2019年8月27日火曜日

出会いは一期一会 ー突発的関西旅行記ー

それは突飛に思いついた旅だった。前準備も何もなく、行ってすぐ帰るという時間計画の他に本当に何も決めてはいない。
事後報告となるが、前準備の至らなさも含め反省する面は多々あるし、そのおかげで「できなかった」「見逃した」ことも非常に多かった。
旅というものは「しおり」があり「準備」があり、きちんとした計画や目的があってこそ真に楽しめるということを実感した。

唯一、定まっていたことがある。
今回の関西遠征は「お礼を伝えに行くこと」
来月21日に開催される「神戸・三宮ボードゲームフリーマーケット」の前に、一度自ら足を運び、関係各所へ御挨拶に伺うことが目的だ。


勢いに任せ、AM7時、駆け込むように新幹線に乗る。





2時間30分ほどで大阪に到着。ここまで本当に勢い一辺倒だったせいか、今ひとつ「大阪に着いた!」という実感がわかない。
関西弁の飛び交う喧騒、うどん屋やジュースバーで賑わう駅ナカ、それらの雰囲気を肌身で感じ取っているうちに、じんわりと「ここが関東ではない別の場所」であることを何となく自覚する。

ともあれ、最初の目的地は兵庫県加古川市に位置する「駒の時間」様だ。



多くの棋士を輩出し、「棋士の街」を看板に掲げる、いわばアナログゲームにもゆかりのある加古川。
こちらでボードゲームプレイスペースを切り盛りするkomaさん、Tokiさんの御二方はいつもと変わらぬ笑顔で私を出迎える。
先日8月17日、ラミィキューブ日本選手権兵庫予選会を兼ねたボードゲームイベント「ひょうごゲームこんべんしょん」が大盛況のうちに幕を閉じるなど、ボードゲームを中心に活動を展開する方々だ。
気さくな人柄で人望も厚く、県内外を問わず多くの愛好者が御二人にお会いしたいと訪れる。



何はともあれ、ボードゲームを広げる。
持参したキャリーケースには、9割がたボードゲームが詰まっていた。

ちょうどお店に、昨年のラミィキューブ全国大会王者の「なな」さんが親子で訪れる。
ななさんはラミィキューブに限らずボードゲームなら何でも興味を持つ女の子で、次から次へと作品を手に取っていた。



ななさん親子を交え「なつめも」をプレイ。

ポッドキャスト「万屋楽団のそれなりな日々」など多数のメディアで取り上げられた、この夏誰もがイチオシする、関西のボードゲームデザイナー宮野華也氏が手がけた作品である。
夏休みの期間内で、各種イベントや宿題をこなし得点を稼ぐゲーム。
イベントの種類やデザイン、候補を取るシステムに挙手制を採用するなど、要所要所で童心に帰ることのできる点が素晴らしく、中量級ながら思わず再プレイをとうずいてしまう中毒性を秘めていた。

加古川に別れを告げ、大阪へと戻る。

以前大阪でもご挨拶できたシオンさん案内の元、夕食は本場大阪の串揚げのお店へ入ることに。
牛肉やオクラなどに加え、こんにゃくやパン、チーズちくわなどの変わり種も豊富に用意されたお店で、時間いっぱいまで揚げ物を堪能した。

食後、心斎橋近くに店舗を構えるボードゲームカフェ「ピエット」様へ。
満席とのお知らせを受け、御挨拶だけ無事に済ませる。
店長のクロさんはこの日も額に汗しながらも笑顔で我々を招き入れ、賑わいをみせる店内をせわしなく動き回っていた。
邪魔にならないよう小冊子を一部寄贈し、次の目的地へと向かった。

谷町四丁目の「ギルド」様へ。
実は先日開催のボードゲームクリエイター交流会等各種イベント以外では足を運んだことがなく、会員証を発行することも今回が初めてとなる。
この日も店長の大阪さんと名物店員のアリサさんはいつもの屈託のない笑顔で、呼ばれたとあらばすぐさま遠方へとルール説明を補足しに飛び回っていた。

