2019年12月2日月曜日

頑張りの、その先へ レイアウトの勉強、一年間の成果発表

こちらの記事は‘Advent calendar 2019 今年一年がんばったことをテーマに記載した記事です。



クイズが好き、ボードゲームが好き、
そんな想い全開でダダダっと綴った「Board Game Quiz」は、Cygnusさんら関係各位のお勧めがあったこともあり、2016年ゲームマーケット秋にて初出展し、一部の巻は途中完売する僥倖に至った。



もちろん反省することもしかり。本の体裁を何とか保っただけの「計算ドリル」といった見た目も払拭できなかった。
次に頒布をするまでに、何かしら大きな見た目の改革を行わねばと、自分に言い聞かせ、試行錯誤を続けた2年目の秋、拙著4冊目となる小冊子の頒布。



ページ全体のレイアウトはもとより、ジャンル構成から色彩、あまつさえ挿絵イラストまで、色々と挑戦した一冊。

大きな変革と同時に、身の回りのあらゆる“モノ”を失った、そんな2019年初頭。
ふと気がつけば昭和53年生まれの自分は「大厄」を迎える。
確かに多難だった前厄の一年、そして続く大厄の年、それもまあ、大厄ならば致し方あるまい、と無理やり考えを押し込み、兎にも角にも体調だけは整えつつ次回作を捻出せねば、と、次なる計画だけはしっかりと練り上げていたのだった。
部下をとことん酷使するブラック企業の上役を全く笑えない。

しかしながら、「最新刊が常に最高傑作!」をモットーとする自分にとって、ほんの数ヶ月前とはいえ、出来立てほやほやの新刊のどこから手を加えるべきなのか、など、しばらく考える余地などなかった。
目の前の作品を宣伝する製作者が、次の作品のアイデアを閃いたとツイートするほどの天才的な感性など、自分に持ち合わせているはずもなく。
普段の落ち着きのなさに加え、あらゆる面での勉強量の絶対的な不足。
次回ゲームマーケット大阪を控えた小冊子制作を目の前に、僕には愕然とする余裕どころか、逆に「たとえ中身が入れ替えただけのものであろうとも、それはそれで十分形になるのでは?」といった妙な余裕すら構えているほどだった。

そんな中、制作の熱量そのままで購入したAdobe Create一式は、未だPhotoshopを簡単に覚えただけの状態だった。
制作を続ける上で、もっと良いツールに関しても勉強しなくては。

次回ゲームマーケット大阪に向けての執筆を続ける中、見様見真似で「Illustrator」と「InDesign」をイチから勉強するにした。もちろんこれも独学だ。
幸いAdobe Createのページには「ことはじめシリーズ」と題し、初級、中級等に区分された懇切丁寧なチュートリアル動画が無料で視聴できる。
https://helpx.adobe.com/jp/creative-cloud/tutorials-explore.html

これらをじっくりと視聴しつつ、とにかくいじってみることにした。
Illustratorなんて図の書き方からすでにわからない。まして当時の僕に取って「パスのアウトライン」「不透明度を下げたレイヤーを焼き込みリニアに変更」など当時の自分にとって古文書のような文言に聞こえる。
形は違えど、ボードゲーマーが「スタピー取って初手から連続手番で資源確保するのが拡大再生産の勝ち筋じゃないの?」と、よどみなく口にできるようなものかもしれない。

愚痴を吐いてもしょうがない。まずは実践だ。
簡単な図形一つ書くにも、何時間もの時間がかかる。
「フォトショの方が楽なのに。」と何度もひきかえそうとした、が、同じ心境を昨年Photoshopをいじりながら「パワポの方が楽じゃん」と口にした僕なので、これもいずれ慣れるだろうと構えることにした。

三ヶ月ほど経過しただろうか。
少しはIllustratorの基本的な使い方も覚え、少なくともこれくらい簡単なアイコン程度ならものの30分程度の時間で作成できるようになった。
まずは一歩だけ前進。

同時並行して進めたIn Designも多少の使い方を覚えた。
InDesignは文字の段落分けやカーニング、縦中横等も比較的楽に行えるため、小冊子どころか、ポスターやお品書き等に関しても今後手放せない存在となった。



斯くして我は独裁者に、こそなれなかったが、数ヶ月ほど勉強した成果がそれなりに現れたゲームマーケット大阪新刊「Analog Game GAMEアナログゲームのなぞなぞブック」「きょうもボドびより」は完成した。


