2019年5月31日金曜日

タネを蒔く、タネを蒔く〜ゲームマーケット2019春 奮戦記〜

ボードゲームの祭典で、ボードゲームを頒布しないサークルが、ついにこの春で3年目を迎えることとなった。
代表作は「Board Game Quiz」という、言うなれば、ボードゲームのクイズばかりを集めた小冊子。
これまでにバカ売れしたかと言われるとそうでもなく、愛されているかと言われると、そう上手い言葉でもない。
ブースの中で、孤独に、大声で叫びながら、時折クイズを読み、西へ東へと頒布を続ける。
3年目となった春も、このスタイルを変えてはいない。
今回春のゲームマーケットでは、特に「繋がり」を強く実感できたことが印象的だった。今回はそれをテーマとし綴っていきたい。長くなりますことをあらかじめご承知置き願います。



前日となる金曜日、僕は地下鉄「馬喰町」駅改札で、関西からの来客を待っていた。
「いかとりにょりとおけいのいかがわしいラジオ」MCのいか氏、りにょり氏、おけい氏の御三方、グループSNEの酢豚氏ら4名だ。
長旅の疲れも見せず、笑顔でこちらに向かう4人とは裏腹に、普段はスピーカー越しでのお付き合いのない大物ゲストの面々に、めまいがするほどうろたえる僕。

駅から徒歩10分ほど離れた場所に位置する「たいこ茶屋」へと向かう。
つたない記憶を頼りに先導し、ポッドキャストで耳にするいつものトーンを耳にしながら、ここ数日続く関東の真夏並みの暑さと明日に控えた会場内の様子などについてワイワイと話をした。
お刺身が食べ放題というこの居酒屋で、マグロやサーモン、穴子の佃煮など、銘々が山盛りの海鮮を頬張る中、この後も特に前日会になど呼ばれず、隙間の時間があれば細々とした作業を挟み込む私は、周囲の明るい表情とは対照的に、実は少しうつむき加減だった。
「横のつながりを大切にせなな」
いか氏が見かねたのか、明るい表情で僕の肩を叩く。

手持ちの小冊子をカバンにあるだけ関西の面々に押し付け、見送りを終えた僕は足早に家路へと急いだ。
明後日が本番だというのに、ブース設営の事前予行どころか、当日掲示するポスターの作成すらままならない。
制作に没頭するあまり、前々日まで「本番は、まあ、何とかなるだろう」といった悪い開き直りばかりが先行した。3年目になろうというのに、あいも変わらず学習しない僕。

ビタミン剤がわりのオロナミンCをぐい飲みし、敷き布やポスター、早押しボタンといった積載物をそそくさと準備する。
雑用を片付けるうちに、前夜という時間はあまりにも一瞬で過ぎ去っていった。


土曜日、
この日の僕は一般来場者として、主に購入や挨拶回りなどに当てる日を予定した。
あらかじめ作成した自作の買い物・ご挨拶マップは、前回秋に比べ赤ペンの密度が若干薄い。
とはいえ、注目作は今春も目白押しで、手当たり次第に購入を決めていくと予算がいくらあろうとも足りるはずがない。
第一、僕は3月に開催されたゲームマーケット大阪でも「それなりの量の」買い物を済ませている。
ニックネーム、FILLIT、ワードミノ、天才画家ボンといった現在も人気の続く話題作はその際に入手しており、仮にその合計を例年通りとして総額に含めてしまうと
…考えただけで背筋が冷える。

AM8時30分ごろに会場待機列へ加わる。
会場の中はひんやりと冷房が入り、この日の気温が30度を超える、と予想された外の気候とはまるで別世界のように感じた。
周囲を見渡すと、以前のように集団で何かを遊びながら待機するグループは少なめのようで、スマホにおしゃべりに、またはこの場でカタログを広げるというような静かに過ごされる方がちらほら見受けられた。
「サークルカットなんて誰も見ないから」と腐ることなく、この時間の有意義な宣伝媒体として積極的に情報提供できるよう、今後も工夫を凝らせたらと思う。


AM10時、拍手とともに開場。
あらかじめ形成された列から順番に、人が滝のように飲まれていく。
多少の焦りはあったものの、羽田から眺める限り、人の波はスペースのさらに奥へ、奥へと流れ、僕が狙いをつけていた一般ブースに限って言うならば、この時間の待機列であろうとも、数個しか製作していない限定品を無事に購入することができるほどだった。