ギルド様では私の持参したゲームを一部プレイする。
金沢でも好評を博した「Fish &Ships」
可愛らしいパッケージながら、株ゲームの主軸のみを極限まで抽出した作品。
連続でプレイするたび、とても子ども向けとは思えないほどのアツい駆け引きが堪能できる。

少し遅い時間となったものの、この日の宿に無事たどり着き、疲れた体に最後のムチを入れながらこの日も4コマ漫画を作成した。

翌朝。
流石に年甲斐もなくはしゃぎすぎたからか、全関節にダンベルを吊り下げているかのような、重い、重い身体。
ベッドで横になりながら「ここに行きたい」という妄想は膨らみこそすれど、思惑とは裏腹に一向に身体が追いつかない。
引きずるキャリーケースが、あたかも奴隷の鎖に錯覚する。

エネルギーを補充するべく、阪急梅田駅構内に構えられた「元祖ミックスジュース」のスタンドへと移動する。
牛乳と果物だけのシンプルな味わい。コップのフチギリギリまで注がれた、冷たく飽きのこない飲み物。
「乳アレルギー」「果物アレルギー」そんな言葉は看板に書かれてはいない。
まさに古き良き昭和の風情が漂う、サラリーマン憩いの空間だ。

少し元気を取り戻したところで場所を移動し、本日向かうは一路「和泉府中」へ。
以前からお世話になっている「すがえり」さんのボードゲーム会に急遽参加する。



閑静な住宅地にたたずむデイサービス施設「自由帳」
少し早めに到着し、トランプなどを広げつつ、他の参加者を待つ。

関西に足を運ぶたびにご一緒する山路さん親子とも合流。
先日手に入れたという「となりのトトロ トトロのどんどこゲーム」をプレイする。


ババ抜きの要領で相手のカードや自分のカードをめくり、できる限り多くのどんぐりを集めるこのゲーム。
パッと見はお子さま向けではあったものの、プレイ感覚は中量級ドイツゲームのそれで、相手をかく乱させつつボーナスを得る攻防が終盤まで楽しめる佳作だった。

すがパンの会名物「美味しいパン」も堪能する。
こんがり焼き立ての小麦の香りに添えられたフルーツが芳しく、中のクリームが甘さ控えめで、甘いものが苦手な自分も美味しく食べることができた。

名残惜しくもあったが、別れを告げ、次の場所へ。

ヒカリゲームズ堺様へ。
こちらではネスターゲームズの作品も各種豊富に取り揃えられており、早速店内では「アメーバ」などの作品がプレイされていた。

少し大柄な店長が、お店の傍らで、プレイスペースも兼ねた店内全体を微笑みながら見渡している。

ネスターゲームズ作品の「カバとワニ」、そして偶然目に留まった格安の「通路」を発見し、併せて購入する。

もう少し、といったところで途中激しい夕立に会い、身体がしっぽりと水に濡れてしまう。
這う這うの体で裏中崎の「賽翁」様に到着。
少し前にはボードゲームクリエイターとして活躍中の珠洲ノらめるさんも訪れたという「ボードゲームミニフリマ」が開催中と聞きつけ、御挨拶も兼ねて伺ったのだ。

白熱色の電球で照らされた店内は、これまでと一風異なり、静かな大人の雰囲気が漂う。

濡れた身体で長居するわけにはいくまいと、こちらも軽く店主に御挨拶だけを済ませる。店主自慢のコーヒーは次回神戸・三宮の際に堪能することにしよう。
こちらでは「ヤバいか≒ヤバイカ」を購入することができた。

疲れた体の中であちこち動き回ったからか、空腹を忘れ、さながらゾンビのような風貌でふらふらと移動する私。
慌てて近くのうどん屋へ駆け込み、なんとか帰りの新幹線前に食べ物を堪能することができた。

PM9時04分、新大阪発の新幹線に乗り込んだ私。
風情のある旅、というより、これではまるで弾丸旅行だ。

リクライニングシートを倒し、前々から気になっていた「冷やしあめ」を口にする。
生姜のスパイスが効いた素朴な甘さに、旅の疲れも忘れ、思わず頬が緩む。

今回の旅でも、いろいろな「笑顔」を味わった。
「いかとりにょりとおけいのいかがわしいラジオ」DJのいかさんが以前教えてくださった「大阪には味ではなく、人に会いに来て欲しい」という言葉が頭に浮かぶ。

