2020年3月28日土曜日

立ち止まる中で「できること」を

先週とは打って変わって、この1週間は自宅にこもり、必要なだけの買い物と気分転換を済ませる日々を送った。
どういった状況であれ、都知事からのアナウンスがあった以上、ウイルスの蔓延を防止するべく大きな移動を控えるべきと判断した。
2回分も残された青春18切符は、そのまま期限を迎えることだろう。

引きこもりの生活の中、自分の行い、振る舞いを改めて(というより半ば強制的に)見返そうと頭が動いた。
古典文学で見かける随筆家が、岩室にこもりつつ、ひたすら詩作にふけったように、自分も「これでよかったのか」「何をして、どう動くべきか」と自問自答にくれる、そんな毎日を過ごした。


ゲームマーケット春の知らせは、同じくゲームマーケット大阪で苦渋を味わった僕にとって「来たるべき道に来た」と構えてはいたものの、やはり精神的なダメージまで和らげない、と、体が判断したためか、内臓に重くのしかかる「やるせない気持ち」を排除することはできなかった。
出展が叶わなかったとはいえ、金曜にはコミックマーケット中止の連絡も相次いだ。

どうしよう、これから。
逼迫された状況下、足場がだんだんと切り崩される中で、自分の中の何を切り捨て、何を残すか、ボードゲーム的にいうと「手持ちカードの精査」の段階を経験する。

トレジャーのSLG「斑鳩」Chapter3「信念」のステージタイトルを引用する

Chapter3 信念 ideal
浮き世に絶対などというものは無く、
理不尽な思いを胸にして、途方にくれる時もある。
それを乗り越えるためには、確固たる信念と洞察、
そして幾分かの行動力を持つ必要がある。


自分に何ができる?
うつむいた先の僕の視線に、自分の手がけた小冊子の束が映った。
4コマにクロスワードに、あまつさえ分厚いエッセイ集、
この春で頒布を予定したはずの作品だ。

思い返せば、自分の中にある「楽しさ」の器が溢れ出した頃、僕は消費する立場から生産する側へとシフトした。
「楽しみ」の種をまき、育て、実った果実を配って回るだけではなく、初めて手にされた方が喜んでもらえるには?を自分に問いかけ、イラストを、Illustratorを、動画編集を、全て一から勉強し直した、そんな僕の集大成とも呼べる作品がこの3冊に凝縮されている。


「楽しんでほしい」
そんな想いを動力源とし、年末年始も缶詰になり、作り上げた大切な本だ。
「こんな面白い楽しみ方があるよ!お手にとって、ぜひ試してみてください!」
僕が小冊子を「販売」ではなく意図して「頒布」と言葉を改める由縁はそこに存在する。

そう
だからこの春は「多くの方に知ってもらう」と心に誓った。

そして、そのためにはどんな手段でも活用すると決めた。

これまで「自分の作品は他のボードゲーム作品とは異なるから」と、意図して同じ舞台に向かうことを躊躇してきた。
これからは他の出展ブースと同一線上で頑張ることに決めた。
もっと自分の作品が「笑顔を醸成できる」ベクトルとして同一なのだ、そして、対等に迎える作品なのだ、と、強く自覚することにした。
先日は長崎サニーバード様にて初のPodcastゲスト出演も果たした。
第198回「世にも面白い!トランプとクイズの世界!!の巻!」 – おしゃべりサニバ~ボードゲーム大作戦改~
BOOTHにて初めてpdfでの販売、合わせて体験版の無料配布を行った。
https://banjirou.booth.pm
小規模のイベント告知には一も二もなく反応した。

考えたら足がすくむ、直感的にそう判断した。
寂しさで震える自分に浸っている余裕はない。
ドイツの哲学者ヨハン・ゴッドフリート・ヘルダーの言葉にも「わたしがここにいるのは考えるためではなく、存在し、感じ、生きるためだ!」とある。

作品を広め、手にされた方が「僕の提供する面白さ」を五感を通じ楽しんでもらえるような(無論そのために自分が崩れてしまうようではいけない)ワクワクを、自分のできる範疇で、これからも模索を続けよう。
制限された行動下だからこそ、無理もなく、無茶もなく、自分のできることをもう一度見つめ直し(品を下げることなく)貪欲に、ガムシャラに。