ここから少し、僕なりの意見を述べる。
ゲームマーケットは面白いボードゲームを安価で購入できることばかりが目的、では無い。
これまで、SNSと作品越しに制作状況を応援していた製作者の方々が、今まさに眼前にそびえ立つことの嬉しさは、僕にとって商品を手にすること以上に多くの感情が刺激される。
ブース越しに、製作者一人一人の笑顔が輝いている。
説明をしながら、試遊をしながら、ともにプレイを続けながら、眩しい光の粒が周囲をまとっている。
製作者の方々は、皆、この日のためにギリギリまで努力を続けていらっしゃったのだろう。
その笑顔あふれるブースに、あたかも菜の花に集う蝶々の如く、多くの人が惹かれ、吸引されていくのだ。


買い物もそこそこに、今度は挨拶を周る。
電飾が迎える大きな企業ブースより、ここでしか出会う機会のない一般ブースの方が、個人的な滞在時間は長かったように思える。
効きすぎるほどの空調にまくった袖を戻しながら、愛想の良いブースではついつい長居し、僕は昼食も忘れ、日頃Twitter上でしかご挨拶のできなかったブースを転々とハシゴして回った。


ある程度の買い物とご挨拶回りを済ませた僕は、事前に約束した「ゲームNOWA」ブースのお手伝いへと向かうことにした。
「なにわのクニツィア」こと、かぶきけんいちさんがご挨拶に回る間、ブースにて物販の代役を務めるという大役を仰せつかったのだ。

この日も「特製ダイスタワー」や「宇宙(そら)逃げろ 第2版」など目玉となる商品は午前中であらかた完売し、残すはテーブルに数台だけが残された新作「ワードミノ」と、予約品の受け渡しのみという状況だった。
昼前であろうとも、人気作を求めて客足は絶えない。ワードミノの山は瞬く間に崩れていく。
予約品を手渡す間も、かぶけんさんにご挨拶を、と、多くの方がブースに訪れ、その都度「(力不足で)申し訳ございません…」と深々頭を下げる僕。
その脇では試遊の方も絶賛稼働中で、7文字以上完成となるチャレンジも「あしかがたかうじ(8文字)」を完成させる猛者が現れたほどの人気ぶりを博した。
ブースの傍らできびきびと動く、同じくゲームNOWAの「かえで」さんの手を借りながら、つたない支援を終える。
ゲームマーケットに限った話ではないが、今後無理なくブースを運営するにあたり、今後ワンオペレーションの体制では多くの面で限界が生じる、と痛感した。

1日目が終わり、購入品で膨れ上がったトートバッグを抱えつつ会場を後にする。
明日が本番だというのに、荷物の重さと外の熱で、体の中から外から、すでに疲労が隠しきれない僕。
帰り際のコンビニで肉系統の冷凍食品を買い込み、明日の準備もそこそこに、心配を押し殺すかのように無理やり布団に潜り込んだ。当然、眠気が訪れるはずもなかった。



二日目の朝。
この日も気温は30度を超えると予報が上がる。
昨夜の疲れを残したまま、多からぬ睡眠を確保できた僕は、当日の荷物ではちきれんばかりのキャリーケースを担ぎながら、一路、りんかい線に乗り込んだ。
前日も体感したことではあるが、朝の時間帯は公式のアナウンスで懸念されたほど携帯の電波は悪くはなく、少なくとも準備中の時間帯は室内中心部でも十分に電波を拾うことができた。
おそらく人がまばらのこの環境下でのテスト運転ならば、電波や空調といった話は設計者の設計通りだったに違いない。
まさに机上の空論、事件は会議室で云々、といった「お台場らしい」言葉が思わず口をつつく。

そそくさと荷物を探していると、隣のブースであるEJIN研究所のEJINさんが先に到着しており、きょろきょろする僕に段ボールの場所を教えてくれた。
今回、前回大阪の石膏粉末様、など、僕自身が大きな声を上げる、周囲からすれば実に「はた迷惑な」ブースだけに、周囲の方々の暖かい御理解を頂戴できることが何よりの支えだ。

設営中にいかラジのいかさんが現れ、助っ人として急遽ブースをお手伝いしてくださるという。
今回、フォロワー諸氏にも内密としていた当ブースの「隠し球」だ。
大物助っ人の登場に僕は深々と頭を下げ、当日は試遊台の問題読みをお任せすることにした。