前回私は「会いたい人に、いつでも会える」そんな時間、空間を目指したい旨の文章を綴った。

<リンク先:番次郎の盤上万歳‼︎「また、会いに行きますー関西プチ旅行記 備忘録ー(2019年6月26日)」https://hibikre.blogspot.com/2019/06/blog-post_26.html

今回の短い旅程を通じ、改めて人と人との出会いは「一期一会」という言葉に集約されることを学んだ。


一期一会
「一生に一度しか会う機会がないような縁」という意味で使用される言葉だ。
一期とは仏教で人の一生を意味し、千利休の弟子、山上宗二が用いたとされ、本来は「人と人との出会いを一生に一度の出会いと心得て、真心を込めて行う」という茶会での心得を教え伝えた言葉とされる。
(慣用句・故事ことわざ&四字熟語使いさばき辞典(東京書籍編集部 編)より引用)

ボードゲームの出会いは一期一会、そんな言葉を界隈では度々耳にするし、自分もさながら自嘲しつつ口にする。
ニュアンスとして「目の前に並べ飾られた作品は迷うだけ損」という意味合いではあるが、きっとカフェ、プレイスペースでの出会いもこうした本来の意味としての「一期一会」という言葉に集約されることだろう。

一度しか会えないかも知れない、そんな気持ちを込め、最大限相手に礼を尽くす。
その中で、自分も含めた全体の場が、最大限楽しめるにはどう立ち振る舞えばよいか。

それは決して「自分を犠牲にする行為」に安易に結びつけてはいけない。
今回の出会いを通じ、自分が大切にしたい相手を通した眼鏡が、自分も「相手にとって掛け替えのない一部の存在」として見えていることを実感した。

ツイート上での苦しみ、つらさを決して口にしない、そう固く誓いながらも、時に自虐的な言動として態度の端々に滲み出てしまった自分を深く内省するうちに、多くの方から「ゆっくり休んで」という言葉をもらったことをぼんやりと思い浮かべた。

帰りの新幹線は新横浜へ到着する。

むせかえるような暑さに終わりを告げたかのように、駅構内をひんやりとした空気が覆っていた。
私ははやる気持ちを冷たいコーヒーで抑えつつ、この日もいつも通り4コマの作成に勤しんだのであった。






2019年8月21日水曜日

小さく、強く、しなやかにー金沢ボードゲームマーケット体験レポー

2019.8.22.2110(加筆修正)



「良いことは先延ばしにせず、なるべく早めに始めよう」

これは最近、僕の中で格言としている言葉だ。時期を失せず、その場で出来ることならば、多少骨になろうとも即座に実行に移す。

とはいえ、そのためにはあらかじめ脳内に蓄積されてあった情報、とりわけそれらは活字や会話等、他者との交流を経て手に入れることができた情報からなる、いわば無意識下の行動ではないかと解釈している。

今回の金沢遠征も、後で思い返すと、OKAZU brand林尚志さんのかつてのインタビュー記事が、何かしら僕の頭の中に引っかかっていたのかもしれない。
林さんは先のインタビューでこう答えている。

(イベントに行くと交通費や出展料などがかかってしまいますが、そこを鑑みても出るべきという判断なのでしょうか?)

正直な話、ペイするかというとしませんね。なので、OKAZU Brandのゲームを色々な方に知ってもらうというところに重きを置いています。
あとは、旅行に行って美味しいものを食べると。
(中略)
特に「来てくれてありがとう」と言ってもらえると嬉しくなりますね


リンク先>ニコボド「【インタビュー】OKAZU brand・林尚志氏(後編:日本のボードゲームシーン、ルールライティングについて(該当部分は「全国のボードゲームイベントについて」より抜粋))」https://nicobodo.com/archives/interview-okazu-brand-3.html