実は12月末、初めてコミックマーケットに赴き、この小冊子を執筆中、同人誌レイアウトのツイート講義を毎回開催されるPOO松本先生に、前巻「NEXTARTEA」のレイアウト御指導を願った。
クイズの本というアドバイスも難しい本にもかかわらず、大変詳細なアドバイスを頂戴することができた。



その際、何かしら私の行動が先生の琴線に触れたらしく、先生がアドバイス受講者に限定で配布した「鬼の1日講義チケット」を獲得することができたのだ。

不安な面持ちで4月にお会いし、名の通りビシバシと各所の指導を仰ぐ。独学が主体だった自分にとって、これが最初となる「相手からのレクチャー」だ。

レイアウト指導をもとに、ゲームマーケット大阪→春までのわずかな制作時間ながら、この時、実に「クイズ本リメイク」「なぞなぞ本2巻」「4コマ本2巻」という3冊同時進行を計画し、文字通り死にそうになりながら這々の体で無事に3冊とも入稿。ゲームマーケット2019春、頒布。



そのご縁もあったのだろうか。ゲームマーケット春が終わった後、堀場工房の作品イラストを務める漫画家「たちばないさぎ」先生から、御自身の講義を拝聴できるという機会にも恵まれた。
4コマのイラストも、キャラクターにばかり傾注し過ぎ(現に今もそうであるため)こちらで講義を受けた「遠近法」「パース法」といった内容が脳内に染み渡るように入り込む。


早速作品に反映させる。上手くいかない。めげずに次!
心ある読者の甲斐もあり、連載中の4コマは大きなバズりなど一度もなかったものの、更新頻度を一定のペースに保ちつつ、次回以降の3巻、4巻と頒布を継続することができた。

そしてもう一方、






夏頃、無謀とは思いつつ今回のクイズ小冊子「2019年史(仮)」のプロジェクトが走り出した。
従来のボードゲームクイズのほかに、ページ内には年表やその月の出来事といったおまけ要素を多数そろえた上で、見ていて飽きないよう、レイアウトや編成を細部計画することした。

クイズというX軸と、史実を綴るというY軸、その両方を、どちらの読み手にも、わかりやすく伝えるための本。
だからこそ、より高い水準の「読みやすいレイアウト」を求められた。

「見習」という言葉があるように、独学の基本は諸先輩方の見様見真似、とはいえ、その真似するべき対象となる作品が手元に見つからないという現状だ。
古本屋などを巡っては、教科書、参考書などをパラパラとめくり、問題構成や年表の書き方などを参考にしようとするものの、どれもがいわゆる「霞ヶ関文書」のような、言うなれば「きれいにまとめました。読みやすさなど二の次です」といった書籍が大半を占めていた。
これを読んで受験勉強か、うん、学生諸君は本当にお疲れ様です。

一切の取っ掛かりが見つからないまま、結局締め切り間近となった次回ゲームマーケット秋のサークルカットには「2019年を振り返る」と最低限度の情報しか提示できないまま送付するに至った。

考えたってしょうがない。何かしら動かなくては。

ないと分かった以上、自分の観測できる範疇で頑張るしかない。
年表だから、時代構成に合わせる?
数性があるならば、グラデーションを入れよう
最も強調すべき言葉は何?

何日も頭を悩ませながら、少しずつ、少しずつ、その牙城を崩しにかかる。



9月初頭、ようやく叩き台となる第1案が完成。
文字を大きめに、どちらかといえば、前作のレイアウトに忠実な構成だ。
一点工夫したといえば、問題そのものをカード化させ、あたかもアナログゲームらしい演出を施したことだ。

しかしながら、黒が画面に強調されると目に余計な負荷をかける。
適度な余白がなければ、ぎゅうぎゅうとしたイメージとなってしまう。

配色を再検討することに。
モノクロとはいえ、白と黒の組み合わせは無限にもつながる。
とはいえ、白一辺倒だと視線が滑ってしまう。
資料をパラパラとめくり、アイコンを施すことにする。