AM10時、二日目の拍手が湧く。
ブースの中から人の流れを観察する。
初日と同様、せきを切ったように多くの人が向かう先は、隣のAフロア、企業ブースだ。
走らないでください!というスタッフの声がしきりに飛び交う。

昨日も似たような状況だった、そういかさんは話す。
並ぶ人数の大小はあれど、当初の目的(それは主に購入だろうと考える)は企業が販売するゲームマーケット先行販売品や、海外で話題となった作品の限定販売などの目玉商品だったのだろう。

程なく、隣のEJIN研究所に長蛇の列が形成される。
「いらっしゃいませ〜!」の声が空振りすると予感した僕は、声を止め、しばらくその列の成り行きをぼんやりと眺めていた。
列の流れは、完売報告の上がる10時30分ごろまで続いていたかと思う。

僕のブースは、極めていつも通り。
長打ができることもなく、予約された方々がパラパラと訪れる。
昨日お手伝いをしたゲームNOWAのブースで、購入を求める方が引きも切らず訪れる状況を目の当たりにしていただけに、少しだけ心がチクリとした。
そんな小さなトゲは、売り込みの声を張りあげることでごまかすことにし、いつも以上に大きく声を張る。
「ボタンを押していきませんカァー!」
空振り、めげることなく、再度声を張り上げる。
「タネを蒔いたからな。あの人はまた戻ってくる」
いかさんは気落ちした僕の表情を悟ったのか、そんな言葉を時折かけてくれた。
早押しボタンに、クイズ、なぞなぞ、4コマといった小冊子…。
…ボードゲームを目当てに来場された方からすればおおよそ見当もつかないブースに映ったかもしれない。
テーブルに積み上がっているものは紛れもなくクイズやなぞなぞの「本」ばかりである。

だから僕は「笑顔」を大切にした。
今でも自分の作品を眺めると、我が子のかわいさにニヤケ顔が抑えられない。
今回の新作3作品は、どの作品も2ヶ月前の大阪の時点では、完成どころか、他でもない自分自身が「できるはずがない!」と匙を投げかけた作品ばかりだった。
笑ってブースに立ち、笑顔で商品を説明し、「楽しんでくださいね!」と言葉を添えて商品を手渡す。
ゲームマーケットを何よりも楽しみに来場された方へ、僕からもその楽しさの欠片を届けることが、ひとえにこのブースに課せられた使命のように感じたからだ。

喉が枯れる。水が欲しいけれど、自販機はブースを隔てた屋外に位置する上に、トイレも少し離れた場所にある。
「のどぬーる」をのどに吹き付け、わずかな水分で喉をうるおす。
疲れていたかもしれないが、脳内に広がるランナーズハイのような心地から、残り3時間くらいならこのテンションを維持できるかな…できるよな!と半ば脅迫めいた言葉で自分を奮い立たせた。

当ブースは、終始大きな列形成がなかったものの、後半はコンスタントに人が集まった。
早押しボタンの効果は大きく、いかさんの読み上げる問題に多くの方が足を止め、脇で思わず「正解っ!その通りっ!」と声を上げる僕が、少しオーバーとも思えるくらい相手を褒め称えた。
「クイズって、面白い!」
その声を耳にするたびに、僕はえも言われぬ快感に陥った。


17時、拍手とともに閉幕。

…走りきった。

閉会の拍手とともに、目の前にグワワッと襲いかかる疲労感。
結果は、良くもなく悪くもなく「いつも通り」頒布数の増減に変動はなく、本当に「とんとん」の結果に終わった。良い言い方をするなら、興味を持った方にはすべからく手に取っていただけのだ。

確かに今回、制作活動一辺倒だったがゆえに、大きく宣伝・広報と言った諸活動に時間を割くことができなかった。
しかしながら「前回も買いました」「楽しみにしてました」といった声を聞くことができた。
それら声の一つ一つが、そのままの形でエネルギーとなり、その逆に、こちらから相手へと声を届けることができる。らせんのごとくどこまでも続く、僕が「幸せの連鎖」と呼んでいる、ゲームマーケットの醍醐味のひとつだ。
そして前回大阪でも実感した「人と人との繋がり」
今回も「助けに回ります」「何かあったら声をかけてください」といった力強い声援を立ち寄ったブースの先々で頂戴し、その都度、涙がちょちょ切れた。
「横のつながりを大切にせなな」
そうだそうだ、もっとつながりを意識しなくては。
そう考えを巡らせた。


