2021年6月9日水曜日

コミティア136参加備忘録

 6月6日日曜朝、参加するか否か前日まで本当に迷った「コミティア136(自主制作漫画誌展示即売会、以下「コミティア」)」へ向かうことを決めた。

会場は東京ビッグサイト青海展示棟。

一昨年の秋にはボードゲームのイベント「ゲームマーケット」も開催された場所でもある。


細部コミティア136公式URL

https://www.comitia.co.jp/html/136.html


参加を決めた一番の理由は、普段出展側として参加する自分が、こうした情勢下、参加者の側として、どこに向かい、どこに目が行き、どう感じたか、などを、肌身を持って感じ取りたかったからだ。


本ブログは私個人の備忘録として綴る記事となる。読者の方で仮に参考になる部分があれば幸いである。



当日の出展側として参加された方のツイートを見かける。

本情勢下でどういった人の入りとなるか、どれだけの売れ行きが見込まれるか、全く予想はつかめなったと話す。

緊急事態宣言の只中、つい先日は同じコミティアの地方イベント、北海道コミティア14が中止となったばかりだ。

その辺りも、昨年秋、そして今年の大阪、春とゲームマーケットを経験した自分の肌感覚に似ている気がした。


来たる当日朝。

天候はあいにくの雨。開場は11時1

10時を少し回る時間に最寄りの東京テレポート駅に到着した私。りんかい線の乗車率は体感で7割ほど。座ろうと思えば詰めて座席に座れる、といえば想像できるだろうか。


コミティアの入場方法は、事前に「ティアズマガジン」と呼ばれるカタログを事前に購入するシステムだ。(税込1300円、当日の2週間前となる5月23日に発売)こちらのカタログの購入数で、当日の入場者数を把握し、当日の入場制限を含めた人数の管理を行うとのこと。


当日販売も多少あったようだが、当日販売は長蛇の列ができることを鑑み、事前に購入することにした。


カタログ付属のチケットに名前と連絡先を記載、入口でリストバンドと交換する形である。耐水性があり、汗で崩れたりといった心配はなさそうだ。


入場の数を掌握する目的もあるため、会場内でリストバンドを外すことは厳禁とある。


検温は異常なし。

「検温OK」と表記されたピンクのリストバンドを身につけ、いざ外の待機列へ。

案内された待機列では、すでに多くの参加者が4列を守り並んでいた。



雨模様ということもあり、皆が傘をさして列に並ぶ。


コミックマーケットでは「周りの迷惑になる」という理由で、たとえ雨でも傘はささないことがエチケットとされたが(レインコート等はOK)、他人との傘がかからない距離間隔は、いわゆる「密」を避けるという意味でも良かったのかもしれない。「ちょうど傘の間隔を空けてお並びください」とスタッフからのアナウンスもあったほどだ。


待機列同士のわいわいと話し合う姿も見えない。それだけ周りも感染症対策に留意した上での参加ということなのだろう。


一旦動き出した待機列は、そのままの流れで入場口へ。

長く見えた待機列ではあったが、入場できた時間は11時15分ごろだった。


さて、参加自体を当日に決めたこともあり、事前の情報は、カタログにざっと目を通し、欲しい作品を2、3見繕った程度での参加だ。

カタログはサークルカットもそうだが、各サークルのおすすめやインタビュー記事など読み物として十分楽しんだ。


序盤から各サークルの元へスムーズに廻り、目当ての小冊子を物色する。幸い長蛇の列に並ぶことはなく、目的の買い物自体はものの15分ほどで終えた。


参加者でごった返し通路は歩くことすら難しい、といった以前のコミックマーケットとは雰囲気も大きく異なり、出展ブースの数も少なめで通路も大きく開いた分、通路は歩きやすく、周りのサークルがどういった作品を出品しているかを遠目でも確認することができた。



会場内をぶらぶら探索することにする。

幸い、コミティアは各サークルが「ジャンルごと」に位置どりされているため(「島」とも呼ぶらしい)カタログ付属の地図があれば、「欲しい作品のジャンル」がわかるようになっている。


地図を頼りに各ジャンルの作品を見て回る。私の目当ては主に「評論」「デザイン」などだ。

地図を片手にうろうろする自分が、以前ゲームマーケットの出展テーブルから眺めた来場者の姿に投影されたようだった。


事前にどんな作品が出品されるかといった事前の情報収集を怠った私にとって、サークル出展者の情報はスマートフォンでもカタログでもなく「各ブースのポスター」だった。


 大きなポスターに、今回イベントの出展作品が大きく掲示されているサークルは、うろうろする私にとって何よりも目を引いた。

 特に、今回各サークルが「頒布したい!」と強調された作品が一枚ドーンと描かれたポスターは特にインパクトが大きかった。

 以前自分も失敗したが、ついあれもこれもと「メニュー表」のようにレイアウトしてしまう。それはテーブル上のお品書きリストの役割で良いのかもしれない。

 また、こうしたイベントに不慣れな自分にとって、自分の現在地を掌握できる「現在のサークル番号」が合わせて記載されているポスター、お品書きにはつい目が止まった。


 応援するサークルの方へ、出発前のスーパーで調達した麦茶を手渡す。

 これも「青海展示棟はトイレも自販機も離れているので頻繁に通えない」ことを見越した自分の経験則に基づく。喜んでもらえてこちらも嬉しかった。こうした出展者・参加者相互のやりとりができるのも、オフラインならではの楽しみ方だ。