「縁は奇なもの粋なもの」
本当に先人は上手い言葉を残すもの。

かくして、8月18日土曜日、AM9時43分、東京発金沢行きの新幹線に飛び乗った僕は、不安を期待で押し殺すかのように、一路、石川県金沢駅へと向かった。



大きなモニュメントが出迎える金沢駅は、国内外を問わず多くの観光客で賑わいを見せる。
高校野球も地元の星稜ナインが頑張りを見せ、街頭モニターの前では多くの方が足を止め、白球の行方を固唾を飲んで見守っていた。

漁師町金沢はもちろん魚介類、そして金箔工業等も有名だが、僕のおめあてはもっぱらB級グルメである「金沢カレー」だ。

市場の地下に位置する金沢カレーの老舗「チャンピオンカレー」
スパイスの効いたルーは粘性が高くドロリとし、おわん型に盛られたご飯やサクサクのカツとの相性も抜群だった。

お腹もふくれたところで、一路、今回お世話になる「ゲームスペース金沢」様へ足を運ぶ。



ゲームスペース金沢様の運営スタッフ様は、今回お世話になるボードゲームマーケットの主催・運営を主に務める。笑顔が素敵な、とても気さくでフレンドリーな方ばかりだ。
先に開催された北海道ボドゲ博でも、数名の方が様子を確認にいらっしゃるなど、その飽くなき姿勢には心の底から敬服する。

棚の中には数多くの有名ボードゲームが所狭しと並ぶ。
空調の効いた室内では、多くの方がボードゲームに興じていた。
室内をうろつく愛らしい番犬、ならぬ「番猫」は、僕の顔を不思議そうに眺めてはニャアニャアと高い声で鳴き叫んでいた。
とはいえこちらはゲームスペース、私も早速持参したボードゲームを披露する。重いゲームとは一風異なる軽めのゲームに少々不思議な面持ちだったが、取り出した「カルテル」「Fish&Ships」を喜んでもらえたようで僕自身とても満足した。


明日に備え、少し早めに就寝する。
が、もちろん眠れるわけもなく、喉の調子を整えるため、空調を切ったり入れたりを繰り返した。

翌朝。雲ひとつない青空。
眩しいほどの朝日で目が覚める。

気が急いた僕は、早めに荷物を整え、少し早めに現地入りした。中ではスタッフの方が机やイスの搬入の作業に没頭していた。
僕「番次郎書店」ブースに割り当てられたスペースは、力不足にもほどがあるほど大変広いものだった。
長いテーブルは3つ、イスも使おうと思えば5つまで。スペースも後方も含めて広く使用可能、その上、いつでもお手伝い可能というスタッフを2名もつけてくださるなど、まさに“いたせりつくせり”だ。
個人出展ながら、さながら「独り企業ブース」を運営する心地だった。

ふん、と気合を入れ、設営を開始する。
今回金沢では初めてA1版のポスタースタンドを作成・使用した。


1時間足らずで設営は完了。

私のブース運営スタイルは変わらない。
ひたすら声を出し、本を「頒布」する。「売る」のではなく「知ってもらう」
数々の有名ボードゲーム制作ブースが立ち並ぶ中、見慣れない本を頒布する唯一のサークルが僕なのだ。

カウントダウンとともに、本日のボードゲームマーケット、開幕。


気温32度と予想された今日の金沢市。
地下コンコースは天井からの光も差し込み開放感すら感じ、若干の風も吹き抜けるだろうと感じたが、人の熱と幾分高めの湿度に参ることとなり、後半はスタミナ、さながら熱中症との勝負と相成った。

北海道で大活躍した「冷たいおしぼり」は、この日も最後まで大活躍を見せ、来場された方を始め、スタッフや出展者の方、等々、多くの方に喜ばれた。


もともと汗っかきの僕。
吹き出す汗が紙媒体にかからないよう配慮し、時折スタッフから「抑えてください!」と諭されるほどの声を出しながら、僕は積極的にブースのアピールを続けた。
(もっと気楽に、のんびりと行ってもいいはずなのに、ね。)