感慨にむせぶ間も無く、僕は最後の空元気を放出させ、荷造りと、感謝の言葉を伝えに回った。
お台場はとっぷりと日が落ち、観覧車のイルミネーションがひときわ眩しく目に飛び込んだ。
古いスマートフォンは残り20%ほどの充電を残していた。これが家路に着くまでの最後になるのかな、と、僕は面影のなくなったテーブルの写真に「ご来場ありがとうございました」の言葉を添えてツイートを流した。

「早く、早く、何かを作りたい…」
はやる気持ちを抑えながら、僕は頭の中で予定した「打ち上げ焼肉」も「ご苦労さんビール」も全て返上し、たぎる創作意欲を熱いままペン先にぶつけようと、帰宅するなり、また4コマ、そして感想ツイートのまとめ作業へと取り掛かった。
とはいえ、体は実に正直なもの。
寄る年並と日頃からの疲労には敵わず、作業途中から始まった万屋楽団様のツイキャスライブ中に、スタイラスペンを握ったまま寝入ってしまったのだった。
MCサンジョウバさんの「寝てください」の声がかすかに耳に残っていた。


一夜明け
布団の中で昨日のことを振り返る。
バカ売れした訳でもなく、かと言って、大きく売れ残った訳ではなく、本当の本当に、いつも通りの売れ行き。
印象的だったことは、前にも拙著のクイズ本を購入された方が、再びリメイクのクイズ本を手に取ってくださったこと。
そして、バラではなく、新刊をまとめて購入された方が多かったこと。
実感はないけれど、これが「信頼を買ってくださる」という一つの形なのかもしれない。

そこで、屋号を変えることにした。
「番次郎書店」と命名したその経緯は、このブースが書店のような近所の商店街のように、街中に欠かすことのできない存在となるような、そんな意味合いも込められている。
この看板を汚さないためにも、さらに良い作品を、さらに面白い書籍を、これからも手がけていけたらと思う。
「ゲームマーケットに行くと、いつでも本を売っている」
番次郎書店が会場の片隅で、来場者の方にそんな言葉で気にかけてもらえる、それくらいちっぽけな存在でありたいと願う。

今回のゲームマーケットで、ひとつ心残りだったことがある。
今回も「同朋の友」を見つけられなかったことだ。
ボードゲームでクイズの本を作る、語り合える、そんな「同朋の友」を見つけきれなかったことだけが心残りだ。
ボードゲームをテーマにしたクイズ本に関して、ゆっくりと語り合えるような仲間を、次回秋以降も探し回ろうと思う。


ネット上では早速多くの議論が飛び交い、次のゲームマーケットに向け、カタツムリのごとくゆっくりと動き出している。

一方で僕は?というと。

今何がしたい?と問われたならば、「旅がしたい」と答えるだろうか。
昨年4月に現在の地に引っ越し、そのまま制作に没頭し、長らく休むタイミングを掴み損ねたまま、あれよあれよと今に至ったからだ。
時間の隙間があるとすぐに作業を入れてしまう、典型的なブラック気質の僕。
名古屋に、関西に、福岡に、長崎に、東北に、沖縄に、北海道に…etc、お世話になった方一人一人へ、転々とご挨拶をする旅。
そこで蒔いた新たな種が、芽を出し、花を咲かせ、タンポポの綿毛のように、風に乗り、また見知らぬ地の誰かの元で、小さな若葉を芽吹かせるのだろうか。

そんなことをぼんやりと考えるうちに、僕はその日のゲーム会の時間を気にかけながら、うとうとと二度目の眠りに落ちたのだった。



<了>
ご視聴ありがとうございました。

2019年5月18日土曜日

作品はアウトプットで磨かれる〜4コマ漫画制作日誌〜

今回のゲームマーケット春は、本当に広報らしい広報活動もそっちのけで制作の方に勤しんだので、せめて自分のブログの中だけでも宣伝させてください。

なぞなぞの本、クイズの本、とともに、もう一冊、わたしのブースの片隅を賑わす本がある。

「きょうもボドびより。」と称された4コマ漫画は、制作者である私の「イラストが描けるなら、漫画も描けるのでは?」といった今考えると本当に各所から馬鹿だなと笑われそうな試みから派生した作品だ。




