するわけにはいくまいと、こちらも軽く店主に御挨拶だけを済ませる。店主自慢のコーヒーは次回神戸・三宮の際に堪能することにしよう。
こちらでは「ヤバいか≒ヤバイカ」を購入することができた。

疲れた体の中であちこち動き回ったからか、空腹を忘れ、さながらゾンビのような風貌でふらふらと移動する私。
慌てて近くのうどん屋へ駆け込み、なんとか帰りの新幹線前に食べ物を堪能することができた。

PM9時04分、新大阪発の新幹線に乗り込んだ私。
風情のある旅、というより、これではまるで弾丸旅行だ。

リクライニングシートを倒し、前々から気になっていた「冷やしあめ」を口にする。
生姜のスパイスが効いた素朴な甘さに、旅の疲れも忘れ、思わず頬が緩む。

今回の旅でも、いろいろな「笑顔」を味わった。
「いかとりにょりとおけいのいかがわしいラジオ」DJのいかさんが以前教えてくださった「大阪には味ではなく、人に会いに来て欲しい」という言葉が頭に浮かぶ。

前回私は「会いたい人に、いつでも会える」そんな時間、空間を目指したい旨の文章を綴った。

<リンク先:番次郎の盤上万歳‼︎「また、会いに行きますー関西プチ旅行記 備忘録ー(2019年6月26日)」https://hibikre.blogspot.com/2019/06/blog-post_26.html

今回の短い旅程を通じ、改めて人と人との出会いは「一期一会」という言葉に集約されることを学んだ。


一期一会
「一生に一度しか会う機会がないような縁」という意味で使用される言葉だ。
一期とは仏教で人の一生を意味し、千利休の弟子、山上宗二が用いたとされ、本来は「人と人との出会いを一生に一度の出会いと心得て、真心を込めて行う」という茶会での心得を教え伝えた言葉とされる。
(慣用句・故事ことわざ&四字熟語使いさばき辞典(東京書籍編集部 編)より引用)

ボードゲームの出会いは一期一会、そんな言葉を界隈では度々耳にするし、自分もさながら自嘲しつつ口にする。
ニュアンスとして「目の前に並べ飾られた作品は迷うだけ損」という意味合いではあるが、きっとカフェ、プレイスペースでの出会いもこうした本来の意味としての「一期一会」という言葉に集約されることだろう。

一度しか会えないかも知れない、そんな気持ちを込め、最大限相手に礼を尽くす。
その中で、自分も含めた全体の場が、最大限楽しめるにはどう立ち振る舞えばよいか。

それは決して「自分を犠牲にする行為」に安易に結びつけてはいけない。
今回の出会いを通じ、自分が大切にしたい相手を通した眼鏡が、自分も「相手にとって掛け替えのない一部の存在」として見えていることを実感した。

ツイート上での苦しみ、つらさを決して口にしない、そう固く誓いながらも、時に自虐的な言動として態度の端々に滲み出てしまった自分を深く内省するうちに、多くの方から「ゆっくり休んで」という言葉をもらったことをぼんやりと思い浮かべた。

帰りの新幹線は新横浜へ到着する。

むせかえるような暑さに終わりを告げたかのように、駅構内をひんやりとした空気が覆っていた。
私ははやる気持ちを冷たいコーヒーで抑えつつ、この日もいつも通り4コマの作成に勤しんだのであった。






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