「楽しい!」のエネルギーが、冷え込んだ雰囲気に幾ばくかの熱を放出できますように。


こもりきりの部屋の中で、パソコンを打ちながら、今日も「なにができる?」を自問自答する、そんな今日この頃。



2020年3月21日土曜日

肌身で感じた「強さ」 3週間の旅を終えて

新型コロナウイルスの影響は想像を遥かに超えるものだった。
ゲームマーケット大阪を含む多数の大規模イベントが自粛となり、開催を決行したイベントも、その客足は大きく落ち込みを見せるなど、全国各地の制作者、主催者、ボードゲームカフェ、等々、悲痛な叫びが上がった。
Twitterのタイムラインでも日々落胆の声が流れる。


そんな中、今回惜しくも頒布できなかった各作品を、通信販売等を利用し頒布しようと、またYouTube配信塔を活用し「独自の動画等で紹介します」と、そんな暖かい支援の声もあちこちで上がった。

「(こんなご時世だからこそ)ともに頑張りましょう!」

何事にも感化されやすい僕は、そんな心の声すらも敏感に察知した。
「下っ端のいちサークルながら、僕にも、何かの形で周りにご支援ができないか」
いつからか僕は、そんな取り止めのない問題で頭をもたげた。


2月中頃、大阪への宿泊予約を取り持つ旅行会社から「3日前までキャンセル料を無料とします」といった旨のメールが届いた。
そのまま返送すれば、文字通り、何もかもが「白紙」へと帰る。
白紙になるくらいなら、現地に行き、お店の方に御挨拶をしよう、「頑張りましょう!」の声とともに、少しばかりのお金を落としに行こう。
僕の決意は固まり、大阪遠征を続行するどころか、気がつけば、九州、名古屋も加え、全国各地へあれよあれよと旅程を立てるに至った。

無論、僕自身が病魔に倒れてしまっては本末転倒だ。体調管理だけは細心の注意を払うことにした。
決して無理をせず、僕が動ける範疇のこと「だけ」を。


2月28日に開催された埼玉県北越谷ZEST様の「エアゲムマ」を皮切りとし、僕は大阪、京都、兵庫、福岡、長崎、愛知、三重、千葉、……3週間ほど「ご挨拶」という形の応援に飛び回った。

行く先々でボードゲームのクイズを広げ、お話をし、卓を囲み、ご興味があればと新刊小冊子をお渡しに奔走した。


お店の中は、どの場所も、こちらが拍子抜けするほど明るい雰囲気だった。
店員さんはお客さんが少ないことを半ば自嘲気味に笑い、そして時折眼光鋭く「頑張りましょう!」と肩を叩きながら、迎えた状況にもめげることなく真摯に向き合い、少しずつ、少しずつ、前を向く、そんな力強さを肌身で感じることができた。


そして僕自身にも
「今度クイズ会をやりましょう!」
「YouTube配信なんてどうですか?」
「次の新刊はこの路線で!」
など励ましの声をかけてくれた。

僕はゲームマーケット出展が今年でやっと4年目となる、一般のサークルに過ぎない。
まして頒布している作品はボードゲームそのものではなく「ボードゲームに関するクイズ本」である。
売り上げもさることながら、大手を振って「頑張りましょう!」と主張できる立場にあらず。
そんな無名の僕にも手を取り、応援とともに励ましの声をかけてくれた。
僕はそれを聞くたびに、うっすらと涙をにじませた。
励ましのつもりが励まされてどうする、自分。


明日の動向すら刻一刻と変化する、未だ予断を許さない混沌とした状況の中、僕は旅先からの帰途で「僕は僕の感じたままに、今の現状を受け入れよう」と心に誓った。
不安、絶望、といったマイナスな面だけではなく、それら苦悩を迎えた先に、それでもなお、胸の内からふつふつとたぎる強い活力。
実際にこの目で見た「ありのまま」を、飲み干し、体内に取り入れ、そしてゆっくりと時間をかけて自分の言葉へと昇華する。
そう考えるうちに、気がつけば3週間にもわたる旅程は実にあっという間に過ぎ去っていった。

百聞は一見に如かず
百見は一考に如かず
百考は一行に如かず
百行は一果に如かず

中国・漢代のことわざだ。

今回の旅を通じ、現実を見ることの大切さ、そして何より、笑顔を提供される方一人一人の秘めたる真の優しさ、強さといった諸々を、肌身を通じ実感することができた。
学んだことは多かったけれど、今の僕の語彙量では、上手い言葉に乗せて表現するにはまだまだ時間がかかる。

想いを活字にまとめる作業に苦心しながら、僕はこれからもそんな情熱を持つ方々をこれからも応援しようと誓った。
焦ることなくゆっくりと気持ちを熟成させ、少しずつ活字として、作品として、想いを形にし、相手に届けることを続けよう。

僕にだって何かできることがある。

これから先も、各地で、応援の声を届けに回れたらと願う。

笑われて、笑われて

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