言うは易く行うは難し、何はともあれ、思うがままにペンを走らせ、ツイッターに公開してみると、意外に多くの暖かいコメントが寄せられた。

寄せられたコメントで調子に乗った私は、その後も毎日1本、ただでさえ時間のない小冊子制作の合間を縫って書き綴り、ゲームマーケット大阪で第1巻を頒布するに至った。





兼ねてからの夢、と周囲には漏らしていたが、実を言うと、描いた本人すら、夢にだに想像できなかった代物だ。
なにせこの私、半年前など、イラストなんてろくに描けなかった人間だ。それが形はどうあれ、漫画の本を出すことができたのだ。

まさに自分の趣味全開で出した本にも関わらず、手に取ったり、購入してくださったりなどの神様はいらっしゃったのだ。
千葉県のボードゲームカフェ「カラハンダ」様では店内用に設置しましたとツイートが上がり、喜び勇んでお礼に参ったこともあったくらいだ。


空想を形に変えることを、人は見くびることもあるだろう。
「それくらい(やろうと思えば)誰でもできる」
そんな言葉が、時折添えられる。

余談だが、学生時代に古文を勉強したときのこと。
「同じ日本語だからなんとかなるよね」
といった声をあげ、同級生の中にはハナから古文の勉強から目を背ける者もいた。
そんな学生ほど、「なつかし」という言葉の意味を問う問題に、ついつい「童心に帰る」を(いわば、制作者が「こっちに引っかかってほしい」と誘導する巧妙な選択肢)選んでおり、国語教師のニンマリする表情を試験の都度、目の当たりにしていた。ちなみに正解は「心惹かれる様」である。

閑話休題、思ってた、考えるにとどまっていた、なんて、正直私はさほど大きく評価してはいない。
考える、その次のステップは、何かに書き出す、そして披露し、修正を繰り返し、頒布する、
作品はそうしてアウトプットを繰り返し、自分の目ではない多くの視点からの意見を浴び、洗練され、磨かれ、成長を重ねていくものだ。

その際のステップは決して欣一化されたものでは、ない!

考える、と、公開する、この似て非なる二つの間に、どれだけ大きな段差があることかを、意外と多くの人間が「見誤っている」
たとえ目測を誤ろうとも、それら上がるにつれて段差の大きくなる障壁に、くじけることなく真っ向から立ち向かい、時に厳しい現実や辛辣な意見を浴びながらも、めげることなく不屈の精神で立ち上がり、また次の段へと這い上がる姿。
それは誰の目から見ても立派な姿ではないだろうか。


私の1巻は、たしかにゲームマーケット前、大きな反響もなく、当日は細々と頒布するにとどまり、その後も厳しい言葉を浴びる一方だった。
それゆえに、掛け替えのない「楽しみにしてました!」「面白かったです!」といった声援が、自分にとってひときわ印象に残るようにもなったのだ。


結果、私はくじけなかった。
喉元過ぎたる熱さとやらで、翌日から早速4コマを描いた、描き続けた。



そしてこの春、質・量ともにボリュームを増した2巻を完成させることができた。
あれからイラストも少しずつ勉強し、表紙画像も我ながら見違えるほど飛躍できたものかと自負している。


ボードゲーム知識ゼロでもなんとなく読めるボードゲームの漫画です。
よろしくお願いします。
(テレビ東京「勇者ああああ」のキャッチコピーっぽく)


4コマは現在も引き続き連載中で、5月18日、連載100話目を迎える予定となる。







2019年5月12日日曜日

ゲームマーケットは浄化を促す場

新しいことはそれ自体が魅力的だ。
新しいボードゲーム、新しいルール、新感覚、新機軸…
新しい、新鮮、というものは、その言葉だけで魅力的だ。

ボードゲームに限った話ではなく、新社会人、新番組、新成人、等々、新しいものそれ自体が多くの人を魅了する。
新しいものは、すでに在るものに対して、違う風を取り入れてくれる。
これまでに多少の食傷を感じていた人にとって、新しいものは、期待感も含めて何よりも貴重な存在だ。

古いものは、それ自体が魅力的だ。
昔から存在するボードゲーム、古来より伝わる伝統遊戯、すでに一般語となったルール…
古き良きものは多くの人を魅了する。

ボードゲームに限った話ではなく、看板役者、御意見番、生き字引、等々、いつもの存在は「そこに在る」だけですでに魅力的だ。
古き良きものは、組織に抜群の安定感をもたらす。
多少雰囲気が乱れようとも、最終的には絶対エースとなる存在がなんとかしてくれるであろうと、皆が期待を寄せる。
それだけで尊敬に値されるのだ。