「世界でここだけ!本屋さんでも売っていない、ボードゲームのクイズになぞなぞの本です!」
金沢の方、そして観光に金沢を訪れた方など、多くの方が足を止め、並べられた小冊子に興味を持ってくださった。
チラシやおしぼりを差し出すと、こわばった表情が瞬時にほころび、本当に嬉しそうな表情で手に取ってくださる。
それら表情の変わる様が嬉しくて、僕は疲れも忘れ、あらん限りの声を出してアピールした。

この日は能登ごいた保存会金沢支部の落成式が執り行われ、全国各地のごいた支部の方々や、東京・品川のごいた喫茶マーブルの方など遠方から多くの方が応援に駆けつけた。
会長の言葉に湧き上がる会場。
僕も誰よりも負けじとばかりに、割れんばかりの拍手で応援した。

15時を回る。すでに体力、気力、ともにレッドゾーンだ。
少し離れたスペースでは地元の星稜高校ナインが、こちらも熱い最中の甲子園で奮闘していた。
持参した梅タブレットを口にしながら、引き続き声を張り上げる僕。
スタッフが配置されているとはいえ、一人でブースを切り盛りすることを前提に進めていた以上、急な路線変更に対処できなかったからだ。人を上手く使うことの難しさを身を以て学ぶ。


16時30分、無事に終了。終わってみれば我がブースは、北海道と同じく上々の売れ行きを見せたのだった。
そして毎度のことながら、僕はここでスタミナゲージを使い果たす。

喉が痛む。
つばを飲み込むと、血液を含んでいるかのような、少し鉄っぽい味がした。
声はもう出ない。
終了後にも業務が残されているとは頭にあるのだが、それでも閉演時間一杯まで、声の続く限り片付けることなく延々とアピールを続けた。

だから、というわけではないが他の魅力的なブースを見て回ることができなかった。ゲームNOWA様では新作の試遊会なども行われていたようだが、あいにく指をくわえて眺めるしかなかった。
目の前には北条投了様の新作やもんじろう様の新作などに興じる参加者の方。
そんな僕を見かねたか、もんじろうブースの居椿氏がわざわざブースに新作「鳥たろう」を持参して頂けた。北条氏は拙著4コマの新作を手にし購入してくださった。
頭の中で何度もひれ伏しながら、僕はブース運営、とりわけワンオペについても今後見直さなきゃ、と考えることにした。


さて、事切れていようとも、会場の撤収を手伝うのは自分より他にいない。
残された体力を必死でかき集め、そそくさと撤収作業に移行する。
今回の金沢に携わった多くの方々が、イスや机をテキパキと、そして笑顔で「お疲れ様でした!」と声を掛け合いながら、最後まで指示の通りに動いて回った。

金沢ボドマのスタッフは会の終始を通じ笑顔が絶えなかった。
そして何より、現場監督がそんなスタッフに的確な指示を出す姿が印象的だった。
有能なスタッフと、それらを司る運営陣。
人を動かすためにはそれ以上の努力が必要だと、これはカーネギーの言葉だっただろうか。
撤収をしながら、ぼんやりと昨日のゲームスペース金沢に蓄積された膨大な量のボードゲームを思い出す。
あれだけの知識と経験、そしてボードゲーム等で培われた「団結心」があるからこそ、本イベントも無事に大きな事故等も起きることなく成功に導くことができたかな、と振り返った。

金沢ボードゲームマーケットは、今回5thを機に一旦お休みします、とアナウンスされた。

喉の奥の小石が外れないよう、僕は慎重にその言葉を飲み込んだ。

本当にお疲れ様でした。

一人ができることは、所詮、小さなことなのかもしれない。
しかしながら、一人が動かせるものの大きさを甘く見てはいけない。
それは結果としての量にとどまらず、その先に繋がるであろう、見えない部分に派生する部分も含めて、だ。
「自分の存在に悩んだら、部屋の中に蚊を一匹入れてごらんなさい」
ハリウッドのとある女優はそんな言葉でうそぶいた。

