2019年10月26日土曜日

軽い気持ちで作ること 12,13冊目となる本を描き終えて

ボードゲームのクイズ本を2017年から作り続け、今度、3度目の秋を迎える。
クイズの本としては6冊目、全体としては12冊目となる今作、
テーマは「2019年史」だ。


「ボードゲームの1年(歴史)を綴る本」
アイデアそのものは、そう斬新なものではないはずだ。
おそらくボードゲーム を趣味とされた方なら誰しも一度は「この年にあった出来事を簡単にまとめた本、書類」自体のアイデアは考えたことではないか。

しかしながら、辺りを散策しても、それらをまとめた本が見当たらない。
検索の仕方が悪かったのか、または、何かの雑誌のワンコーナーに掲載されていたため、私自身が見つけきれなかったのか。
ともかく、現状として私自身が一番読みたかった本が何処を探しても見つからない、という状況だった。

「ならば私が作る!」
と、こうして2019年に関するボードゲームのクイズ本を作成するに至った、という、経緯とも呼べない経緯でこの本は始まってしまった。

「しまった」とあるけれど、要は自分の中で難しく考えることをキッパリとやめ、まずは走り出すことに決めたのだ。
最初はこう、次はこう、と、入念な計画を立てることはとてもとても楽しい。あたかもそれは、遠足の当日よりも、前日に300円以内のおやつを買いに走ることの方が楽しいことに似ている。頭の中で空想を巡らせてばかりで「行動」に移すまでに余計な時間をかけているクセがつくと、だんだんと行動が億劫となり、次第にその一歩目が鈍重となってしまう。
「しのごの言わず、まあやってみましょう」
と、まずは外野を気にせず「本を作る!」とだけ脳内の壁に掲げ、かくしてボードゲームクイズ制作はスタートしたのであった。


簡単にスタートしたは良かったが、目の前の障壁は予想以上に行く手を阻む。
まず持ってデザインの壁。
歴史を綴る本となれば、当然、歴史年表が必要となるが、どこを当たっても求める年表の作り方が掲載されていない。

そして、あてにしていたインターネット上の情報がかなり少ないことに気がつく。
途中の更新が抜けているブログもあり、書き手の趣向がかなり偏ったブログもあり。
何かしらの参考にはなったものの、やはり実際に見聞きした情報には敵わないという実感だった。
百聞は一見に如かず、とはよく言ったもの。前回の制作と同様に店頭のパンフレットを片っ端からかき集め、手で、足で、情報を獲得するより他になかった。


次は問題の総数だ。
時事問題を中心とした方向性は良かったけれど、ただでさえ縛りのある「ボードゲーム」というジャンルに加え、その年の、その月にあった出来事を絡めるとなると、何重にも問題制作に制限が加わってしまう。
そうなると難易度は必然的に高騰する。
「そんなの知らんわ!」と見放されてしまっては、せっかく手塩にかけた問題が台無しだ。

歴史に、問題に、加えて、おまけの要素をどうするか。
何日も何日も試行錯誤は続いた。

コラムを書き、解答・解説も書き綴っては見直した。分量は軽く1万文字を突破した。
もちろん問題そのものがボツになってしまうと、せっかくの解説も道連れとなってしまうわけで…。


締め切り2週間前、ようやく表紙デザインが完成
完成の日の目が見えはじめた。



直前になっても中身のレイアウトの変更、微修正は続く。
特に11月を出題の範囲とした関係上、直前になっても情報の変更が飛び込んでくる。
一例を挙げると「キャットアンドチョコレートガチャピンチャレンジ編」
こちらは今年5月に発売された人気大喜利ゲームの新作であるが、実は直前になって「非日常編」の発売があることを知り、問題文の「2019年の新作は…」と記述した部分を微修正する必要に駆られた。


さて、いくらクイズ制作が趣味の人間とはいえ、こう毎日クイズ本の作成、修正に没頭していると、当然「嫌気」もさすというもの。
ツイート上を眺めると、時折、周りの製作者のテストプレイに華やぐ姿が流れる。
それらを横目に作業を続けていると、思わず発狂したくなるほどの精神状態にもしばしば襲われた。

そんな心理状態を救ったのは、4コマを描く時間だった。
つまり、作業を作業で埋めたのだ。
クイズ制作とは真逆のことを行い、精神の安寧を図るという、これもかなり無茶といえば無茶な施策を練った。
とはいえ、4コマも他のボードゲームの漫画を執筆される方からすれば毎回「月とすっぽん」ほどの反応だったが、それでも臆することなく「毎日」を目標に描き続けた。

クイズにも言えることかもしれないが、4コマ制作のバロメーターは何より「描き手である自分が楽しむこと」だった。
相手を楽しませることを主眼に置くと、どうしても読み手にすり寄った作品となってしまう。そうなると自分の本当に描きたかった作品の軸がブレてしまい、最悪、作品が継続できなくなってしまう。
だから日々の4コマについては、反応を気にせず、無理をせず、相手を貶めたり傷つたりせず、そして何より(時にパロディーも加えながら)自分の描きたいものを描くというスタンスを取った。


そんな2足のワラジをこさえながら、締め切り直前となる金曜日の徹夜を経て、ようやく完成、入稿。










今こうして時間を置いて眺めると、やはり諸所の粗さが目立って見えてしまう。致し方あるまい。

しかしながら、この「不可能が現実となった瞬間」の達成感は、いつ何時であろうとも感慨深い。
それは作品の出来不出来ではなく、制作の過程に苦労を重ねた分、二次関数のように跳ね上がっていくものだ。
まして、半年前には当の自分自身が「できない!」「無理!」と自分の中で突き放していた作品だ。正直、手元にない以上いまだ大きな実感は湧いてこない。


入稿完了の画面が大きく表示されると、しばらく私は動くことができなかった。
余程気を張っていたのだろう、肩に、腰に、内臓に、ドッと疲労が押し寄せる。
ゴロリと横になってしまうと、そのまま立ち上がることができないのではないかという具合だ。

きつく締めたはちまきをゆるめ、冷蔵庫の麦茶を口にする。
ツイート上には早速「おめでとうございます」の温かいリプライが飛び込んできた。
秋の嵐吹き荒ぶ中、それらの言葉は疲労しきった心に深く、暖かく、じんわりと染み入った。

これまで本当にご迷惑をおかけ致しました。
もうしばらく元気を取り戻しましたら、作品と併せまして、ゲームマーケット当日に御恩返しに回りたいと思います。




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