対象となる二つを記述した。
どちらが悪いとも、どちらかに顔を向けろとも、そんな極端な話ではない。
強いて挙げるならば、その「両方」だ。
「老害!老害!」と新しい意見ばかりを追いかける自覚があるならば、古き良き作品に目を向ける必要があり、「昔は良かった」と古き良きものに固執していると自覚があるならば、最近話題の作品の傾向に目をやるものと考えている。

とある老舗のラーメン屋の店主が話す。
長年同じ味を継続させるためには、客に「変わらぬ味」と気付かせないよう、微妙に味を変化させているのだと聞く。
長年同じ味を続けると、客の方から「(味が)変わった」と意見されるそうだ。
時代の趨勢とともに、グラデーションのように微妙に変化する客層を柔軟に捉え、その都度、自分の在り方を変化させる、
それは商売に限らず、地球上の生物が厳しい時代を生き抜くために学んだ、ある種の処世術とも言えるのではないか。


翻って、ボードゲームの話。

ボードゲームを(決まったお店で)買う、(いつものカフェで)遊ぶ、ばかりでは、やはり自分の中の「情報」がどうしても偏ってしまう。
そこで、五感をフルに使い、ボードゲームを最大限に楽しむ日が1年に1度でもあれば、自分の中の凝り固まった筋肉が解きほぐされることだろう。


ゲームマーケットが2週間後に控えている。
日本最大規模を誇る、ボードゲームの祭典だ。

開催スタッフの方は「体験しに来てください」と口にする。
その真意を察するに、買うだけでは物足りない、目で、耳で、肌で、(時には)味や鼻など、五感で体感し、自分の中の「ボードゲーム」の感覚を自浄するための場ではないかと考えた。

日本最大級だけに、会場内にはそれこそ多くの参加者が集う。
有名芸能人、漫画家、プロ棋士、アイドル、ポッドキャスター、ユーチューバー、もちろん、製作者、イラストレーター、有名ブロガー、ボードゲーム会主催者、カフェ運営者、ツイート上で見かける大勢の方々、等々、自分より数多くのボードゲームに触れているであろうそんな方々と、ご挨拶でき、時に試遊台を囲み、ともにボードゲームについて語ることのできる、そんな稀有な体験イベントが他にあるだろうか。


そして何より、私は二日目となる日曜、ブースの人間として提供する側に立つ。
前回大阪でもそうだったように、私のコンセプトは「一体になって楽しむ」ことである。
売ること、買うこと、それ自体は後回しでもいいから、せっかくいらっしゃった方々と一緒に「遊んでもらう」「体験してもらう」そして何よりも「楽しんでもらう」ことを主軸に置き、立ち寄った方々が笑顔で立ち去っていただけるような、そんな運営を組み立てようかと考えている。


ゲームマーケットに来場された方が「あれだけ疲れたのに、早く帰ってボドゲしたい」と感じたならば、それは会場内できちんと浄化された証ではないか。今風の言葉で「デトックス」とも言うのだろうか。

私も何かをつかんでもらえるよう、これからの短い間に、一つでも面白いトリガーをこれから用意しなくては、ね。

2019年5月7日火曜日

気楽に頑張ります-41歳の抱負に代えて-

ボードゲームのクイズの本を作り、3年目となる今年。

勢いに任せ、2冊の本を出した。前後編に分け、1000問の問題を上・下巻に分けて収録した。
12月のゲームマーケット秋を終え、次回春、当時5月の開催まで制作は実質3か月弱。
昨年も締め切りギリギリまで問題の制作に明け暮れ、苦心しつつ何とか無事に続編を一冊作り上げることができた。

環境がガラリと変わり、記録的な酷暑にもめげず、その年のゲームマーケット秋、レイアウトを大きく変えた一冊を無事に頒布することができた。

同時並行して、翌年3月のゲームマーケット大阪に初出展の申し込みも済ませ、翌年開催されるゲームマーケット春の前に、何か作品を出すことはできないか、と、ぼんやり考えることにした。