小さく、弱く、それは決して力づくではなく、しなやかに、和やかに。

金沢ボドマのイベントが投じた一石が、いつか大きな巨岩となり、大きな舞台を動かせる存在となるような。
わずかな時間に凝縮された体験を通じ、スタッフを始め運営に携わった方々、当日立ち上がった能登ごいた保存会金沢支部の方々、そして出展者や来場者を含む全ての方々が一丸となって、言葉の通り「金沢から盛り上げる!」、そんな計り知れない底力をひしひしと感じたのだった。

「再度の開催をいつでも心待ちにしております。」

故郷の両親が独り立ちする我が子を「いつでも帰っておいで」と見送るような、僕はそんな気持ちで暖かく見守ることにした。



翌日はあいにくの雨模様、らしいといえば実に「金沢らしい」天候だ。
たった一滴の雨粒が、疲れの癒えぬ僕の体を冷やしにかかる。
僕はそそくさとアーケードへと移動し、お世話になった方一人ひとりの笑顔をニンマリと思い浮かべつつ駅コンコースに並ぶお土産品を物色することにした。僕にとって、それが本イベントに参加した何よりの報酬なのだ。


(了)

ありがとうございました。





2019年8月17日土曜日

忘れっぽい

私は幼少の頃から忘れっぽい性格だった。
人より二倍三倍勉強しなければ、テストで平均点を取ることすらままならなかった。
部活など、これから控えるイベントなどもすべてそう。当日に向けて何度も予行練習を重ねたところで、やはり本番になると“ポン”と炭酸が弾けたかのように記憶が飛んでしまう。

まず私は相手の顔を覚えることが苦手だ。
Twitterを初めて以来、フォロワー等を通じ多くの方と直接お話しする機会も度々あったけれど、一、二度お会いした程度では「相手の顔を覚える」という牙城を崩すことができない。
「こんにちは」と微笑みかけられても、私の頭には常に大きなハテナマークが浮かぶ姿が見て取れる。
数度会話を交わし、ようやく相手の言葉に垣間見える端々から相手の人となりを想像し、ようやく「ああ、あのアイコンの!」と記憶の糸が鮮明に見えてくる。
要は、かなりの時間を要するのだ。

読書は好きで、人より多少は読んでいると自負するほどだ。
しかしながら、読んだ本の内容をすべからく憶えているかといえばそうでもない。
読後、いざ感想を書き出そうとすると、読後の充足感からか感想がとーんと浮かんでこないこともしばしばだ。
だから読書に限らず、ボードゲームやイベント等などの感想は、なるべく体験直後に綴ることにしている。
その際は写真等で済ますことなく、なるべく自分の言葉でまとめ、散らかった脳内の断片を自分の言葉としてまとめ、選り分け、整理することにしている。


もうひとつ、
相手に親切にしたことも、すぐに忘れてしまう。
先日とある方から「先日は○○のご寄贈ありがとうございました!」と感謝の言葉をかけられたものの、一瞬「本当に自分の寄贈したものなの?」かとたじろいでしまった。
寄贈も寄付も、半日も経てば私の頭の中からはすっぽりと抜け落ちてしまう。
だから感謝の言葉は結構。あとは相手がどうしようと気にも止めません。

私は忘れっぽいのです。

2019年8月10日土曜日

感情は揮発性

感情は揮発性

これは最近、私の中で何度となく反芻している言葉だ。どちらかといえば、格言のようなものに近い。

「楽しい!」と思う気持ちは、なるべくすぐ行動に移すこと。

Twitterなどで「今日が誕生日です」などのツイートを見かけた時には、作業の手を止め、考えられるだけの言葉で飾り、贈ることにしている。
決して「コピペ」はしない。似たような言葉を使おうとも、自分の言葉で、心を込めて綴る。
誕生日メッセージで一人だけ浮いたツイートが並んでいるけれど、もう気にならなくなってしまった。これはもうある種の病気に近い。

応援の形も、気持ちや言葉より、花やプレゼントを贈ることにしている。
「大事なことは気持ち」と突き放す方もいらっしゃるだろうけれど、気持ちや言葉などの「目に見えない」モノよりも、何かしら「目に留まる」形として、相手に伝えることにしている。
迷惑とあらば、反省、学習し、次に活かせばいい。
モノを購入することだって応援の一つだ。
もちろん、直接声援を送ること、声という形にし、直接自分の言葉で発し、相手に届けるスタンスだ。
具体的には、コミックマーケットやゲームマーケット等のイベントで、直接お礼を伝えたのちに作品をお金で払うこと。
これだって一つの「応援の形」であるはずだ。

