2019年2月23日土曜日

「脱・初心者」宣言します

先日、横浜のボードゲームショップ「リゴレ」様にて、第2回目となる「ボードゲームにわか会」が開催された。
この会の参加者はボードゲームに不慣れな方ばかり、そんな方でも楽しめるよう、ルールも優しく、ギスギスしない作品を主催の石田さんが厳選したのだという。

「不慣れな方」いわゆる「初心者」ということになるが、この参加条件は「本当に初心者の方」とされたため、「いつまでも初めての気持ちを忘れないために(自称)初心者を貫く」私のような人間はことごとく参加を見送られたと聞いた。
(事実、私も参加を見送られた人間の一人だ)

ボードゲームに限らず、初めての方の中に「実は凄腕でした」が混じることで雰囲気が変わることは容易に想像できる。
初めての方ばかりを集めて草野球チームを作ろうとメンバーを募ったところ、元野球選手が参加を表明した。当初は嬉しかったが、その後、自分の練習はこうだ、効率よく行うにはこうだ、と、都度、口を挟まれるようになり思い描いた雰囲気とは異なった、といった話はよくある話だ。

何やかや、ボードゲームのことを知り、2年余り、所持数は3桁の私。
「ボードゲーム初心者」を自称するには、確かに「おまいう(お前がいうな、的なニュアンスで使用される言葉)」と突っ込まれるだろう。
逆の立場になって考えると、確かに自分より多くを知る方とのセッションは、大きな学びを得る機会であると同時に、自己の浅学を否応なく認識することとなるため、精神的な疲労の度合いも大きい。

ならば「これどうなんですか?」「さすが、よく知ってらっしゃる!」なんて頼りにされるかもしれない初心者中心のサークルに、ベテラン勢がひょっこりと混じりたくなる気持ちも理解できる。
もちろん「自分はベテランです!」などと宣言すると、人によっては「いきり立ったようなニュアンスの発言」として捉えられ、図らずも「その程度でベテラン?」「俺はもっと凄い」などの言葉が返ってくる可能性だってある。
「いつまでも初心者でいたい」
自分の中の漠然とした決意の中には、そんな、ある意味内向的な一面もあったのではないかと邪推する。


少し話題を変える。
先ほどから登場する「初心者」という言葉を、一時期ではあるが、その私自身が忌避して口にしなかったのである。

「初心」という言葉を広辞苑で引くと(用例略)

【初心(しょしん)】
1、学問・芸術の学びはじめであること。また、その人。初学。
2、仏道に入ったばかりであること。また、その人。
3、まだ物事になれないこと。世慣れしないこと。うぶ、未熟。
4、はじめに思い立った心、初一念「ーにかえる」

と、何か私の中で「上の立場の人間が、下から上がる人間を見ている」ような意味合いで捉える節を感じたのだ。

「ボードゲームは初めての方もベテランの方でもフラットに楽しめるもの」
そんな幻想に近い思いをいまだに描く私にとって、「相手にかける言葉がマウントを取られかねないのではないか」として、口にすることを取りやめたのだ。

お気づきかどうかは定かではないが、私の小冊子「BoardGameQuiz」シリーズでも「初心者」や「初級編」といった言葉を使用せず「ビギナー」「CASUAL」などの言葉に置き換えている。




(参照1:既刊「BoardGameQuiz NEXTAREA」より。)


しかるに、先日のこちらのイベントや、私自身の「考えずぎ」によることを踏まえ、今度の新刊では「初心」「初級」という言葉を積極的に使うようにした






(参照2:新刊「AnalogGameGAME」より)


あくまで自分の話ではあるが「初心者」という言葉を使う場面とは、先に挙げたような「自嘲する意味合い」も込められている場面ではないかと判断した。
「ヘッヘッヘすみません。実はアッシ、玄人なんでやんす」
表向きは初心者に見せかけて、その実、ベテランだったといった登場人物が、自己を卑下する際に使用する言葉、それが「初学」「初心」などの言葉ではないかと考えたのだ。

「新刊に取り入れた」とは、この「初心」という言葉の強みを活かす狙いがある。
志の高い人間でなければ、明らかに手負いするベテラン勢に自ら飛び込むような真似をするリスクは最小限度にとどめたい。
しかしながら、それらを回避する術も持ち合わせていない。
とはいえ、世界の危機を救う勇者でもあるまいし、ガチガチとしたものではなく、できうるならば、それすらも楽しくワイワイできるものにしたい。

そんな方に向け「こちらなら安心です」をそれとなく指し示し、うまく誘導する必要があるのではないか、そんな「先に走った人間として行うべきものではないか」といった義務感のようなものが湧いたのだ。


先日、初めて足を運ぶボードゲームBarに向かう際も、恥ずかしながら大変緊張する思いだった。
向かった先の新宿のBoardGay.mBar秘密基地様では、そんな私をも暖かく受け入れ、楽しくお話し、ボードゲームを行うことができ大変嬉しい思いをした。この場を借りて感謝申し述べる。
何年経とうとも、いくつの作品で遊んでいようとも、未開の地へと向かう勇者はいつだって「初心者」なのだ。
この「未開の地へと向かう緊張、恐れ」とは、大げさな話をすると、大航海時代に新たな土地を見つけるべく出航した人間の気持ちに似ているのではないか。
リスクを負うかもしれない、現状のままで満足することに、誰も異論を唱えないはず。
それでも、新たな場所へ向かうという希望と野心。
そんな方々を「初心者」という言葉で嘲るのではなく、これからは同胞となるであろう我々の世界へと目線を向けてくれたことに心から敬意を示すような、私は今後、そんな「脱・初心者」の一人でありたいと願い、ここに宣言する。


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