秋が終わり、神戸、北海道、と小冊子を広報に上がる中、次回作への構想がぼんやりと浮かび、ノートにメモをまとめるうちに、空想が現実味を帯びてきた。

年末年始を返上し、まさかと思った新刊を、頒布することができた。
しかも漫画本も含め、2冊も。

それが3月中旬の話。
次回春まで制作時間は、残り1ヶ月半。

しかしながら、それでも小冊子の入稿を先日無事に終えることができた。
漫画本、なぞなぞ本、クイズ本
リメイクとはいえ、3冊同時刊行だ。



これが私、番次郎ブース出展の簡単な振り返りだ。

3年目となる今年、令和元年、年も41を迎えた。
これからは目もかすみ、肩が、腰が凝り固まり、歯や髪が抜け落ち、老化も急加速するのだろう。
いつまでも若くはない、ということだ。

それでも周囲のボードゲーム製作者の方に限らず、歳を重ねるに従い、良質な作品をどんどん提供される方が大勢いらっしゃる。
いつまでも歳のせいだと言い訳ばかりしてはいけない。


進むこと。歩き続けること。
無理をせず、できる範囲で「歩き続ける」うちに、見えない筋肉がついてくる。
「遊んでいるうちに自然と強くなる」
それはボードゲームを遊んでいる方ならば自ずと理解してもらえるのではないだろうか。


春先になると、時折、硬いアスファルトを突き破り花を咲かせるタンポポを道端で見かける。
強い力ではなく、弱い力で、何度も何度も押し上げるからこそ、織りなせるのだ。

北海道ボドゲ博の出展を決めた際、数名の方から
「有名サークルが名乗りを上げてくれました!」
と、私の名前を取り上げてくださった。
私自身、そんな自覚もなく、無論作品自体が爆発的に売れたわけでもない。
とはいえ、向こうはお世辞でもないそぶりだ。
確かにそこには「幾らかの知名度」が、私の知覚しない箇所で存在していたのだろう。
それは作品自体の知名度云々ではなく、何かしら「継続すること」で成し得られたものではないかと考える。

「継続できること」の強みとは何だろう。
ひとつに、それは「安心感」ではないだろうか。

ブランド力、という言葉にも置換できるこの言葉は、いわば「このサークルの、この人の作品ならば間違いなく面白い」と多くの方からの「信頼」で形成されている。
有名作の続編、有名ジャンルの一括り、好きなジャンル、等々、十人十色で形作られるそれらの「安心感」は、作品に多少の「ブレ」が生じようとも、根強く残ってくれるものなのだ。

もちろん我々人間はそれら「安心感という名の信頼」が、作品の度合いどころか、何気ない一言で、いとも簡単に崩れることも重々承知している。

だからこそ、大切にしたい。

私が制作に傾注した1年で欠けていた物、それは周囲に対する配慮、心配りだったのではないか。
「良い作品を作ることが、何よりの恩返しだ」
そう信じて疑わず、自分を犠牲にし、これまで作品を磨き上げてきたのだ。


令和元年 5月6日、41となる誕生日を迎え、その考え方を改めようと思う。


余裕を持つこと。

それはデザイン・レイアウトを学ぶうちに身につけた「余白」の持つ力だ。

これまでの小冊子は物量で圧倒し、いわば威圧的な雰囲気を醸していたのではないか、と反省する。
今回春の作品ではデザイン・レイアウトを一新させ、デザイン全体に「余白」を意識した。

そして何より、身を粉にして相手に尽くす姿勢から、こちらにも幾許かの余力が生まれるような予算設定を考慮した。

次はないかもしれない、では、先に挙げたような「安心感」は得られないと考え、「もう無いかもしれない」の不安を煽ってまで購入するべき作品作りでは無く、いつまでも続き、次回作も請い願われるような、そんな作品を私自身も作りたい。
そのためには、やはり中身を読んでもらいたい。中身で評価されたい。
レイアウトも含め、余裕を持って作品作りが提供できるような、そんな制作環境を整えたい。


41になり、前回、私のブースのコンセプトを「初めての人が立ち寄るギルド的なブース」とした。
そんなルイーダの酒場的な、世界樹の迷宮では金鹿の酒場のような、そんな立ち位置で、この一年は頑張りたいと思います。


こんなブースで、こんな人間ですが、よろしければ気楽にお付き合いくださいませ。



笑われて、笑われて

 5月から心機一転開始した日々の4コマが、今日で150話、2年間ちょっとに及ぶ過去の連載文を含めると794話と、800話も目前となった。 今度の4コマも無事に2巻目の入稿を済ませ、次回イベントで1,2巻も含めた初めての頒布となる。 日々苦しい執筆だった。 心に響くしんみりとした言...