出来上がるまで何度もプリントし、確認。

第2案、第3案と熟考するうち、制作期間は瞬く間に過ぎていく。

独り作業で苦しむ中、唯一の心のオアシスはネット上だった。
評価をしてくれたのも、励ましてくださったのも、ひとえにネット上で頂戴した各種のアドバイスだった。
もちろんツイート上には心にもない注文や言葉、ほかのブースの和気あいあいとしたテストプレイの様子も日々目に飛び込んでくる。
“落ち込んではいけない、そもそも土壌が違うのだ”
何度となく自分に言い聞かせつつ、どうしても深く悩んだときは、とにかく横になった。
食欲の落ちた自分にとって、眠ること、横になることが気分転換の一つとなった。
少し気分が上向きになったら外を軽く走り、お金に余裕があったら手当たり次第に本を買い、ひたすらページを繰った。

10月、締め切り2週間前。
ようやくページ全体のレイアウトが徐々に固まりを見せる。


ここからようやく細部問題の修正、挿絵や背表紙の作成などの作業へと移る。
あれほど計画的に進めたはずの作業も、結果、締め切りまで時間を切り詰める日々が続いた。

10月27日、無事に4コマも含めた小冊子2冊を無事に入稿する。


数週間後、目の前には、少なくとも半年前には想像だにできなかった小冊子の箱が、今まさに眼前に積まれていた。
「自分が作ったのか…」
しばし放心状態となる自分。ここまでできたという自覚が今ひとつ保てない。
当然だ。
ちょうど一年前までIllustratorもイラスト技術も何も手にしていなかった人間が、それなりに技術が施された本を「これを自分が作ったのだ」とポンと手渡されたところで、まずは疑うのが本筋ではないか思う。



亜熱帯の動植物ほど急激な伸び代があったわけではないけれど、自分なりに発芽した、成長の証。

濃い目のコーヒーを淹れ、ダンボールの包みに気をつけながら一息つく。

喜びは後からふつふつと湧き上がるものなのか、興奮のあまり、その夜はなかなか寝付けなかった。
ゲームマーケット秋本番が、本当に楽しみとなった。
さながら遠足を待つ小学生の面持ちだ。


あれから少し時間を置いた今、改めて本を見返すと、諸所「こうした方がいい」「ここはこうできる」といった目線で(偉そうに)自分へのダメ出しを発動してしまう。
あの時は確かに「傑作だ!」「これ以上はできない!自分の力の限界!」と感じたはずだったのに、だ。

喉元過ぎればなんとやら、
これも自分の本当に悪いクセで、苦しい、もう勘弁!と感じた出来事も、数日経てば記憶の隅に追いやられ、目の前には美麗な思い出ばかりが残ってしまう。
「あのときできた自分がいる。だから、今なら、きっとこれもできる」
去年の今頃は思うことすらできなかった視界の最中、僕はあのとき「これができたらなんだってできるはず」といった希望はどこへやら、「次はこれ」「自分はまだ未熟者だ」と、その開けた視界に一切目もくれようとはしていない。

来年になれば、今とは違うまた別の世界を、この目で見たい。
そのためには、今この手にある豊穣の喜びを一旦脇におき、喉元に忘れたはずの「できない苦しみ」を何度となく味わいながら、またも進まなければならないだろう。

まあ、それも、いいか。

未だ眼前の視界は霞んでいるけれど、自分の目指している方々、自分が目標とする方々が、どうやらそんな頂上近辺で楽しく談笑している気がするからだ。

負けるものか。
僕はさかずきの代わりに買った炭酸水をぐいと飲み干すと、数週間後に控えたイベントに向けて、またペンを走らせるのだった。

今年一年、本当にありがとうございました。
取り敢えず来年も、無理のない範疇で、走り続けてみようかと思います。

1 件のコメント:

  1. かみやパパ2019年12月2日 0:21

    バンちゃん。今年もアドベントカレンダーへのご参加ありがとうございます!
    新作が出るごとにグレードアップしていることに毎回驚かされます。
    自分も謎解きとゲームを作りたいがためにイラレを学んだ身なので、苦労とか独学の限界みたいなものを思い出しました。
    来年も大きな声でボードゲームイベントを盛り上げてください!

    返信削除

笑われて、笑われて

 5月から心機一転開始した日々の4コマが、今日で150話、2年間ちょっとに及ぶ過去の連載文を含めると794話と、800話も目前となった。 今度の4コマも無事に2巻目の入稿を済ませ、次回イベントで1,2巻も含めた初めての頒布となる。 日々苦しい執筆だった。 心に響くしんみりとした言...