感情は揮発性
だから思いついた時には、すぐに実行に移す。
悪い気持ちを思いつく“いとま”を与えず、スッと行動に移す。
人はそれを「行動力がある」とも「無鉄砲」とも揶揄する。
おかげで資金も体力もみるみるうちに減る一方だ。
それでも「あの時やらなかった」時の後悔に苛まれることを考えると、本当に微々たるものに過ぎないと考えている。


感情は揮発性
これは反対に、悪い気持ちにも当てはまる。
「イヤだ!」という思いは、しばらく寝かせることにする。
元来のネガティヴ思考だから、たとえ冗談だろうとも、相手から指摘された言葉の一つ一つ、特に悪い感情については、楽しい気分がサッと冷めて気分が急降下してしまう。
そこで一旦「やめやめ!忘れよう!」と、別のことを考える。
そうでもしなければ、悪い思いは募りつのって、自分をより強く深く傷つけてしまう。


また、悪い感情は基本的に強いエネルギーを放つ。
心拍数が上がり、発汗し、声を荒げ、体内のあらゆる循環が活発になるような、そんな錯覚すら憶える。
しかしながら、瞬発的なエネルギーは、それだけ瞬時に収束する。
熱しやすい貴金属が相対して冷めやすいことと同様に、カッと上がった熱量は、時間とともにすぐさま収束へと向かう。
だから私は、感情が荒ぶりそうな時は「ありがとうございました」とその場を切りつつ離れることにしている。
冷えた外の空気を吸い、知らぬ間に熱を帯びた体を「物質的に」冷やすことにする。


とはいえ、あまりにこちらの感情を揺さぶる人間に、長く笑顔でお付き合いするほどのエネルギーは持ち合わせてはいない。


最近ボードゲーム関連で、知人も含めた多くの方と触れ合い、自分の中の気づき、そして成長が、自分の中だけで為し得ることが難しいことを学んだ。
酸いも甘いも嚙み分け、自分の中の現実を受け入れたのち、自分の外の世界と対峙させながら共存・共栄させること。
その中に、自分の居場所、最近の言葉では「自己肯定感の高まる場所」を見つけることができる。
そんな「生物が持つ生存本能に基づく行為」が、どれだけ難しく、そして、大切なことかを身をもって学んだ。

自分の体(資本、資金など)は有限だ。
お金だって、時間だって、限られている。2回行動できるボードゲームは、多くの作品がチート行為として取り上げているほどだ。

だから私は、自分の感情に責任を持って行動したいと思う。
フッと消え、後には何も残らない、そんな揮発性を持つ「感情」だからこそ、過去の自分を受け入れ、大切にし、そして何より、そんな自分を心から受け入れてくれる周囲に畏敬の念を払い、大切に、大切にしようと願う。



8月13日はお盆ですね。




2019年8月4日日曜日

すごろくや祭、ここが良かった!感想

8月3日に浅草・台東館で開催されました「すごろくや祭(やさい)」に参加致しました。
身の回りの都合(と、若干の電車遅延)により、入場は11時40分ごろ。
入場開始時間は11時でしたので幾分遅れての参加でしたが、すでに注目作の「ダニー」は品切れという状態でした。残念。

それでも今回、この「すごろくや祭」、もちろん注目作の先行発売や各サークルの魅力に溢れるイベントなどももちろんそうですが、これまで体験したボードゲーム関連イベントの中でも自分が特に充実したと感じた内容でしたので、どのあたりが良かったのかを上げていきたいと思います。

<準備>
・カタログなし、渡されたものは「名札」と簡単な地図のみ
 今回のイベントは前売り券と若干数の当日券、私は前売り券を店舗で購入致しました。
 店舗で購入する際も、住所、氏名等連絡先の記載が必須となるなどありましたが昨今の事情ですとやむを得ないのかな、と思います。
 加えて、カタログのような冊子がないのです。パンフレットには会場までの経路と簡単なイベントスケジュールが記載されている程度。ブースの配置などはTwitter上にてPDF配布されました。
 この極限まで無駄を排した作りに感動しました。