 仮設とはいえ青海展示棟はそれなりに広く、ぐるっと一周を歩くだけでも相当な距離となる。

 逆に考えると、全体をぐるりと2周し観察できるほどの余裕を持つことができたとも言える。


その後、買い逃しはないか全体をもう一周散策し、2時間ほどで会場を後にした。


 人手は少なかったとはいえ人の熱を甘く考えていた私は、帰りの電車では汗びっしょりのままとなった。



帰りながら今回気がついたことをおさらいする。


1 ポスター、掲示物のインパクトは重要


  後ろのポスターや、大きくサークルロゴ・キャラクターの描かれたテーブルクロス等で興味を惹かれた作品は、次にもう一周しようと決めた際のきっかけとなった。

 これも先にあげた「全体を眺める余裕」から生まれたものだろうと推測する。

 あれこれと細々描かれたものより、大きくドンと「今回の売り」を掲示するインパクトは、本当に大事だと実感できた。


2 整頓されたテーブルは重要


 作品をテーブルにポンと配置された作品より、クロスを引いたり、見本誌を用意したりといった配慮のなされたブース運営の大切さを改めて実感した。


 大手出版社のブースは作品も綺麗に整頓されていたので、自分もじっくり研究した。


 目を引く彩色のお品書きや簡潔にまとめられたお品書きリストは、それだけでも「作品への愛情」を受け取ることができた。

 細かい配慮だが、いざ購入する段階で背中を押す重要な要素だと実感できた。

 また自分が本を出すサークルということもあり、各出版社が無料で配布する「色彩事典」や「紙質の見本」などは大変勉強になった。

 次に立ち寄る際も、決して派手さはなくとも「テーブルが整頓された」サークルの方へと自然と足が向いた。


3 イベント外での活動も重要


 帰り際のタイムラインでは「会場内で頒布した作品は、BOOTH(個人通販)や委託店舗を利用し通販を行う」旨の流れをちらほら見かけた。


 会場では余裕を持って購入できた作品も、後日通販に並ぶや否や即座に完売となる作品もTwitterのタイムライン上で数多く目にした。


 こうした頒布の経路をいくつか持つことも本情勢下でのイベントにおける一つの特徴なのだろう。

 

 ツイートを検索すると、やはり「当日参加したかった!」などのツイートが数多く並ぶ。個人的な都合のほか、業務的な都合での参加を見合わせた方も大勢いらっしゃった。

 

 それゆえ、事前の告知を含めた広報や、多岐にわたる販促手段を確保することも、しばらくは頭においての活動となる、と改めて実感した。


 販促活動以外に、運営本部も「#エアコミティア」をつけ、SNSを通じたイベントで盛り上げようと努力された。

 こうした運営サイドの努力も、ゲームマーケットライブ中継「ゲムマライブ」に通じる気がした。


振り返って


「宇崎ちゃんは遊びたい」作者「丈」氏のツイートを引用する


それはもうひどいスランプに陥ってなに描いても全部駄目で先週丸ごと無駄にしてしまってて生きる気力すら見失いかけてたんだけど一か八か昨日コミティア行ってみたらちょっと復活してきた

同人イベント会場の空気でしか得られない栄養は確かにある

(引用元:https://twitter.com/syokumutaiman/status/1401753820774895618?s=20


 以前も私は「なぜそうまでリスクを冒してまでゲームマーケットに参加するのか」を自分に問うた。


 出展側となった際にそれは実感できた事項だが、参加者の方から受け取るエネルギーは本当に多い。

・自分の作品を目当てに購入してくれる方

・サークル名だけは頭にあり、当日新刊がないかご挨拶してくださった方

・作品は知らなかったが、説明をして作品を購入された方

等々、次への大きなモチベーションを受け取ることができた。


 逆の立場となった場合はどうだっただろう?

 

 参加者の側に立ち、改めて参加する側からも、出展者の熱意あふれる作品の数々を手にできた。

・読者としての感想を直接伝えることができた

・制作者から直接手渡されたときの制作者の笑顔を伺うことができた

・思いも寄らない箇所から自分の好きな作品、興味の湧いた作品を、制作者を通じ発見することができた

 作品の一つ一つから溢れんばかりの熱量を、綴られた文章やイラストなどを通じ、本当に多く受け取ることができた。


 資金に限度があり、また事前の予習不足も災いし、欲しいと思った全ての作品を手にすることができず、帰宅後に歯噛みする思いもした。

 購入するだけのイベントに留まらず、参加者、出展者、運営スタッフ相互が「安全安心を第一として、より一層界隈を盛り上げよう」と、長期間かけて制作された出展各作品は、今回参加者の側としてより多く購入できた作品の包みとともに、しばらく自分の中の一番のモチベーションとなる。

 先の引用元の「同人イベントの空気でしか得られない栄養」を自分なりに解釈すると、だいたいそんなところだ。  

 そんな目に見えない栄養こそ、創作を続ける自分にとって一番の収穫だと学んだのである。


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