・名札に「好きなゲーム」「興味のある国」など
 その名札も、名前を記載するだけではなく、出身地や好きなゲーム、果ては「興味のある国」など、そんなことまで聞いてどうするの?といった内容も記載されておりました。
これは当日、語ろーぐなどのイベントで使用されたとのことですが、こうした遊び心、大好きです。


<〜前日>
・主催側による参加サークルとイベントの紹介
  主催側となります「すごろくや公式ツイッター(@sugorokuya)」では、定期的に各サークルと、当日のイベントを紹介するツイートが流れておりました。

・当日券は会場の1時間前に販売
 ツイート上で告知されていた情報のみですが、昨年はかなりの列を形成した当日券も100枚ほどしかなかったとのこと。販売は開場の1時間前、それでもお昼12時の段階で20枚ほどが確保され、午後3時ごろに当日券も無事に完売、と。こちらも大きな混乱は見られなかったように思えます。11時40分に入場した私もスムーズに入ることができました。


当日

<会場内施設>

・空調が快適
 当日はかなりの酷暑となる猛暑日だったようですが、室内はそんなことなどおかまいなし。前売りチケットの枚数から人数もあらかじめ掌握できていたからか、空調はむしろ効きすぎるくらい快適でした。

・飲食OKのイベント、場所
 ボードゲームに大敵とされる水物、具体的にはジュースなどのドリンクも、飲食物が販売されている場所ならばOKで、そのスペースも柵で囲まれておりました
 飲食物にもボードゲームに関するイベントが仕込まれているという徹底ぶりです

・会場マップがいたるところに掲示
 当日の各ブース、マップが掲示してあったことに加え、上から吊るすタイプで各サークルの名前が表示されており、カタログを見ながらウロウロすることなくのんびりと回ることができました
 もちろん運営本部の場所も明確で、失くし物をした時、どこに本部があるのかも一目でわかりました。

・どこでも座れる、万能「どこでもスツール」
 各種イベントを経験する中で、来場側の休憩する場所がない問題にも直面しますが、当日一人一つ手渡される「どこでもスツール」、会場のイス代わりとして、軽くて携行性も高く、何より広めのスペースがあれば広げて腰掛けることが可能という万能ぶりを発揮しておりました。
 


<イベント内容>

・講演あり、トークイベントあり、全体ゲームあり
 すごろくやって何をしているの(大人のハローワーク)、草場純先生のわらべ歌、放課後さいころ倶楽部トークイベント、目撃者たちの夜(ワンナイトマンション)製作者秘話、全体ゲームなど、公演となるスペースでは時間をおいて定期的にイベントが開催されておりました

・コインシステム
 会場内でゲットできる「や祭コイン」、遊ぶとコイン、勝利するとさらにコイン、講演を聞いて、買い物をして、と、遊ぶうちにどんどん貯まることが嬉しかったです。私は日がな一日のんびり遊び、最終的に15枚ほどゲットできました。
 10コインで交換できる謎袋(中身はボードゲームとのこと)などの商品も魅力があったからか、交換レートの高い順に売り切れが続出しておりました。もう少しレートを高くしても良かったかもしれません。


少し時間を置くとまだ挙がる気がします。それくらい楽しく充実したイベントでした。
何より、スタッフ、関係者の方々をはじめ、参加された大勢の方が笑顔でプレイされたこと、初めての方でも老若男女問わず多くの作品の魅力に触れることができましたことなど、大変印象深く残っております。

来年も是非、参加したいです。
今度は楽しみを「提供する側」に回れたらいいな、なんて。


笑われて、笑われて

 5月から心機一転開始した日々の4コマが、今日で150話、2年間ちょっとに及ぶ過去の連載文を含めると794話と、800話も目前となった。 今度の4コマも無事に2巻目の入稿を済ませ、次回イベントで1,2巻も含めた初めての頒布となる。 日々苦しい執筆だった。 心に響くしんみりとした言...